コラム・特集

4.4 生産性対インフレーション

IEハンドブック
第1部 インダストリアル・エンジニアリング機能
第4章 生産性論究

4.4 生産性対インフレーション

兵器廠でのインフレーションに立ち向かう生産性によった利得は,一般的に仮定されている水準より,より多くの潜在力をもっている。生産性によった利得が演じる第 一の役割はよく理解されている。すなわち,生産性の増加によって総供給も増加して,その結果,単位労働コス トを引き下げる。この事実により順次財貨の平均価格に対する圧力を低下させる。しかし,生産性の増加は,広く承認されているわけではないけれども,インフレーショ ンを緩和させる上での「乗数」効果を発揮し得る。長期的成長における生産性の1単位の増加は,期間にわたりインフレーション率の1単位の減少以上のものを産み出し得る。

生産性利得による大きな効果は,いわゆる「賃金―価 格スパイラルJの作用に負っている。賃金率の上昇は価 格を押し上げ得る。すなわち,価格の上昇は順にコストを押し上げるように作用し,結果的には価格を押し上げる。価格の上昇は,再び賃金率を押し上げるように作用し,再び価格を押し上げるべく働く。そのようにスパイ ラルは続くのである。しかし,生産性成長の上昇が起こるときはいつでも,スパイラル上の1度の歯止め以上のものとして,その上昇は作用する。

生産性の増加は,賃金が価格を押し上げるように作用する点で起きる,ということを仮定するとしよう。第1 循環において,生産性成長の増加は賃金誘導型の価格上昇を緩和させる。第2循環においては,初期的な価格増加を抑え込むことによって,早期の生産性利得は引き続く賃金増加を緩和できる。すなわち,このようにして最終的な価格増加は一段と緩和される。-そしてスパイラルの各循環を通じて,同様のことがいえる。

生産性利得は,賃金上昇に対して直接的な相殺作用をする。もし,われわれがケースで生産性利得はなく, そして,ケース2で3%の生産性増加があると仮定するならば,単位労働コストについての差異は3%である。

労働コストは,総事業コストの中での主要要素であるので,ケ ース1においてインフレーションは約8%に達し,そしてケース2では約5%になるということである。 図表1.4.1では,そのような例が関係した統計によって証明されることが示されている。

先に検討したように,生産性向上は1955年と1977年の間の,含まれている単位労働コストの中で主要な役割を演じている。その後,生産性利得は緩慢になったので, 単位労働コストは上方へうず巻きをし始めた。

労働コストの上昇はインフレーションに随伴して起きている。インフレーションは,単位労働コストの上昇と常に厳密には一致し てこなかったけれども,2つの統計は相互に極めて接近した形で,その跡を追っている。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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