コラム・特集

作業効率化への5つのポイント

実践IE読本 第1集 やさしい自己啓発教材

現場の基礎知識

作業効率化への5つのポイント

先月号に続き ,パフォーマンス管理の一方式PACの中から現場リーダー必読の項目を紹介していきましょう。

まず, 5つの特徴を下記に挙げますが,欧米のパフォーマンス管理と異なる点は,項目3,4,5です。


1.標準時間によるパフォーマンスの科学的な測定を行なう
2.金銭的な動機づけにかわって,現場の第一線監督者の指導力が生産活動を強化させる
3.パフォーマンスを職位責任別(例えば,課長・組長,工程の区分)に測定し,個々の除外工数の決定がされる
4.測定された評価数値を分析し,定期的に第一線現場監督者に報告さ れる
5.各職場から作業者を抽出して,現場に機動部門を設定する


先述のとおり ,標準時間によって作業者のパフォーマンスを測るため,その測定結果に対して,作業者,管理者ともに全幅の信頼感を寄せることが,まずPACの基盤となるのです。したがつてパフォーマンスを正確に把握することが絶対に必要となります.それには,現在その職場でできうる一番よい作業方法,作業速度,およびアイドル時間を職場ぐるみで考えあうとともに,その作業条件下で,適正な標準時間を決めることが重要です。

しかし 標準時間を使って,職場のパフォーマンスを管理していても,時 として,異常な作業状態は生まれてくるものです。 例えばパフォーマンスの値が90~80%を割る場合は,何らかの原因があると考えられます。それは,単に動作がおそいとか,休みが多くなっている理由だけでなく, 1日の時間の使い方・機械の操作・人員配置 ・作業動作などにわたって,適正状態とは明らかに違っている場合があります。

こんな異状事態のまま,ただやみくもに,生産量を上げようと激励しても ,効果はないし,作業者にムリを押しつけるばっかりに, “ウチのボスは何もわかっちゃいない”という不満を職場に起こしかねないものです。

こんな異状事態のまま,ただやみくもに,生産量を上げようと激励しても ,効果はないし,作業者にムリを押しつけるばっかりに, “ウチのボスは何もわかっちゃいない”という不満を職場に起こしかねないものです。

次に標準時間の3つの特性,つまり 正確性,一貫性,絶対性について説明しておきましょう。

正確さが必要といっても,利用目 的,設定コストに見あった精密さが必要です,何もかも標準時間といえば1/100分を単位にして測定することはないのです.また,一番重要なことは,標準時間を組みたてていく 過程や考え方が科学的であることです.そこで「一貫性」ということ が問題になりますが. たとえば,組立部門のパフォーマンスが,60%で,機械加工部門が30%なら,部門間での作業努力の差は20%あるということになります。それは部門別の作業の質的な ,生いも,時間の長短に置きかえて,標準時間のなかに組み込まれているから ,異なる作業内容の職場間でも一貫して比較できるわけです。

次に「絶対性」という のは,動作の速さ,つまり作業ペースについて,何人も異論をはさむ余地のない標準が設定され,世間一般に公開されているのです.この標準速度に基づいて設定 すれば各職場はこれをそのまま採用するか,もし異なるとしても,そのベースとの比率を明らかにしておかねばなりません。 また年が変わっても ,今と昔のパフォーマンスを比較することもできるし ,各企業間,国際間においても比較できるわけです。それよりも,さらに重要なことは,経営者側の一方的な労働強化もできなくなるわけです。

金銭に勝る第一線監督者の指導力

2番目の特徴は前項のとおりですが,金銭にかわって, 班長,組長さんあたりの現場第一線リーダーの指導力だけで,職場の生産性をあげさせるにはどうしたらよいかということで, これも大変なことです。

ここで,その指導力の個人差がみごとにでているE社のある部門の実績グラフをみてみましょう.この図はPAC実施後3カ月たったころから表わしています.この部門には5つの組があり,PACスタート時はどの部門も50~60%の パフォーマンスでした。ところがグラフ中の10週日頃にはY,K組が他よりも低いため,13週目にはY,Kの両組を合わせ,新らしくSさんを組長に任命しました.それからは, S組のいちじるしい変化が起こり,図のとおり20週目には逆転し,25週目になって110%をコンスタントに持続できるようになりました。組長交替によってパフォーマンスはみごとに変化したわけです。

以上の話から,組長の人選は非常に重要なことだと感じますが,その前に,どこにSさんとY,Kさんの違いがあるのか分析してみることは非常に大切なことです。その違いを一言でいえば,Sさんの仕事ぶりと取組む姿勢ということになりますがもう少し具体的に1つの分析結果を述べてみましょう。

