コラム・特集

2.4 インダストリアル・エンジニアリング機能の変化

IEハンドブック
第1部 インダストリアル・エンジニアリング機能
第2章 組織と管理

2.4 インダストリアル・エンジニアリング機能の変化

過去30年,通常インダストリアル・エンジニアリング・スタッフに任されている機能は非常に大きくかつ重要な変化をとげている。これらの変化はワークデザイン,数値解析手法の応用の強化,そしてコンピュータ技術の発達などの行動的局面に関する知識の発達によって形作られてきた。インダストリアル・エンジニアの変化しつつある役割を形成する他の強力な力は,彼らの活動を工場外に導き出し,例えばマーケティング,配給,財務そして製品開発といった非製造部門に持ち込んだ広範囲な活 動である。産業界内部でのインダストリアル・エンジニアリングの活動は,生産性向上運動に広範囲な影響を及ぼすようになった。

この変化の影響は,経営問題の分析や解決において,インダストリアル・エンジニアリングが使用してきた伝統的な手法や技術の効果や,価値に関する再評価をもたらした。シミュレーションやシステム解析が,兵器産業の分野において発達してくると同時に,ある作業測定法は,変化したりあるいは完全に消え去ってしまった。最適化技術からみた,より小さい最適管理単位が,最適化戦略としてのコンピュータ化された業務の統合を遂行するという,インダストリアル・エンジニアリングの概念によって,探し求められている。

米国経済がサービス機関と知識労働者によって支配された新しい社会から産業の時代を通過して,インダストリアル・エンジニアはその地位を保ち続けており,今日,商業,社会保険,銀行,政府機関等における管理者を援助するようになった。

インダストリアル・エンジニアリング組織がどのように形作られようとしても,その機能,相手方との関係,初期の使命などが変化し続けていくことに対して,その組織が役立つものでなければならない。スタッフ・サポートとその能力は,相手側の必要性と関心事に対して応えられなければならない。

インダストリアル・エンジニアリング組織が変化するニーズや技術に対応することの必要性に敏感になることを確実なものにするための若千の手段がある簡単だが効果的な方法は,インダストリアル・エンジニアリング組織が,変化する機能,新技術,新方式に遅れないために,数人の技術者を組織内に任命することである。より大きなインダストリアル・スタッフは,テクノロジー・センターまたは同様な責任を持つスペシャリスト集団を設けることができる。何が基本かというと,企業の大きさや,関係しているインダストリアル・エンジニアの人数ではなく,スタッフの能力が衰えるのを防ぐ必要があるのであれば,技術的知識を絶えず新しく保とうとする要望に関する認識である。もし機会に恵まれなかったり,インダストリアル・エンジニアが主導権をにぎらなかったならば,日常の仕事に追われてしまうということが現実の姿である。たとえパートタイム・ベースであったとしても新しい知識を吸収することができる技術者を確保しておくための方法は,技術的能力を維持するために,必要最小限の時間それに専念できるような土台を用意することである。

インダストリアル・エンジニアや部長クラスの管理者のための,予定されたセミナーやコンファレンスは,新しい知識を維持するための他の方法である。これらのコンファレンスは社内講師を利用することによりあまり費 用のかからない活動にすることが可育しで,社内で開催することができる数多くの資格を持ったコンサルタントがおり,彼らは,これらのセミナーを準備する専門家である。そして数多くの工学部は,公開講座を通して数多くのプログラムを用意している.数多くの例が示すように,これら社内で開催されたプログラムは何らかの価値があ る。そして社外で開催された技術的なプログラムもやはり一般的に価値あるものに思える。再度述べれば,インダストリアル・エンジニアリングの管理者にとって何が重要かということは,これらのプログラムの形や開催される場所などではなく,技術の向上を絶えず行わなければならないという認識と,組織が新しい概念と技術を保ち続けることを保証するための,計画された努力に対する認識である。

技術的,専門的団体の地方もしくは中央で開かれる集まりに出席することは,他の研修会に出席する要望と同様,注意深く計画され予算化されるべきである。米国IE協会(AIIE)のような専門的な集まりによって指 導された会合が,数多くすでに開催されている。これらの会合は概して一般に公開されており,いろいろな地方で開催されている。その発表内容は,協会の高いプロフェッショナル・レベルを維持するために,非常に高いレベルを維持している。これらのプログラムは新しい知 識の取得を促進する以外に,出席者間の経験を交換し合う機会を育てるのに役立っている。いうまでもなく,専門的協会のプログラムに積極的に参加するということは,専門的能力を発展させるための強力な刺激剤になっている。しかしながら,次のような段階がある。すなわち,この段階は,現在最高の経験と研究とを反映した概念と技術により支えられているインダストリアル・エンジニアリング組織の,機能的な責任を保証するように考慮されるべきである。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンド ブックの各章は、多 く の事例と理論を通し て生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方 ・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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