コラム・特集

最適レイアウトをみんなで考えよう

実践IE読本 第1集 やさしい自己啓発教材

仕事のなかのQ&A

最適レイアウトをみんなで考えよう

飯島 信太郎
(現場改善インストラクター )

S社は,ステンレスの金網を製造している会社です。工場は,東京の郊外にあり,広 々とした敷地の中に5つの建物がおかれています。工場を訪ずれる人は,皆その広さと整備された芝生や植込みに感嘆します。工場て働く人々にも ,この自然 環境の良さが反映するためか,人の和とコミュニ ケーションの良さが工場長の自 慢です。 この工場で作っている 金網は,パ ルプの溶液などをこすために使用さ れる日の細かいものから, ベルト・コンベヤーに使用される日のあらいものまてあります.金網を製造する工程は,図-1に示すように,伸線なましより線製織検査の5つに分かれています。

金網には,単線だけで製織した単織とより線を使ったより織があります。生産のほとんどが注文生産のため,必要が増加するとそれだけ11種が増えることが悩みの種です。最近の傾向ではよりが多く、より線が間に合わない状態になってきました。

そこで ,やむをえず ,一部下請けに出していますが ,今後もこの傾向が続ことが予想されるので,伸線→なまし→より線の工程を増築することになりました 。さっそく,設計課て検討を始め,いろいろな案が出されました。

工場長は , レイアウトに当たって実際に仕事をしている人の意見を重要視するように 指示しました 。この工場には140人の従業員がいますが ,その中から職長クラスを中心として 12人のレイアウト委員会が結成され ,検討が始まりました。

実際に検討を始めてみますと ,全員がこれだというものがなかなかまとまりません 。 そこで ,皆さんの知恵をお借りしたいのです。まず,現在のレイアウトを示しますと,図-2の斜線部分のとおりです。

現在は, 事務室以外は1階建ですが,A棟は B棟の 2階分の高さになっています.C棟の倉庫は ,原材料と製品が同じ棟に入っていますが , もう少し量がふえるとせまくなってしまいます。また ,金網を巻くための芯に使う丸棒は ,倉庫の中で角材から作っていま す。

そこで増築の条件と ,いろいろな案から集約された3つの改善案を考え出しました。 増築の主な条件は次のとおりです 。

(1)伸線なましより線の工程を現在の2倍の広さにする
(2)現在C棟の倉庫は,現在の1.5~ 2倍の広さにするため ,原料と製品を別の棟にしてもよい
(3)製織工程の騒音から他工程を守る
(4)製織と検査は1階にする
(5)製繊→検査→製品倉庫は近いことが望ましい。

 

次に図-2,3,4の改善案がでました。

 第1案は,現状に最も近いもので,一番簡単に実施できそうですが,少し部分的な改善の感がします。

第2案は,前案を少し広げて,別棟をひとつ建て,仲線→なまし→より線の工程を移し ,空いた建物を原料倉庫に使います。また費用は第1案の1.5倍ぐら いになります。

第3案は,全工程をひとつの建物に入れてしまう 画期的なものです。したがって,空間を効果的 に利用できるとともに,工場全体の集中管理もやりやすく なりますが,騒音対策を含めて相当な工事期間が必要となります.費用は第1案の5倍程度です。

以上の代替案について皆さんはどの案がよいと思いますか。

 (つづく )

「実践IE読本(編・日本能率協会・1971)」をアーカイブとして掲載するものです。この読本のの各章は現場生活のなかでぶつかるいろいろな問題を事例を通してとりあげています。職場生活の悩みのタネとなっているムリ・ムダ・ムラをどのように受けとめて、改善のヒントをつかんでいくかが、IE・インダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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