コラム・特集

4.9 生産性向上のための機会

IEハンドブック
第1部 インダストリアル・エンジニアリング機能
第4章 生産性論究


4.9 生産性向上のための機会

たとえ,どのような種類の仕事が研究されて,それが 工場の内部やサービス業務の内部であったとしても,生産性向上へのまたとない機会となる。図表1.4.4は1980年より1985年までの生産性向上のための,ほとんどすべての活動に存在する機会を描写している。生産性は,1980年に100%であったと仮定すれば,もし,その年度以降何事も変動していないとするならば,その100%の水準のままであるはずである。いかなる資本投資もなく,そしていかなる新技術もないとすれば,本当により良い仕事をするために,従業員が協働して刺激し合うことによって,一般的に次の2年間に生産性を10%まで向上させる機会がある。このことは,従業員がよリー生懸命またはより速く,言い換えればより生産的に働かなければならないことを言うのではない。すべての人が,良好で生産的な仕事をすることに,本当に興味をもつことが重要なのである。特定の生産性向上は,計画的欠勤による切り詰め,時間通りの作業開始,作業の質の向上,要求される検査量の削減,必要な保守量の削減,遅延が作業のための原材料が入手可能でない事由では起きないことが確かであること,等によって遂行される。すべての,このような段階は,従業員により修正された若干の方法上の変化を加えて,真に重要な差異を生み出し,そして生産性のすべての水準を向上させる。

人々に対して潜在的であるこのような生産性向上は, 工場内部での適応と同程度に,ホワイトカラーの作業力にも的確に応用できる。もし事務関係要員が,生産的に仕事をすることに熱心になってくれば,存在しているムダの多くが除外されて,重要な事柄のみを遂行するのに焦点を合わせられる。ほとんど多くの場合に,ホワイトカラーたちは,装置を導入するような,そのような大変動もしないで,簡単に10%の生産性を向上できる。この場合の装置とは,事務要員が自分たちの作業を遂行するために提供されているコンピュータまたはシステムを指す。すべての人たちを,一緒に仕事をしていくチームに編成することで,しばしば,10%以上も生産性を向上させることができる。彼らは,しばしば,緊急事態が起これば,平常時に遂行している水準の3倍または4倍以上の生産性比率で作業を遂行する機械または主要装置の一部が,工場内で故障したときには,保守要員班は,しばしば,平常時に1日がかりで遂行する作業を僅か1時間でやってのける。ミシガン州リヴォニアにあるGM高性能伝道装置工場(General Motors hydramatic tranomission plan at Livonia,Michigan)が ,相当昔に焼失したときに,オールズモビル(olds mobile)事業部の全業務は危機に陥った。オールズモビルの技師は,建物と管理制度を再設計し,モデルエ場は既成の機械化された鋳造をして,その結果,乗用車は1週間以内で, 異なった伝動機のダイナフロー(the Dynaflow)で検査された。これは,平常時には6カ月プロジェクトであった。しかし ,繁文縟礼は廃止され,決定は迅速になされ,そしてすべての人間は,作業を遂行するためのチームに編成された。このようなホワイトカラー従業員の生産性は,平常時の1週間分の何倍かまでに向上した。

翌2年間の組織の全員にとっての,10%の生産性向上の目標は,実践的なものであり ,そして,それはより良 い技術によって,連続的な生産性向上を築くための基礎であるべきである。

年率5%の連続的生産性向上率を達成するために,技術を生産要因の基礎として加えることは,どの組織でも可能となる(図表14.4参照)組み立て作業にロボットを応用すること,または事務室における新規の活動にコンピュータを利用することは ,特定の事例である限り高い生産性向上比率を達成するであろう。生産性向上は, 全体的には,各年度5%を達成すべきである。しかし, 従業員が協働することによってのみ,革新的技術による便益も生み出されるのである。

組織の全成員が,その利用する新技術について熟知していることが肝要になる。成員は別段驚いたり不快と感じてはいない従業員も 経営者も自分たちが理解できない事柄には等しく恐れる。直接的に影響のある成員は,計画の中に入れられるべきである。従業員と経営者は,変 動が起きる前に,示唆と考え方についてたずねるべきであった。もし労働組合が関係しているのならば,労働組合幹部は,これらの生産性向上の方法について計画されている内容について,知らされている必要がある。

新技術の導入は計画されてもよいが,結果的には,技 術導入は従業員に対し て脅威とは感じら れないであろう。 新技術は,製品の所要数量が増加しているときに導入しやすい。その変動が,逐次的に増加基調でされれば,それによる生起し得る損失は,人事上の解雇と見合い得る。活動的な計画では,新技術が運用された後でも必要とされる,新しい仕事を継持するのに要員が必要になってくる。この計画的要員は,新技術の成功の際には不可欠のものとなる。

生産性向上という 良い業績が昨年度達成されたという理由で,重要な生産性向上が本年度は達成できないという事例は,これまでにほとんどない。通常は,年率5%の生産性向上をする部門は,次年度に,多分5%の生産性向上をするであろう。そして,年率1%の生産性向上し かできない部門は,おそらくは次年度も1%の生産性向上しかしないであろう。このことは,生産性向上に目覚めさせ,そして効果を発揮させる努力に依存している生産性向上と達成のための機会はいつでもある,という理由になっている。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

 

関連記事一覧

2019ものづくり公開セミナーガイド

B2Bデジタルマーケティングセミナー

ものづくり人材育成ソリューション

マーケティング分野オンラインセミナー