コラム・特集

仕事量とパフォーマンス

実践IE読本 第1集 やさしい自己啓発教材

現場の基礎知識

仕事量とパフォーマンス

作業の効率化に果たす標準時間の役割り

(編集部)


製造現場,事務関係の別なく ,職場では「 1分たちは一生ケンメイ働いているのに,他の連中は!といった声も時として起こりうる。事実,仕事量のバラツキが,各ポジションによって起こっても ,作業内容が違うのだから,一概に比較できるわけがないじゃないか,ということになる.不満組としては,まさに,お手あげである。
しかし先月号で紹介した標準時間というものを,働きぶりのメジャーに使ってみれば,動機の是非はともかく日頃のそんな問題も何とかてきそうだ!と, 思えてきます。ただ先月分だけでは,標準時間の骨組までで,まだ応用段階ではありません。そして,肉付けをするといっても,標準作業方法の設定,適正な作業速度,余裕率を見つけるための作業観測のやり方など,課題は山積みです.そこで,冒頭の話ではないが, 腋武器”として標準時間を使えるぐらいになるには,個々の基礎知識に終止する前に,まず標準時間の役割を実際にみてみるのも勉強の的を絞る役目になろう。また本誌だけでなく,広くこの分野の知識を身につけて,α自分たちの標準時間” は現場の情さんで作られることを期待します. 今回は,現場リーダーが成否の鍵を握るパック(PAC) という作業能率向上の手法を通じて,標準時間の活躍ぶりを紹介します。


パフォーマンスという言葉

働きぶりを示す英語にパフォ―マンス(Performance)という言葉があります.1番目の写真のようにいろいろむずかしい日本語がありますが,ここでは,まぎらわしいので,パフォーマンスに統一し,仕事をする人の作業努力の結果を表わすこととします。

さて,このパフォーマンスの単位について厳密にいえば,測るものが違えば異なりますが,これから紹介する実例は,%が単位になって,現場の生産実績の推移を出したものです。 縦軸のパフォーマンスは次の式で表わします。

出来高工数(達成した作業量×標準時間 )÷実績工数(実際に消費した延作業時間)一除外工数

ここでいう工数とは時間が単位となるものですが,除外工数というのは,手待ち,材料不良といった作業者に責任のない余裕時間で,標準時間の構成要素の一つ余裕率のなかの作業余裕に関係します。

出来高工数・作業者責任工数・実績工数について,左の図をみて理解して下さい。一番上の出来高に,標準時間をカケ合わせた出来高工数を基準にして,作業者責任工数の多い少いを測っているわけです,図のように作業者責任工数の方が多ければ,その差額が作業者責任のアイドル(遊び)工数で,パフォーマンスが低いことになります。

パフォーマンスの推移を測った期間にも,製造方法,作業方法の改善・工夫があれば,すでに決められた標準時間は,当然変えなければなりません。そこで,A社,B社,C社の生産実績の上昇記録のなかにも, “改善”による伸びは区別できません。しかし,すでに上昇実績のなかに現われていることになります。

以上パフォーマンスについての実例を紹介しましたが,そのなかでパフォーマンスは60%前後から120%前後までの間のいろんな値をとっています。それは作業改善,設備改良,工場の操業度,こまぎれ生産の多少,材料不良,といった作業者外の要因には影響されず,純粋な作業努力の結果,つまリパフォーマンスを示している値です。

標準時間が基礎となるパック

さて,このへんで,働く者のパフォーマンスがそんなに易々と変るものなのか,と 感じられたかも 知れません。しかし事実それだけの生産性向上が皆さんの現場でも可能です。それは, パックという手法が皆さんの疑間を解いてくれると思います.
しかし ,まだ基礎的な知識固めが主眼ですので,まず,パックの名前だけ説明しておきましょう 。Pはパフォーマンスのピー,Aはアナリシス(分析)のエー,Cはコントロール (管理) のシー,合わせてPACです.名前はバタくさいが,れっきとした日本生まれの手法です。

パックのいう標準作業とは

パックを実施する上で,標準作業に対してどのような基準で,適否を決めているのかは問題ですか これは標準時間を決めるにあたって重要な視点になるので,まず日頃の作業で気につく点から

・作業進行中に, 2分とか3分といった,わずかな間でも, 理由がなく,仕事を中断するようなことはないか。

・休憩の前後,仕事の切替時に起こる,ちょっとし た不要な整理,また作業の中断はないか.

・始業前,終業後に行なう掃除や整頓で,必要以上のことをやって時間をムダにしていないか.

・また,一般的にていねいすぎる作業で時間をムダにし てい ないか.

・不注意で作業のやり直しを起こしたり ,不良品を発生しりしてないか.

・作業時間中の,作業速度に影響するような,仲間同士の談笑,離席などはないか

以上の点からわかるとおり,作業中の非生産動作は徹底的にやめようとのことです。当然,作業余裕率は減少させるわけで,そのために労働強化にならないように,作業方法,製造方法,職場生活での不便さ働きずらさを改善し,それとともに作 業余裕率も絶えずバランスして,決めねばなりません。

作業の速さを決めるのも同じく,働く者の適正さ・熟練度・ やる気の度合,製造方法といったものとバランスさせて,考えなければなりません.そのへんの情報については,班長さん, 伍長さんといった現場リーダーが一番よく知っているのです.

したがって,パ ックの成果を左右させるのは,まさに現場リーダー以外にはないことになります。また標準時間の値の適否も握っていることになります。

標準作業方法の決め方

標準時間設定の前に決めねばならぬ条件の一つに,標準作業方法があります。それは,製品の品質/使用する資材/設備の性能と保全/安全衛生といった各製造要素を満たし,なおかつ最も経済的,生産性の高い作業のやり方ということになりま
す。

たとえ,それを決めたところで,作業員が守ってくれなければ何にもならないことになります。そこで無視されがちな例を一つ拾ってみましょう。

配置人員の過不足の問題です。一人の作業者の最適持台数は作業標準の中に織りこまれています。ところが,加工品が変わると,同じ設備でも,定員が変わることになりますが,実際には,守られているとは限らず,標準より多い人員が投入されて,パフォーマンスが下がっていることもあります。

標準時間の話から, 1歩進んで,パフォーマンスの問題に移りましたが,読者の皆さんも,内容的にはちょっと理解に苦しまれたかも知れません.パックというパフォーマンス管理の手法を一部紹介し,そのなかで,標準時間の骨組から,肉付のしかたをいくつか具体的に示しました。個々の基礎的な知識はまだまだありますが,一番重要なことは,現場リーダーでなければつかめない標準時間の資料を,パックのような視点で,現場リーダーの方が自から集め,役立てることです。

この次も,引きつづき,パックの紹介し切れなかったところを掲載します.

(つづ く)

「実践IE読本(編・日本能率協会・1971)」をアーカイブとして掲載するものです。この読本のの各章は現場生活のなかでぶつかるいろいろな問題を事例を通してとりあげています。職場生活の悩みのタネとなっているムリ・ムダ・ムラをどのように受けとめて、改善のヒントをつかんでいくかが、IE・インダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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