コラム・特集

2.2 線形モデルの定式化

IEハンドブック
第14部 インダストリアル・エンジニアリングの最適化

第2章 線形計画法

2.2 線形モデルの定式化

LPモデルを構成するための3段階の基本手順は次のようになる。

手順1 決定されるべき未知変数(設計変数あるいは決定変数)を決め,それを代数記号で表わす。

手順2 問題中のすべての制限,すなわち制約条件を定め,それを未知変数を含む一次関数よりなる等式あるいは不等式で表わす。

手順3 最大化または最小化すべき目的関数,すなわち評価尺度を決定し,それを一次関数で表わす。次にこの基本手順を実例で説明しよう。

例題14.2.1(製品混合問題)ある会社では3種類の製品を製造している。それには3種類の資源,すなわち――労働量,資材,管理が必要となる。この会社の生産技術部門は以下のデータを示している。
資材の供給量は,600ポンド/日と限られている。また1日当たりの利用可能総労働量は100時間,総管理量は300時間である。そこで総利益を最大化するために,各製品の1日の生産量を決めるLPモデルを定式化してみよう。

手順1.「決定変数の決定」決定されるべき未知変数は, 3種類の製品の日産量である。これを記号で表わすと,

x1=製品1の日産量
x2=製品2の日産量
x3=製品3の日産量

手順2.「 制約条件の決定」この問題の制約条件は,3種類の資源すなわち―一労働量,資材,管理の利用可能量の制限である。製品1は1単位当たり1時間の労働量を必要としており,その生産量はx1であるしたがって製品1を生産するには,必要労働量が,1時間となる(線形関係にあるものと仮定する)。同様に製品2,製品3についても ,x2時間,x3時間必要とする。そこで総必要労働量は,x1+x2+x3となり,これが利用可能総労働量100時間を超えることはできない。そこで労働量の制約式は次のようになる。

x1+x2+x3≦100

資材の必要最は,製品1に対して10×1ポンド, 製品2に対して4×2ポンド,製品3に対して5×3ポンドである。資材に対する制約式は,

10×1+4×2+5×3≦600
となる。

同様にして,管理の制約式は,

2×1+2×2+6×3≦300
である。

さらに,変数x1,x2,x3非負の値しかとれない。これを非負制約と呼び,各変数がこの条件を満足しなければならない現実のほとんどのLP問題が,決定変数に非負制約をもっている。

手順3.「 目的関数の決定」この問題の目的は販売総利益の最大化である。製品に対して,生産した分だけ全部販売できる完全市場を仮定すると,販売から得られる総利益は,

Z=10×1+6×2+4×3
である。

このようにして,製品混合問題に対するLPモデルは,以下の制約条件のもとで,Zを最大化するようなx1,x2,x3を求めるこである。

目的関数:
Z=10×1+6×2+4×3 → 最大化

制約条件 :
x1+x2+x3≦100
10×1+4×2+5×3≦600
2×1+2×2+6×3≦300
x1≧0, x2≧0, x3≧0

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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