コラム・特集

現場の手続・帳票のムダはこんなところに

実践IE読本 第1集 やさしい自己啓発教材

最適な答えを考えてみよう


前回の答え

現場の手続・帳票のムダはこんなところに

前回の問題は,私達が毎日何気なくやっている仕事の中に,なれてしまっているため気づかずにいるムグがないかという例です。 伝票や台帳は, もちろん必要だから,作成しているのです。しかし,仕事のやり方が合理化されると同じように,帳票類も改善される必要があります。とはいっても帳票類は一度設定されますと,なかなか廃止しにくいものです.なぜなら ,帳票類はいろいろなところで必要としていますし ,何かと便利だからです。 しかし,ただ便利だと感する,あるいはあった方が安心だということだけでムダなものを作っていることが,逆に仕事の流れを悪くしていることもあるのです。

問題を読んで,何だ,簡単じゃないか!と感じた方もあったと思います.しかし,簡単なことでもいざ自分のこととなるとなかなか気がつかないものです.よくいう岡日八日というのがそれです.それにしても ,今回お願いした萱場工業の両氏の改善案はみごとなものです。相当考えられていることがうかがわれます。それてはP社の改善案を追ってみましょう。

読者の答え


現在のシステムを下のような 表に性理して,ムダな帳票がどこにあるか探してみました。

回答-1-一部品使用台帳のチェック項目は,加エシートのなかに全部記録されているのて,不要である。よって,40分の時間が短縮できる。

☆部品使用台帳を廃止した場合 ,使用部品数の記録は ,加工シートを参照することにする 。

回答2-一回答-1に加えて,出庫伝票が各仕掛湿:の送り元と,数量表示の機能を果たすだけなら,廃止する。

☆廃止したあと,加エシートにウラカーボンをつけて,写し方を次工程に廻すようにする。

そして,数量は生産数と一致させるように考えればよい。

回答3-―現在の帳票のシステムを全部変更する.

☆まず,材料課から部品出庫する場合,各工程別に,部品数を同じくしたセット出庫の形をとる.同時に,ウラカーボン式の加エシート・工程間移動票・現品荷札を各4枚ずつセットにして工程1の部品受取時に発行して,各工程で1枚づつ取るようにする.なお ,加工シートには , ロット・ナンバーと加エロスの原因記入欄を設けておき,作業日報として使えるようにする。

(萱場工業 P・S機器部門 川道出 西巻卓己)

ひとつの解決方法


P社の各工程の班長は,次の2点にしばって, 伝票と台帳の検討を始めました。

・現場(材料課を含めて)で必要なものは何か。

・原価計算のため総務課て必要としているものを , 他のもので代行できないか検討は数回にわたって行なわれ,改善方針が次のように決まりました。

・ 入庫台帳は,現場でも基本となる台帳なので残す 。

・工程の間の出庫伝票を廃止し,加エシートを複写形式にして出庫伝票の朴わりに使う。それによって工程間の中間材料の移動が記帳と関係なくてきる。

・部品使用台帳は,他のもので代行させる。

上記の方針にそって,総務課を含めてさらに検討を進めた結果 ,上の表の 3つの改善案にしぼられました。

第1案は,加エシートの1部を出庫伝票に使う方法です。

第2案は ,部品使用台帳を総務課へ移管し,加工課からは加エシートの1部を送付する方法です。

第3案は,部品使用台帳を全面的に廃止する方法です。 部品使用台帳がなくなった時の原価計算は,材料課の入出庫台帳上の部品出庫数と,各工程て月末に実施している棚卸で判る使用残数から ,部品使用数を逆算して月単位の原価計算におきかえます。

P社では ,最終的に第3案を採用しましたが,最初の2ヵ月間は移行期間として部品使用台帳もつけていました。

改善案から学んだポイント


P社の班長 は,今回の問題からいろいろなことを学びました。 まず,身 のまわりにムグなものあるいは簡素化できるものがあるということです。 次に第3案に関連して,総務課から現在のロット別管理を水礎とする原価計算と第3案による月別総合原価計算について詳細な説明があり,いままでどちらかといえば無関心だった原価意識をもつようになったことです。

そこで,各班長 は,加エシートの記入を正確にすること, ロット別管理についても班長が 十分管理できる体制にすることを約束しました。ムグをなくすときのポイントをひとつあげておきます。それは,まず思いきった改善案を出すことです。現実では不可能と思われるくらいのもの が望ましいのです。そういう改善案と現状との間をキャッチボール のようにやりとりしていると思いがけない良い案が出てくるものです.西巻さんの回答3はその良い例です。

現状にこだわって出された改善は,どことなく改善意欲のわかないものになりがちなことを常に心して下さい。

「実践IE読本(編・日本能率協会・1971)」をアーカイブとして掲載するものです。この読本のの各章は現場生活のなかでぶつかるいろいろな問題を事例を通してとりあげています。職場生活の悩みのタネとなっているムリ・ムダ・ムラをどのように受けとめて、改善のヒントをつかんでいくかが、IE・インダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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