コラム・特集

9.4 最近の制御モデル

IEハンドブック
第13部 IE技術者の定量的方法論

第9章 制御モデル

9.4 最近の制御モデル

図表13.9.1は標準的フィードバック制御技術を定義している。ここでは,制御ループの修正計算部分はプロセスの作動器,一般に制御バルブの位置を再調整する。しかし,前に検討した図表13.9.1の単一ループ・コントローラーによって例示されている。古典的制御理論の能力には,それがアナログ的方法またはデジタル的方法によってなされるかにかかわらず,きびしい限界があるということが,すでに1950年代後半に明らかになっていた。非常に増大された計算能力をもったデジタル計算機 の出現は,自動制御理論の発展のまったく新しい時期のはじまりへの動機になった。発展したこれらのものは, 前述した古典的制御理論に対して「現代制御」と以後に名づけられている。

1956年にBell manとその共同研究者によって定式化された動的計画の概念に加えて,変分法の動的最適化問題への応用がここでは重要である。Pontryaginの最大原理は1959年に開発され,またKalmanのフィルタ理論の同定技術は,この時期の重要な発見であった。この研究は,ここで述べられた重要な制御の進んだ研究とともに現在まで続けられている。これらの発展は近年工業の制御系の能力を大きく広げた。指摘されているように,計算機は要求されている遂行のためにほとんど常に必要である。

適応制御
「適応制御」とは,オペレーショ ンの可能な最良のモードを達成するために,それ自身のオペレーションを修正する制御系の能力のことである。

適応制御の一般的定義は,適応系が次のような機能を遂行できなければならないことを意味している。(1)システムの現在の状態についての連続的情報を与えるか,またはプロセスを同定する。(2)現在のシステム性質を要求されている,または最適性能と比較し,前に定義された最適性能を達成するようにシステムを変えるために決定をくだす。(3)制御系を最適状態にもっていくために適当な修正を始める。これら3つの原理――同定,決定,修正――はどのような適応系においても固有である。図表13 9.9は適応コントローラーが2次的ループで図示されていて, 1次的プロセス制御ループにある,正規なシステム・コントローラーのオペレーションを修正するという適応制御モデルを示している。

 

動的最適化制御において,制御系は特定の評価規準が動的に満足されるように動作する。規準は一般に制御されるシステムが,最短時間または最小トータル・コストで,原点から新しい状態に移すことを要求している。動的最適化と動的制御は,定常状態最適化にもう一段高度な技術を加えている。したがって,プロセス定常状態領域にある期間,最適性能レベルに維持されるばかりでなく,1つの操業レベルから他のレベルヘの変化は, 設定された全体の制御基準をうまく満足するように行われている。最適制御モデルは,それらを実行するために極端に大きい強力な計算機能力を必要とするために,現在は主として学術的にのみ研究されている。しかし,近い将来において,実用化が確かに可能である。 そうなれば, 付随しているプロセス・パス,たとえば循環的触媒反応プロセスとプラスチックのバッチ・プロセスに対して, 非常に感度の高いシステムに特に応用されるであろう。しかし,定常状態最適化の代数方程式に対立して,数学モデルにおいて解かねばならない方程式は,同次微分方程式の組であるので,演算速度と記憶容量との両方において,非常に大きい計算能力が必要である。

学習制御
学習制御とは,制御系が十分な計算能力をもっていて制御されるシステムの制御モデルの明確な表現を得ることができ,この新しく得られた知識に対して補償するために,それ自身のオペレーションを修正することができることを意味している。学習制御システムは,適応コントローラーのより発展したものであり,これは人工知能技術に応用できる。

多変数非干渉制御
多変数非干渉制御は,大規模システムに関係していて,そのシステムの内部変数はプロセスの他の関係した変数値に依存している。

古典制御理論の単一ループ技術は,それゆえ十分でないであろう。より進んだ技術が,そのようなプロセスに対する適当な制御系を開発するために用いられなければならない。図表13.9.10はそのようなシステムのモデルを示している。フィードフォワード・コントローラーは,プロセスの動特性とプロセス遅延を補償し,またユニット・プロセス・コントローラーが入力外乱を補償するのを助ける。多変数非干渉コントローラーは,製品Aについてコントローラー1の行動によって製品Bの流れにおける変動の効果を補償し,それゆえプロセスの出力変数の干渉を防止している。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

関連記事一覧

2019ものづくり公開セミナーガイド

B2Bデジタルマーケティングセミナー

ものづくり人材育成ソリューション

マーケティング分野オンラインセミナー