コラム・特集

前回の答え 不良返品の原因はここにある

実践IE読本 第1集 やさしい自己啓発教材

仕事のなかのQ&A

前回の答え 不良返品の原因はここにある

飯島信太郎
(現場改善インストラクター)

問題点が少し抽象的てあったので,読者の 皆さんもハテ! どんなぐあいに攻めてよいものか戸惑われたことでしょう。 そこで若干の説明を3氏の回答につlナ加えて,解決策を考えましょう.まず,全体的にいえることは,新製品に目をつけ ,そこから適確な判断が下されていることです。お答えになっ た3氏は前回の質問のスイッチ製造工場とは ,全然違った職場であるので,私の答えとは一致しない 点もありましょう。

しかし 問題の攻め方ということが前回のテーマですので ,そこから考えていきます。 A,B,C各氏の 回答の共通点に ,試作時と量産時の製作・製造条件の違いがありました。その点は非常に重要な指摘です.というのは,試作時点では,設計者と作成者とが密接であり ,作成者もベテランが多いので手直しをしてカバーしたり、また1人で何工程も担当することが多いのです。しかし,量産時点では,工程別に担当者は違い,設計者も現場には入りにくくなっています。

そこで,B氏のように新製品については,当分の間設計者が現場をまわり ,班長と確認し合うことを義務づけるようにすればよいでしょう。

次に,製造現場でしかわからない問題点があります。そこでB氏のいわれたように,平素から担当者には問題点を報告させ,特に新製品の場合は,どんな小さなことでもすぐメモを出させることです。同じような問題が何人かから出されるような場合は,どちらかといえばその工程内で検討すべき問題が多く,単独で出てくる問題は設計部門と相談することによって製品のパラツキを小さくさせることができるでしょう。

その他,いろいろな問題点も考えられますが , ここで3人の答のなかから,目についたポイントだけとり出しました。

・新製品の試作と量産時では,作り方の違いがある

・製造現場でしかわからない作業情報の把握が肝心

・ケースの問題だけでなく,局部的な仕様変更が及ぼす製造ラインヘの影響を知る

そこで,以上の3点が見つかってもさてどうやって問題に取り組むかということです。取り組み 方は経験や同僚などの助言をもとに,ひとつひとつ身につけて行くものです。この講座の目的もそこにあります。

ひとつの解決例


さて,先月号の宿題を抱えた班長の林さんは友 人の助言により,社内をひとまわり するとともに 部下から特に変ったことはないかを聞くという 2 点にしばって,さ っそくとりかかりました。

☆ 同僚から聞いたこと
各工程の班長の意見をまとめると,次の2点にしばられました.第1は,スイッチが小型化されたため,従来に比べてかなりの技術向上が必要であるが,まだ作業員のレベルが完全に追いついていないこと.第2は,ケースが小型化され,深さは同じで縦と横が小さくなったため,部品の取付け工程が特にむずかしくなっていること

☆ 部下から聞いたこと
最近特に変ったことはないかという点では,小型化て、新しく作った治 具が古いものと混同して困るということや ,また,疲れをうったえる人が多くなっていることもわかりました。

林班長は,治具の件を重視し,調べたところ , ケ―スがちょっと小さくなり,治具も局部的に変
えたため ,見分けにくい欠点があることをつきとめました。ユーザーが不良品の多いといっている ロットが出た日はちょうど職場でドライバーの歯先が問題になったりした日で,メモをと った日と一致しているのです。そこで ,旧治具でテストしたとこ ろ ,ケースの組付が 不十分なため ,使用中にガタがきやすく絶縁が悪くなることがわかりました。 そこで,林班長は製造課長へ新しい治具の作り方が原因と考えられると報告しました.また,ケースの深さを少し浅くできいか検討するよう要望し,改善されたのです。

大きな原因を2つか3つたたけばよい


なぜ不良品ができる かというと ,そ れは製品に バラツキがあるからです。原料,設備および担当 者が同一であっても ,完全に同じものができるという保証はありません.原料にもバラツキがあり ,また設備や人の作業にも小さなムダ・ムラがあります。その他にもパラツキの原因はたくさんあります.温度や湿度をはじめ天候などで考えると数え切れません。

し かし ,問題は影響を与える程度です.だから, そのききかたの小さいものは一応無視して,大き くきいているものだけをさがし出し,それをできるだけ安定化すれば,商品の品質も安定してきま す.そう考えますと,不良品の原因はせいぜい 5つか6つ位が普通ですし ,その中で特に大きい原因を2つ位直しますと ,不良品はなくなります. さんざん苦しめられた不良品が,わずか1つか2つ手を打っただ (すではとんどなくなたという 例が多いのです。そこに職場生活の楽しさもあると いえるでしょう。

「実践IE読本(編・日本能率協会・1971)」をアーカイブとして掲載するものです。この読本のの各章は現場生活のなかでぶつかるいろいろな問題を事例を通してとりあげています。職場生活の悩みのタネとなっているムリ・ムダ・ムラをどのように受けとめて、改善のヒントをつかんでいくかが、IE・インダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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