コラム・特集

4.11 生産性の測定

IEハンドブック
第1部 インダストリアル・エンジニアリング機能
第4章 生産性論究

4.11 生産性の測定

生産性の測定については,マンデル(Mundel)博士によって,第1部 第5章で詳細に検討されている。しかし,本節では測定の重要性が 強調され,そして,もし正確な測定が利用可能でなければ,相対的にみて粗い測定でも利用できることについて述べたい。

合衆国における農業生産性の連続的な向上は,現在の全国就業人口の3.4%のみが,全人口をまかなう食糧以上の量を生産しているということを意味してきた。農業の投入量と産出量とを測定することは,この期間について,まったく特殊なことであり,理解しがたいこととされてきた。

小麦のエーカー当リブッシェルおよび1ポ ンドの牛肉 を生育するためのコストは,それらの産品を生育させるための,もっと効率的な方法を選択するのを許容するほど,農家について正確には測定されてきていない。

産業におけるブルーカラー作業者は,テイラー(Taylor)およびギルブレス(Gilbreth)の 時代以降,極 めて 正確に測定さ れてきている。こうした精密な測定により, 工業ではブルーカラー作業者の連続的な生産性向上を可能にしてきたのである。機械,あるいはそれの補助者より搬送される時間当り個体数,および部品を組み立てるために必要な秒当り個体数は,生産性の向上を測定するための基礎を形成してきており,そのために,より良い方法が選択され効果を発揮させることができる。工業における生産性向上は,十分なまでに立派に行われてきており,そのために合衆国の工業における就業者の百分率は,1965年より1970年の期間までには,そのピークを経過した。そして,就業者の25%以下により,国民が必要とする製品のすべてを製作していたのは,それほど昔のことではないのである。

サービス業(政府,教育,健康医療,輸送等)は,1980年における労働力の大略70%を構成した。進歩は,この分野での生産性を向上させてきただけではなくて,そしてこの遅い進歩の大きな理由の1つは,成果の測定の困難性と不足とにある。サービス業のほとんどは,農家や工場の場合よりも,測定することが一層困難である投入量については,かなりうまく測定できるのであるが,しかし産出量については,それが通常的には真に数量化測定には適さないという理由で,産出量を単純に計算できないのである。産出の数量または有効性は,極めて重要であるにもかかわらず,大幅に変動するために,測定することが困難になっている。警察署,看護婦,または教師に関する成果の測定は,エーカー当り631ブッシェル,または個体当り0042分というように,精密に測定することはできないのである。

論理的で信頼性をもつ測定は,生産性向上への意欲を高める。ロジャー ・パニスター(Roger Bannister)または他の誰かは,多分,も し彼が正確に時間を測定するのでなければ,決して4分間で1マイルを走ることはできないであろう。測定と生産性向上は,まさに一体化しているのである。生産性向上を達成するために,どのような測定も,たとえそれが相対的にみて粗いものであってさえも,まったく測定されないよりもましである。正確な標準値は設定されていないが,比較された値というものは利用価値が高かった。比較のために利用された。

相対的にみて粗い標準値であっても,いくつかのサービ ス業で達成されてきた生産性向上をしていくのに役立った。もし,仕事が十分正確に測定できて,その結果,成果がそれ以外の組織における類似した仕事の成果と比較できるのであれば,最良の成果をもたらす組織は,標準値と見なして利用することができる。標準値まで測定されていない組織には,最良の成果を達成した組織と競争するかどうかをたずねることができる。極めて少数ではあるが, 1年間の成果は,前年度の成果と比較して測定できる。現在のコストまたは世論調査は,比較すべきコストと,または前年度の同一の仕事を遂行するのに要求される延人数と関連をもつ。予算制度の中では,頻繁にこの型の測定と比較とが提示される。

もし読者が,より良く遂行しているのかどうかについて知りたくないのであれば,より良く遂行するための刺激は多くなることはない。成果を最適化するために,信 頼性の高い単純で正確な測定,および同様に質の高い標準値が必要とされる。計算サービスのようなサービス 務において,印刷された用紙の数を簡単に数えるということは,そのこと自体では意味をもたない。サービスとは,データの用紙を提供することではなくて,顧客が欲求している情報を提供することにある。顧客を満足させることは,サービスというものの真の価値を測定するための,生産性の公式の中に取り入れるべきである。

生産性向上を推進する際に有効なこととして,測定ということが理解されなければならないし,そしてそのことの妥当性というものが,そのことを利用する人たちによって信用を得ていなければならない「この計画は,業務の生産性を大幅に向上するであろう」ということと,「この計画は,業務の生産性を,22%まで向上するであろう」ということの間には,大きな差異があるのである。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

関連記事一覧

2019ものづくり公開セミナーガイド

B2Bデジタルマーケティングセミナー

ものづくり人材育成ソリューション

マーケティング分野オンラインセミナー