コラム・特集

2.4 LPによる非線形性の取り扱い

IEハンドブック
第14部 インダストリアル・エンジニアリングの最適化

第2章 線形計画法

2.4  LPによる非線形性の取り扱い

最適化問題では,目的関数や制約条件式の中に非線形性がさまざまな形で現われてくる。非線形性のあるものは,LP手法で取り扱うことができるが,その他のものは特殊な非線形計画法で解かねばならない(143章参照)。

区分的線形関数
区分的線形関数は単位当たりの利益(費用)が,販売 (生産)レベルによって変化する場合などに現われる。たとえば,最初の40単位に対しては, 1単位当たり10ドルの利益が上がり,次の60単位に対しては単位当たり8ドル,残りについては単位当たり5ドルの利益があがるような製品について考えてみよう。総利益と販売量とをグラフ上にプロットしてみると,利益関数の非線形性は明らかである。図表14.2.1に示すように,‐ 利益関数は (0,40),(40,100),(100,∞)の区間でそれぞれ線形であるところから.区分的線形関数と呼ばれている。販売量に応じて,それを3つの活動に分けて考えることにより,利益関数を一次関数で表わすことができる。

x1=1単位当たり10ドルの利益で売れた量
x2=1単位当たり 8ドルの利益で売れた量
x3=1単位当たり 5ドルの利益で売れた量

売れた製品の量はx1+x2+x3であり,目的関数はZ=10×1+8×2+5×3で,これを最大化する。 ある利益に対して,何単位売れるかに限界があるわけだから, 次の制約条件が必要である。 0くx1く40, 0くx2く60, 0くx3 目的関数を最大化するにあたって,x1がその限界である。40に達するまで,x2は正にはならないことが容易に分かる。同様に,x3は x1=40,×2=60となるまでは正になれない。

連続的に変わる非線形利益関数に対しても区分線形関数で近似することにより,このような考え方を拡げることができる。区分的線形関数を扱うのにLP手法が適用できるのは,次の条件が成り立っているときである。

1.最大化問題においては,区分的線形関数の傾きが減少していく,すなわち凹関数であることが必要である(1単位当たりの利益は減少の傾向にあるか,少なくとも非増加でなくてはならない)。
2.最小化問題においては,関数の傾きが増加していく,すなわち凸関数であることが必要である(1単位当たりのコストは,増加の傾向にあるか,少なくとも非減少でなければならない)。

もし,これらの性質が満足されなければ,さらに複雑な整数計画法で定式化しなければならない。

最大―最小問題
ある種の最適化問題では,いくつかの変数または関数の最小値を最大化するという ,非線形目的関数に出合うことがある。3種類の異なる部品から組み立てられる製品を考えてみよう。製造する部品1,2,3の数をそれぞれ決定変数x1,x2,x3で表わす。もし経営陣が製品数を最大化したいと望むならば,目的関数は

(x1,x2,x3)の最小値― →最大化となる。

この形は非線形関数ではあるが,次のように線形化で きる.ノ を製品の数とすると 線形の目的関数は ,

yーー→ 最大化       (1)

となる。yはx1,x2,x3の中の最小値であるから,次の3つの制約式が加わる。

y≦x1               (2)
y≦x2               (3)
y≦x3               (4)

(1)を目的関数とする(2),(3),(4)の不等式制約は ,x1, x2,x3の最小値を最大化することと同 等である。

絶対値関数の取り扱い
制約式中に絶対値が含まれる場合は,2つの制約条件式に置き換えて扱うことができる。例えば非線形制約,

|x1-x2| ≦30           (5)

は,次の2つの一次制約と等価である

x1-x2 ≦ 30
-x1-x2 ≦ 30

(5)式のような非線形制約は機械負荷調整問題でしばしば起こる。x1が機械1における分単位での1日当たりの稼動時間を表わしており,x2は機械2の稼動時間を表わしているものとする。不等式(Dは,どちらの機械も一方の機械より1日に30分以上長く稼動しないという,機械負荷調整問題の制約となる。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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