コラム・特集

5.3 生産性の最適化

IEハンドブック
第1部 インダストリアル・エンジニアリング機能
第5章 生産性の測定と改善


5.3 生産性の最適化

定義最適化とは所与の基準に従って最大化,あるいは最小化を達成することである。いくつかの基準を用いる場合,それらの相対的価値の重み付けをする方法を確立する必要がある。またさらに,ある特定の生産性指標を選ぶということは,すでに最適化の基準に言及しているかもしれない,ということを認識しておく必要がある。

例えば,異なった生産性の評価尺度を用いた結果を比 較するために,前掲の表の事柄があったと仮定してみる (計算を容易にするために単純な数字が用いてある)。

最適化の基本

私企業の製造業において,通常最適化の基本は当期利益である(当然一方において,将来の利益も守らねばならない) というわけで,最 も共通して用いられる生産性指標は総費用生産性(total Cost productivity)である。しかしながら,労働生産性(labor productivity) も,動機づけの効果や業務遂行上の勤勉さを評価するのに有効な指標である。私企業において多くの間接業務があり,そ れらは非常に公共企業のそれと類似している。政府やサービス業務においても,私企業と共通した業 務が多く見受けられ,政府の印刷局とか,高速道路課等がその例である。それらの出力(output)は 目に見え , 容易に識別でき,数量化も簡単にできる。私企業における間接業務や政府のサービス活動においては,この最もよく用いられる労働生産性指標を用いるために,出力を使いやすいようにまとめるためかなりの労力を要する。 最適化は,種々の制約の下で,単位当り労働資源に対する最大総出力で評価される。

最適化における制約

しばしば,最適化における制約はサービス業界にみることができる。例えば,ある商店では売子を減らすことによって,売子1人当りの生産性を向上させるかもしれない。しかし ,サービスが行きとどかなくなり,そのための損失は要員削減によって得られる利益を上回るかもしれない。

組織の一部分が研究調査対象となる場合,部分最適化の弊害に陥ることを避けねばならない。例えば,クラーク/タイピストの生産性向上に焦点を絞った場合,専門職に対するサービスが低下し,彼らは自分自身でクラリカル・ワークをしたり,サービスを待って時間を無駄にするかもしれない。また,病院の実験室で,その生産性を向上させる努力をすると,ときどき,仕事が滞留し, 患者の病院にいる平均時間が長くなるといったことが起こる。そして生産性向上のための費用は,その節約額と全く関係なくなってしまう 。

適時性,例えば何パーセントのサービスが提供されるべきであるとか,サービスの質を,組織のある一部分の 最適化の制約条件として考える必要がある。そうすることによって,部分最適化の弊を避けることができる。

必要な行動の動機づけ

私企業のトップ・マネジメントにとって,多くの場合, 利益とか損金,貸借対照表からくるプレッシャーが動機づけの要因となる。政府のトップ・マネジメントにとって,実際に多くの場合,生産性の最適化を押し進めたくない動機が存在する。 例えば,日標達成のためのプレッシャーがあり,そのために余剰資源を持っていることは強みとなる。また,総花的要員削減の過去の歴史は,どちらかというと余剰要員をかかえることを奨励しているようである。これは公理のように自明のことであるが,このような組織体には,非常にきびしい予算枠を課することが必要である。

私企業であれ,政府であわ′ ,ス タッフ業務に関しては , 政府のトップ・マネジメントに関して述べたことがすべてあてはまる。

概して,労働者はしばしば生産性向上に抵抗してきた。そこには十分に理解されていないところがある,つまり , 賃金が生産性より速く上昇するかどうかは,インフレーションだけがそれを可能にするといった類である。 自明のことであるが多くの人々は目標,ゴールが彼ら自身の生活向上に関係しないなら,日標に向かって努力を払おうとしない。よって賃金体系とか,利益分配計画とか , 生産性改善計画はすべて労働者の安寧,生活向上を指向している。しかしながら,生産性改善計画においては , 生産性が評価測定されることが前提となっている。

米国政府の行政事務に関する1978年の改編条例の一部である上級執務者(Senior Executive Service)に 関する項に,良いマネジメントに対する金銭的インセンティブが当初から計画され盛り込まれている。そして,その生産性に対する効果は未だ有効である。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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