一般の工場では,作業員は,基本的にきめられた方法で作業をするように要求されます.その方法とは,単に生産性だけでなく,製品の品質維持,安全衛生,設備保全,コストなどを総 合的に考えた作業者にとって最もよい作業方法ということです。

このように拘束された活動の中で,作業員の発揮できぢ努力を高い水準にもっていき,かつその水準を維持することが,第一線監督者の役目となるわけです。Sさ んの場合にはそのような役割りを品質の維持,納期, コストといった表面についても 彼の責任を十分に果たしていたためにできたということです。

以上の見解を基礎にして第一線監督者のあり方をまとめてみると,次の4つに要約できます。

1)常に職場にいること

●技術や工程スタッフの補強
●事務補助員を置く
●彼の机を部下のいる作業場に移す
●自分の職務内容を検討し,職場にいられるように改善する

2)自ら作業員を直接指導する

●自分の不得手な仕事について,他の人に指導を任せる時も 一緒に行なう,ま た部下の人間性をも考慮して指導する

3)個人別に具体的な指導をする

●パフォーマンスの実績数字だけあげて,全員に訓辞しても何にもならぬ.目 の前の作業者1人ひとりに,キメ細い指導 をする。それは,個々の作業員のパフォーマンス低下要因はマチマチであり,指導方法も個人別に能力,性格に合わせて行なう必要があるためです。

●また「来週はパフォーマンスを10あ げよう」と言うより , 「この仕事を昼までにかたずけよう」「今の君のやり方をこんな具合にしたらどうか」といった指導方法を行なうようにする。そしてタイミングよく注意したり,ほめたりすることです。“ 気の抜けたビール”にならないこと

4)強いリーダー意識をもつこと

自分の責任はこの手で

さて, PACの3番目の特徴としては,パフォーマン スの責任を職位別に区分して,それぞれの責任範囲を決め,除外工数を決めることです。作業者に起因するアイドル時間については前述のとおりですが,ここでは直接現場を管理する側のアイドル時間のとり方を説明しましょう。

まず第一線監督者の責任範囲について, 機械の故障・修理による手待ち材料部品の欠品による手待ち作業指導・報告もれ工数など

次に課長,係長の責任範囲について .
整理・棚卸 会議・教育 材料不良 図面ミスによる不良・手直し計画訓練など。

次に責任階層の区切り方ですが,職務権限が重複しないように決めることが肝心です.それには①重複の多い2つの階層は1つにまとめる ②不可避理由(停電など)は部長以上 ③工程係とか設備係のスタッフ部門の責任は直接上位のライン管理者,といった具合 に規定します。

パフォーマンスを分析され,そして知らされる

第4番 目の特徴はパフォーマンス実績の数字の内容を分析し て第一線監督者に定期的に報告することです。

左図に見られるとおり, PACでは例えば加工と段取に分けてパフォーマンスを分析します,この図は数工程からなる鋼材加エラインの過ごとの分析で,だんだん両者の差がなくなっているのがわかりますが,それは,この分析報告で何らかの修正 活動があったものと思われます。

まだこの分け方以外にも作業形態によって,配員の差と時間の差に分けてやる方法もあります。

現場工数を工場全体で活かす

日々の適正配員のための機動部門を設けることはPACの5番目の特徴です。それは,職場の小さな作業グループの壁をぶち破り,工場全体の運用体制を固めることがねらいです.毎日の欠勤による定員不足,加工品種の切替えで生じる配員の増 減,特急納期のための要員増強といった事態をうまく切り抜けるためには機動的な人員調整がどうしても必要です.

つまり第一線監督者の日先だけの人情主義や怠慢さを分離して,自分のところの工数が余っている時は,すぐに放出でき,不足の時は借りられるようにすることです。

具体的な編成方法は,各職場の人員はそのままにして,最底必要人員を除いた在籍者を応援にまわすことになります。普通 は全作業員数の2割ほどになります.そ して工場全体の要求人数が多くなれば,優先的に順序を決めて応援先を決めるようにします。

以上簡単なPACの説明でしたが,もっと勉強されたい方は日本能率協会発行の「パック 」(門田武治著)を一度ご覧下さい。

(お わり )


こ のシリー ズは ,日本能率協会教育事業部視聴覚センターの制作した第一線リ ーダーのための視聴覚教材 「現場の改善シリーズ。 その7/仕事量の基準」 (監修 坂本重泰 )をもとに編集しております。

「実践IE読本(編・日本能率協会・1971)」をアーカイブとして掲載するものです。この読本のの各章は現場生活のなかでぶつかるいろいろな問題を事例を通してとりあげています。職場生活の悩みのタネとなっているムリ・ムダ・ムラをどのように受けとめて、改善のヒントをつかんでいくかが、IE・インダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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