コラム・特集

2.2 インダストリアル・エンジニアリング部門の組織化

IEハンドブック

 

第1部 インダストリアル・エンジニアリング機能
第2章 組織と管理

2.2 インダストリアル・エンジニアリング部門の組織化

ここでの目的は,インダストリアル・エンジニアリング組織の評価または再編成の本質を論ずることである。組織の使命は,可能なかぎりあいまいな表現を避けて明確に記述すべきである。その機能は,上司や相手によって理解され受け入れられるものであるべきである。例え インダストリアル・エンジニアリング・スタッフが効果的に機能しているとしても,その内容を確かめ,再評価を継続的に行うべきである。例えば,作業測定や方法改善などの長い成功の実績を持っている歴史のある組織であっても,義務付けられた批判なくしては,彼らの役割は侵食されてしまうものである。

現在インダストリアル・エンジニアリング・スタッフを持っていないところに,それを設立するには,色々な方法がある.勿論どのような場合にも当てはまるという訳にはゆかないが,1つの方法は,インダストリアル・エンジニアリング・スタッフが設けられるということそして新組織に対して期待されている機能や責任の概略について,トップ・マネジメントが発表することである.発表に先立って外部のコンサルタントによる調査や,他社を訪問するなど,他社の研究をすることなどが行われるとよい結果として,協力し合うスタッフの能力は,企業を通して進歩するマネジメントを助けるということを各管理者が理解するようになる。

その他のたびたび用いられる方法としては,常務クラスの役員を,新たに設立したイングストリアル・エンジニアリング部門の責任者に委任することである新しい責任者は,どのような仕事をするかまたは特別な活動に関する提案,そして新しい組織に対する役割の決定といったことをまかされる。資格のある役員がいない企業では,他の企業から経験のあるインダストリアル・エンジニア リングの管理者をさがしてくる。時々新しい管理者は新しい組織の中核として昔からの部下をつれてくることがある。

どちらの場合においても,新しい管理者が自ら集めてきた能力のある技術者を,新組織の役割の中で部下として配属することが望ましい。ある非常に成功しているインダストリアル・エンジニアリング組織は,以上のような活動を行うことによって成功している。

しかしながら,現在のスタッフ機構が,企業におけるスタッフに期待される役割の,唯一の方法であるべきではないということができる。新しい合弁企業において,出資者のいずれかの一方的行動は,貧弱なライン/ス タッフの関係を作り出してしまう。 インダストリアル・エンジニアリングの役割の拡大において,それを応用する側の係わり合いは,ラインとスタッフの双互依存を生みだし,かつ増大させる。新しい機能の設立と展開において,ライン/スタッフの双方は,インダストリアル・エンジニアリングの役割に関して,将来起こるであろう誤解やあいまいさを極力少なくすべきである。

それゆえに,新しいインダストリアル・エンジニアリング部門からの代表と同じように,ゼネラル・マネジメントや利用者側からの代表も,研究チームに加えることが非常に望ましい。また研究チームは,狭 い定義づけをすることを防止するために,極力たくさんのインダストリアル・エンジニアリング組織を調査し,世界中の他企業の過去の経験を生かすことが望ましい。ピーター・ドラッカーは彼のマネジメントのテキストの序文で次のように述べている。

「私は特に日本の経験を強調したい。--それは次のような理由からである。西欧のほとんどの管理者は日本のマネジメントと組織を理解していない。そればかりでなく,共通の課題に取り組んでいる (利益決定,仕事と従業員の組織,または意思決定)ところの唯―の非西欧発展国である日本が,何をしようとしているかということを,西欧の管理者により良く理解してもらうように努力しているにもかかわらず,非常に誤った理解をしている。この本で基本的にいいたいことは,各国の管理者は,提供されることのできる他の好例から学ぶことができ,かつ学ぶ必要があるということである」

われわれはこの方法の効率を試すために,日本や西ドイツの数多くの企業によって紹介された驚異的な生産性向上に注目する必要があるいままで議論してきたマネジメントの側面を研究する 研究チームがこれらの諸国で結成された。これらのチームは,1950年,1960年代の指導的な多数の米国の企業のイングストリアル・エンジニアリング組織を訪れることに時間を費やした。彼らは良き学生であり,鋭い観察者であり,非常に良く学んだ。数多くのこれらの企業は今日, れらの業界でのワールドワイドな指導的立場にある。そしてこれらの企業は,いまやインダストリアル・エンジニアリングの概念の効果的な応用について米国企業を指導しなければならない。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は、多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則は、インダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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