コラム・特集

1.8 最適化を成功させるために

IEハンドブック
第14部 インダストリアル・エンジニアリングの最適化

第1章 最適化:概観

1.8 最適化を成功させるために

モデル化,問題の定式化,求解に当たって考慮すべき重点をまとめよう(より詳細な論点についてはPhillipsの文献を参照せよ )。

1.簡単なモデルで十分ならば,複雑なモデルにしない一モデル作りや最適化のコストが,その解に値するか否かが常に問われねばならぬ。複雑なモデルが必ずしもより良い解をもたらすとは限らない。そのことはよく分かっていても,難しい問題の真向うからの挑戦につい夢中になって,その問題の価値以上に,モデルの精緻化のために時間と金を費いすぎ てし まうことはよくあることである。あるモデルの能力と一般性は,そのモデルが特定の問題を扱うのに有効であることと,それほど関係はない。特定な目的のためのモデル作り の実務では,モデルはできるだけ簡単にし ておくことである。
2.特定の手法に合わせて問題の定式化をしない一問題の定式化に当たっての仮定は,システムの現実と一致したものでなければならない。手法の選択は 問題が完全に定式化された後で行うべきである。“真の最適解”を求めようと高級な手法に手を付ける前に,まず,その最適化問題によい近似解を与えうる, 簡単な発見的解法が利用できるか否かは検討に値する。興味のある読者はWoolsey and Sunsonを参照されたい。その中では,生産スケジューリング , 機械順序付け,在庫管理,経済性分析,設備投資計画などの最適化問題を解くための,多くの“ 簡便法 ” が紹介されている。

3.モデルは用いられた情報以上のことは何もできな い一「GIGO」と呼ばれるコンピュータ・プログラミングでよく知られた格言(がらくたを入れても がらくたし か出て来ない)はモデル化においても通用する。モデルは与えられたデータを扱うことができるだけで,入力の欠陥を認めることも 正すこともできない。また,モデルはデータを作り出すことはできず,データを濃縮する,つまりもっと役に立つ形に変換することができるだけである。データ 収集は最適化研究の種々の段階,つまり問題の明確化,モデルの定式化,モ デルの検証において起こる重要な活動である。し かし,データ 収集のコストは,最適化研究から期待できる利得を超えるべきではない , ということもぜひ知っておかねばならない。

4.モデルは意思決定者にとって代わることはできない一モデルを意思決定者の代理として売り込みすぎないことも重要である。モデルにはまた人間の主観性や誤りが持ち込まれ易い。だから実施段階での最終決定には常に問題のある種の主観的な面が含まれる。問題が互いに矛盾するような目的を持っている場合には,この点は特に顕著になってくる。モデルはいくつかの代替案の定量的解析によって,管理者の客観的な決定を助ける。したがって,モデルは意思決定者の助力者と見なすべきである。

実務の中で実行された,最適化研究の成功例に関する良い文献に“Interfaces”がある。これはアメリカ OR学会と経営科学協会との協同出版で年4回発行されている雑誌である。この雑誌は事務・工業 ・行政での業務に,オペレーション ズ・リサーチと経営科学を応用し実施した記事をもっぱら取り 扱っている。主に現実問題への最適化モデルの適用に関心のある人々を対象としている。特にGrayと Gullinan―Jamesの書いた,種々の最適化の応用に関する優れた文献目録の載っている“Interfaces” の号は注目に値する Aginの書いた別の文献にも,実務での最適化研究の実施についてのよい議論を載せている。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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