コラム・特集

4.13 生産性の社会的効果

IEハンドブック
第1部 インダストリアル・エンジニアリング機能
第4章 生産性論究

4.13 生産性の社会的効果

図表1.45は,1870年以降の合衆国における雇用分布の変化を示したものである 。

1870年には,約2分の1の 就業者は農業に,約4分の1は工業に,残りの約4分の1はサービス業に,それぞれ就業していた。農業における生産性の大幅な向上により,1980年には,農家で働く人口数を4%以下にまで下降させた事実がある。具体的には工業,建設業,および鉱業での製品の生産に従事する人口数は,大略1950年までは増加してきた。しかし,それらのことは,製品を生産する工業における生産性向上に起因しており,1980年における全労働力の約28%にまで,その範疇は狭められた。この事実により,サービスを生産する労働力は,68%になった。

本図は,2000年まで線引きされている。その時点での農業は,労働力のうちの,ただの2ないし3%にとどまっている。そして製品のすべては,労働力の20%以下の就業者によって生産されている。このことから,サービス業に従事する合衆国の労働力人口は,75%を 上回ることになる。もし,サービス業の生産性向上において,1980年と2000年の期間に,常識的な進歩さえなされれば,2000年までには図表1.4.5の右上角の3角形で図示されるような,何か他のことに利用可能な25%の労働力を,いまだにもつような,すべてのサービス業をもつことになる。

こうした利用可能な時間を,われわれは,継続教育のために使うことができる。この時間は,より多くのレジャー活動のために,芸術文化の領域において,全部または一部の時間を費やすための人たちをふやすために,あるいは,開発途上国の人たちがその生活標準を向上さ せるのを助けるために使われるべきである。同じような図は,レバノン出身で前国連事務総長のチャールズ。マリク(Charles Malik)博士が提示している。彼は次のことが,この利用可能時間,すなわち沈思黙考,会話,コミュニティ生活のための時間,家族と一緒にすごす時間および信仰への時間,そしてお互いがより人間的であり得るための時間,としての利用のために加えられることを示唆した。

生産性向上のために予見し得る限界というものはない。そして生産性向上は,将来におけるわれわれの生活の質へ,極めて実り豊かな効果をもたらしてくれるのである。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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