コラム・特集

4.3 生産性向上の重要性

IEハンドブック
第1部 インダストリアル・エンジニアリング機能
第4章 生産性論究

4.3 生産性向上の重要性

生産性向上は,な ぜ重要なのであろうか。その理由に,われわれは生産するもののみを持つことができることが ある。かなりの人たちが,われわれが持っているものを再分配したり拡散したりすることは,ちょうど,どうした訳か,すべての人たちにより多くを与えるということを考えている。そのことはいまや神話となっている。われわれは,財貨およびサービスを本年よりも翌年により多く生産するのでなければ,われわれはたとえ価格や賃金に何が起ころうとも,より多くのものを所有しないであろう。個人が,同一の時間量で,より多くの財貨またはサービスを生産するとき,生産性の向上を達成し得る。

生産性を向上させるには,膨大な蓄積的な努力を要する。翌年度の向上は,昨年度の向上に本年度の向上を加えたものである。そこで,われわれの人口成長率を上回り,数パーセントの生産性比率を押し上げることによって著しい結果が期待できる。例えば,もしわれわれが,財貨サービスの1人当りの産出高を向上させるならば,毎年度2%だけの増大による蓄積的効果は,歴史的過程では比較的短い時間単位とされる100年間において,生産性の724%の増大をもたらすことになる。そうした期間にかかわらず,生産性向上比率こそ,国民の進歩を決定付けるものなのである。

合衆国における生活標準と開発途上国における生活標準との間の差異は,合衆国における国民は生産性を向上させてきたが,開発途上国の国民はそれをしてこなかった。という事実によって説明される。そして,その差異は,農業における生産性向上とともに始まる。歴史における連続的な生産性向上のうちで,合衆国の農業は,最良の事例を示しているものである。

約100年前,合衆国政府は,下付地大学(land grant college)を設立することにより,農業を推進させるための長期計画を実施し始めた。より良い種子,より良い農場施設,土壌条件の向上,転作のすべてが,生産性向上の基本計画に加えられた。過去100年間,その計画は大きな成功をおさめたので,現在は非農業人口をまかなう上で十分な食糧を増産するために,合衆国の労働力人口の4%に当たる農業人口が従事している。1880年には農 業をするために労働力人口の約50%が必要とされた。合 衆国農業における大幅な生産性向上は,人 口を都市へ自 由に移動させ,そ して産業をも移動させることによって , アメリカの産業成長を可能にした。

このことで合衆国の産業醗-合衆国を世界最大の産業国家にした発展-のために必要とされた人材が提供されたのである。物的財貨またはサービスによる生活標準の向上は,これらの財貨およびサービスを生産する際の生産性向上に,直接的に依拠しているということは本当である。生産性向上は長期におよび,財貨とサービスの消費者物価についてのインフレーション圧力を低下させるのに有効である。

人一時間当たりの産出高における高い成長率は,財貨サービスの単位労働コストおよび価格の上昇なしに,賃金および給与を増加させる。エ ネルギー,材料,および資本のより効率的な利用で,これらの投入価格の増加を相殺することが可能になる。生産性向上を通じて,長期のインフレーション圧力を低下させることによって,われわれは真の所得と生活標準に対する侵食を阻止することを助け得る。2生産性の向上は,世界市場において産業に競争力をつけさせるのに役立つ。この理由で,生産性向上は,最適の貿易収支を維持する上での重要な要素である。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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