コラム・特集

1.5 IE技術者の役割の拡大

IEハンドブック
第1部インダストリアル・エンジニアリング機能
第1章インダストリアル・エンジニアリングの専門性

1.5 IE技術者の役割の拡大

いままで示してきたように,現代のIE技術者は,もはや工業だけ,に限定されない。もともと活動の来歴は工業であり,初期の多くの仕事は工業においてなされたのであるが,これはもはや限界ではない。それゆえ,もはや厳密な言葉の意味通りの工業的経験者に動機づけされない研究者や実務家は, IEを,工業的製造業だけで実施される限定された領域として悲観する必要はない。現代のIEはオペレーションの科学を基礎としてしくるので,どこにでも「オペレーション」が見い出される。「オペレーション」が,人間,機械,ある種のプロセスのシステムを必要とするところであれば, IE技術者は彼らの能力の「自 然な出口をもっている。結果として銀行の分野は,最近の数年間にIE技術者の注目を集めている領域である。遂行されなければならない手作業-これはいくつかの領域で現在機械(コンピュータやマイクロプロセッサー)に置き換えられている-と,銀行業務に重要な情報の流れと正確性の間で,これはIE技術者の「自然な出口」を形成している。

政府の機関や活動の名簿に, IE技術者が入るのもIE技術者が銀行の分野に自分の場を見い出したのと全く同じ理由である。政府機関の目的は,われわれ経済界の利益追求部門の目的とは異なるかも知れない。というのは,彼らはコストに(良くも悪くも)あまり関心がないそして人々へのサービスや彼らの行為の背後にある政治的な動機により関心がある。
政府機関のシステムの設計を行う技術者は,工業とは一般的に異なるパラメータや目的をもっているであろう。 しかし 彼らは,依然として生産性,サービスの在庫,人間活動の情報の流れに関する問題をもっているので,IEの一般化された方法論をすべて応用することができる。一般化された抽象モデルの係数を,新しい状況に適合するように単に修正すればよいのである。

すべての可能な「出口」やIEの仕事の設計の方法論を列挙しようとするのは危険でもあるし,近視眼的でもある。というのは,一方では,完全な列挙をしようとしても含めるべきものが残るのは不可避であろう。また他方では,さらに拡大するであろう分野の将来の発展を閉ざしてしまう傾向があるからである。

本章冒頭での本来の定義の中で,IEの概念が使われたり応用されたりしたところではどこでも,現代のIEの方法論が使われ応用されるであろうというにとどめて置こう。これには,中に人間のパラメータがあるだけでなく,さまざまな材料が使われたり,代替するものがあったりする状況が含まれる.さらに代替的なエネルギー源やエネルギーの用途があるシステムがあったり,所与のひとつの目標あるいは複数の目標を達成するための装置やプロセス,他の技術的選択に関してさまざまな選択案があるような問題がある。

始めから述べていたように,IE技術者の基本的な目的は,いつもインプットの消費やシステムで消費される構成物が,可能な限り有効に最少で迅速に使われるようにすることによって生産性を向上させるようなシステムを,その大きさとは関係なく,設計したり,設計し直したりすることである。それゆえ,活動のどの面にも, IEの分析や設計が適用できないところはない。現実にIEの計画がみられるのは公益事業,航空,バスや貨物輸送の会社,病院や健康管理の施設,食品と農業の分野,そして当然「接客業」の産業であるホテル,モテル,レストラン,その他の同様なものの中である。以上のものは, IEが現在活動している領域を単に示しただけである。おそらく,これらのI E活動がなければならないのと同じように,際立ってそれがなかったのは,生産性が主たる関心事でない教育の分野である。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンド ブックの各章は、多 く の事例と理論を通し て生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしている IEの考え方 ・原則は、インダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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