コラム・特集

2.6 目標の設定

IEハンドブック
第1部 インダストリアル・エンジニアリング機能
第2章 組織と管理

2.6 目標の設定

なぜ新しいインダストリアル・エンジニアリング組織を設立するのか,どうやって現在の組織を永続させることができるか,という議論は,ラインとスタッフ双方の関係者が参画する集団過程を通してなされるべきである。利用者や管理者の参画なしで作られたスタッフ部門の目標設定は,実を結ぶことなくしぼんでしまうことを運命づけられている。利用者の積極的な参画は,スタッフ の仕事の発展とその効果的な利用の双方にとって,協力と信頼関係を得ることに役立っている。

企業のトップは明確な指示と組織の絶対的目標とを全 般的に提示する。この目標に効果的に応えるために,スーパーバイザーも含めたすべての階層の管理者は,総括的な目標と矛盾しない目的を設定しなければならない。目的を達成するために,管理者は特定の技術的な技能や人材を得るべく努力しなければならない。インダストリアル・エンジニアリング・グループから得ることのできる。機能的活動は彼らの要求に合致すべきである。

全く新しい環境においては,目的の相互理解を深め,問題や期待できる技術援助などを解決するために,一連の研究会をもつことが良い方法である。ここで一言助言を与えるとするならば,これら研究会における中心人物は,インダストリアル・エンジニアリングを代表する人物か,または関連している部門の管理者たちの代表であるべきである。ここでは,インダストリアル・エンジニアリングの管理者が,彼のグループの機能を組織化する際に参考となるような必要条件が討議されるべきである。

組織を作る場合,日標,目的,人材等がすでに決まっていたとしても,その組織図を構成する。各関係者が集まって行う一連の討議は重要である。通常,例えば定例生産計画会議,戦略会議などは,企業の目標を議論する場合に,ラインとスタッフの努力に対して焦点を当て易くする。

強力なチームの中で,効果的に結びついたラインとス タッフとの話し 合いは,いろいろな階層で行われる.例えば,現場間の技術者たちの間,中間管理者とインダス トリアル。エンジニア,スーパーバイザーとの日常の接触,管理者協議会や他の会議に出席するインダストリアル・エンジニアリングの管理者たちなどである。現場の必要性は優先順位の変更,新しいプロジェクト,予期せぬ問題,マーケットからの圧力といった要素によって絶えず変化している.内部の目標や目的は,変化する必要性を満足させるべく変えていかなければならない。現場の参加を得られないインダストリアル・エンジニアリングの管理者の一方的な態度は,ラインの必要性とスタッフの協力との間に,ずれというものを簡単に作り出してしまう。

ある技術スタッフは,特定な知識は技術的専門家によってのみ管理され,利用することができるものであるという信念で行動し,自分たちの殻に閉じ込もってしまう傾向がある。このようなことは,効果的なライン/スタッフ関係に壁を作り,さもなければ,これらの関係を破壊してしまう 。

関係者による協同団体が,新しいインダストリアル・エンジニアリング・スタッフの設立を容易にするため,または,現在のスタッフの活動をより効果的にするための必要な改善を援助するために設立される。現状の技術やその熟練度を評価するために,確実な評価基準が作られる。そして研修に対する協力,準備,専門家養成計画等が組織的に計画されるようになる。この相互協力によって生みだされる新しい技術や方法論から得られるもの は,単に技術的能力を向上させるというよりも,むしろ利用者の効率向上という成果をもたらす。さらにインダストリアル・エンジニアリング・グループの専門家としての横顔は,他の組織におけるそれのカーボンコピーなどではなく,むしろ独特なものである。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は、多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしている IEの考え方 ・原則は、インダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

 

 

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