コラム・特集

5.2 基本用語の定義

IEハンドブック
第1部 インダストリアル・エンジニアリング機能
第5章 生産性の測定と改善

5.2 基本用語の定義

生産性

生産性というものは ,ある組織のアウトプット,すなわち,その組織外の用のために生産された物を,しかるべき製品の種類を考慮したうえで ,その生産に供された資源 (リソース)で割った比で表わされる。そしてこれらは 指標(index)であってdimensionはない 。

数学的には生産指標は

 

 

で表わされる。

ここに ,
AOMPは 測定期間における総出力
RIMPは 測定期間の資源等総入力
AOBPは 基準期間における総出力
RIBPは 基準期間における資源等総入力

(AXB)両式共に同じ値を示すが,分母子にある式で表わされる指標は異なった意味をもつ。 AOMP/RIMP で表わされる指標はcurrent performance index,すなわち当該期間の生産性を表わす。

AOBP/RIBPで表わされる指標はBase Performance Ratio,すなわち,基準指標という。AOM P/AOBPで表わされる指標はOutput lndex,出力指標という。すなわち基準出力に対する当該期間の出力の指標であり,またRIMP/RIBPで表わされる指標はInput lndex,入力指標という。すなわち基準入力に対する当該期間の入力の指標である。式(A)において分母子は,被測定期間と基準期間の長さあるいは期間が違っても生産性の計算には支障ない。しかし式Bにおいては被測定期間と基準期間は全く同じ期間でなければ意味がなくなる。

種々の生産性測定

1 .労働生産性 この労働生産性という指標において, 投入資源はすべからく労働時間という型に集約して表わすことができる。一方指標そのものは賃率やlabor mix等によって変わり,いかようにも表わすことができる。

2.直接労働コスト 生産性 この生産性指標において, 投入資源は総直接工賃である。しかるに ,この指標は賃率とlabor mixの 両方を反映する。その影響を省くために一定賃率(constant doller)を用いることもある。

3 .投下資本生産性 投下資本生産性には数種類の表わし方がある。その一つは,投入資源(Resource Input)は減価償却費であったり,あるいは固定資産機器の残存価格であったりする。

4.直接費用生産性 投入資源に直接関連する費用をその時々の貨幣価値ベースでまとめたものに対する生産性である。インフレーションを排除したconstant dollarが使われることもある。

5.総費用生産性 減価償却費を含むすべての投入資 源に関する費用に対する生産性で,その貨幣価値で表わされるconstant dollarが使われる。

6.外貨に関する生産性 この場合の投入資源のコストは所要外貨である

7 .エネルギー生産性 この場合の投入資源はエネルギー消費量で,btu または kw といった最も表現しやすい方法で表わされる。

8.原材料生産性 この生産性を表わすには,分子は通常製品の重量であり,分母は消費原材料の重量 または その価値が用いられる。

このように種々の異なった生産性指標を作ることができることがお分かりいただけたと思う。上記生産性指標はほんの一例である。

効果性

効果(effectiveness)という言葉は ,いかに仕事のアウトプットが所期の目標を達成できたか,あるいはアウトプットによってどのような結果が得られたかを表わすために用いられる効果の尺度はアウトプットの見分けをする前に,その概略を決めておく必要がある 。そして効果の尺度が確立しない間は,アウトプットとして何をどのように測定すればよいかを明確にすることはかなりむずかしい例えば,購買部門を単純に発注件数, 注文当りの費用,あるいは初回購入価格で評価したとすると ,その結果として,生産性の評価を間違えてしまう。購買部門は,購入する物にかかわる総費用を最低にすることがその務めであって,納入遅延による作業遅延とか, 品質不良いった工程コストを上げる,あるいは原材料生産性を低下させるようなことを避けることはその前提である効果の評価尺度を適切に表わすことができなければ ,おうおうにして見当違いな結論を招くことになりかねない。例えば ,ある購買部門の評価尺度が「折衝した値下げ額」であったとしよう。すると1冊 9ドルで , しかし値下げ交渉の余地なしということで,提示された本を買わずに,1冊15ドル ,しかし100冊 買ってくれたなら 11ドルにしますという本を,ディーラーから買ういうことになりかねない。 

価 値

価値というものに絶対的な尺度はなく,それはある特定の結果を達成する過程における望ましいことということができる。社会的あるいは個人的価値観といったものが解答を与えてくれる。

出 力

出力は,組織の外部の用に供する目的で生み出された製品またはサービスである。それらは,あるいは社会的, 地理的,あるいは経済的にサービスを受けるべく待ちかまえている市場に送り出されるものであり,かつその組織体の目的を直接的に達成するものである。組織体の一部の生産性が評価されるとき,部分最適化が行われないよう注意すべきであり,この件に関しては,3節で詳しく述べることにする。

出力の集計(一般論)

生産性評価尺度,あるいは指標のいずれの式をとっても,出力は基準期間と測定期間の両方の集計がされねばならない。どちらの場合でもその方法は同じであって, 種々のとり方がある。

1.標準労働時間による場合―単位は時間で重み付けをする方法。
2 限界利益 (profit margin)による場合―おのおのの出力をおのおのの限界利益で重み付けをする方法。
3.市場価格による方法。
4 重量による方法。
5.単純に数える方法 (出力が一種類の場合)。

出力の集計(特定の場合)

出力は,組織の効果性にどのように寄与したかということを反映した形でまとめられねばならない。多くの場合,ユニークな方法をとらさるを得ない。古い格言でいうところの「リンゴとオレンジを足すことはできない」という言葉は不適当でありうる。もし“ 果物”がミサイルであったとしよう。すると4つのオレンジと5つのリンゴでは9つのミサイルということになる。また1つのトマ トを加えてもさしつかえない。

典型的なまちがいは,出力そのものでなく,その機能や活動を数えたり明確にすることである。

その具体例は , 例えば ,
1 会議への出席回数
2 書簡に対する返答数
3 電話応答数
4 計画立案件数
5 方針提案件数

これらは時間がかかるという のではない。これらは,4と5の項目を除き組織の外部でも使用される可能性がある。しかし ながら ,これらは,時として組織の目的を達成するために設定されているものの,おのおのの数字は組織に対する効果に関係なく変動することがある。それは,machine shopの 生産性を溶融した金属の量で計ったり,乗物のバスの使用頻度を何回発進し停車したかで計ったり ,弁護士の成績を携わった訴訟の数で計るようなものである(注,著者にとって良い弁護士は,その時間の大半を訴訟に至らないよう ,人々を援助することにさいていると考えている。

実体的総出力

評価対象となる組織は,実在価値のあるアウトプットを創出している ほとんどのアウトプットは計画.設計から,その具現化といった過程をたどる。そして,それらは図面とか部品表といった形で文書化されている。

サービス総出力

サービス機関あるいは政府機関に関しては,その生産性を評価しようとする前に,出力を明確にしなければならない。この分野に関し て比較的新しい技法は「work unit analysis」と呼ばれ,55節で詳しく述べる。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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