コラム・特集

9.3 基本的制御モデル

IEハンドブック
第13部 IE技術者の定量的方法論

第9章 制御モデル

9.3 基本的制御モデル

制御モデリング
方法論を形成する次の4つのタイプが,制御系の研究において物理的要素および関係を表現するために用いられている

1.古典的制御理論の基礎である数式,とくに微分方程式および差分方程式 (伝達関数はこれらの方程式に共通なものである).
2.多変数システムの状態変数に基づく現代制御理論と関連した数式.
3.ブロック線図.
4.シグナル・フロー・グラフ

詳細な関係が必要なとき,数学モデルが用いられる数式の解析を簡単にするために,一般に線形常微分方程式によって近似する。例えば,制御ループの特性微分方程式は

d^2x/dt^2 + 2αdx/dt+β^2x=ƒ(t)

と表わされ,システムの初期状態は次のように与えられる。

X (O)=XO
X'(O)=VO

ここで ,X(t)は制御される出力変数の時間関数,時間に関する一次と二次微分はシステムの時間的性質を指定し,αとβはシステムのパラメータ,ƒ(t)は入力関数であり,Xoとyoは与えられた常数である。

この例のような数式は,与えられたシステムの動作を記述するために展開される。一般に,数式または伝達関数は,おのおののシステム要素に対して決定される。それゆえ,モデルは個々の要素を適当に結びつけることによって明記される。この過程はラプラス・フーリエ変換を応用することによって,しばしば簡単化されるプロック線図またはシグナル・フロー線図(図表13.9.3参照)による図形的表現が一般に用いられ,要素間の結合を定義している。

数学モデルが定式化されると,制御系の特性は解析的または実験的に決定できる制御系の設計の目的である基本的特性は,(1)応答時間,(2)相対安定性,および(3)制御精度である。これらは周波数領域表現と呼ばれる周波数関数,または時間領域表現と呼ばれる時間関数によって表わすことができる 設計をすすめるために,数式を解かねばならない。それはしばしば複雑な手続きである。 比較的簡単なアプローチは,通常の制御方法に関して前節で述べられた図的方法を用いることである。

数値解析法および計算機シミュレーション法(13部 10 章参照)は ,解を得るために用いられるであろう。システムが数式的にモデル化するのには,あまりにも複雑なときは,多くの制御の細目および関係を記述するために図的手法が応用される。この場合,計算機シミュレーションは,システムの性能特性を評価するために一般に用いられる。

開ループ,フィード バックおよびフィードフォ ード・モデル
制御モデルは,前述したように開ループまたはフィードバック・タイプのいずれかとして分類できる。自動制御は常にフィードバックを要求しているので,これらのモデルのみならず,実際のシステムはこの2つのタイプの組合せを含んでいる。多くの自動化と計算機制御をシステムに導入することは,ループを閉じるという操作,すなわち開ループ操作の性能が不満足であると考えられる限り,もっと多くのフィードバックを与えるという操作を伴っているということが一般に知られている。

期待される将来の入力または操作条件に関する知識が利用できるときは,性能を改善するために,制御系によってそれらが利用できる。事前に用意されるこのタイプはフィードフォワード補償と呼ばれている。例えば,自動処理ステーションは適当なプロセス変動を生じさすために,材質の混合における期待されている変化に対して警報を出すことができる。この例の制御系のフィードバ ックの部分は,細かい調整のために続けて用いられてい る。しかし,全体の制御活動は大きく改善されるであろう。

多くの基本的制御モデルは前述したように3つのクラスに従っている(図表13.9.4)。

計算機プロセス制御の応用に関して,次の3つのクラスを定義できる。(1)図表13.9.5に例示されているように管理的制御または最適化制御,

 

(2)ダイレクト・デジタル制御(図表13.9.6),

および(3)階層制御(図表13.9.7),すなわちそれはプラントにおいて,同時に意思決定のすべてのレベルに影 響を及ぼす他のものとの組み合わせである。

図表13.9.5から分かるように,管理的制御または最適化制御は,主プラント制御系に対して,外部または 次的制御ループに計算機を置いている主プラント制御系は前に検討したように,通常のプラント 計測器や個々の電子的または流体的ァナログ・コントローラーとして残っている。計算機は直接または人間の介在を通して,コントローラーによって支配されている設定値または制御レベルを単に変化させている。それでその仕事はその操業から経済的収益を改善し,その動的制御に影響を及ぼさないようにプラント操業を整えることである。同時に,計算機の性能不良は,逆にプラント制御に影響を及ぼすことはできない。計算機がいま述べたように設定値 を計算するが,しかしプラント・コントローラーを計算機目身が調整しないで,その代わりにこの最終的行動をプラント・オペレーターに依存しているとき,これは開ループ制御と呼ばれるものである。計算機が単にプロセス変数をサンプルし,これらの正しい操業レベルを決定するが,最適化計算を遂行しないとき,これはプロセスモ ニタリングと呼ばれるものである。

ダイレクト・デジタル制御(図表13.9.6参照)は,計算機を用いて,図表13.9.1に示されている単一ループ・アナログ・コントローラーのグループをデジタル計算機で置き換えたものである。これは1つの計算機がそれがとって代わりうる多くのコントローラーよりも 高価でないという期待をもってなされている。デジタル計算機の計算能力は, もっと複雑なより進んだ制御論理の応用を可能にしている。

図表13.9.7に示されているようにモデルとして最も望まれている階層制御では,計算機を同時にすべてのプラント制御に応用することを試みている レベル1および2の機構は,おのおのに割り当られた制御機能の範囲においてのみ異なっているが,機能において類似している レベル1に用いられているデジタル・コントローラーは,化学分析器(例えばクロマトグラフィー)のような複雑な装置を統御し,指定されたフィードフォワード および相互干渉的でない多変数制御の計画を取り扱う。

レベル2のダイレクト・デジタル・コントローラーは図表13.9.1に示されているような,制御ループの多数の3モードと関連したタイプを取り扱っている。それはまた, CRTとキーボードからなるコンソールを通してプラント・オペレーターと会話する。すべてのコンソールを用いて,デジタル計算機間の通信はデジタル信号によっているアナログ信号への接続は,レベル1および2の機構について要求されている。レベル3の機構は,前に指摘したように管理的計算機制御系として役立つている。レベル4の機構は,生産計画を行い経営情報機能をはたしている。

階層的制御系がおのおののレベルにおける多くの計算機コントローラーによって実施されるとき,それは分散 制御系になるマイクロプロセッサー技術の急激な発展によって,分散制御の概念はまったく 魅力的なものになった。全体のオペレ ーションに対してよりも,むしろそれ自身の仕事に責任をもっている多数のおのおののコントローラー間の信頼できるコミュニケーションは,全体のシステムの応答を改善する。

基本的モデルのリストを終わるために,手動制御のモデル化に特に有益なタイプのモデルを含めなければ ならない。これらは予測モデルと認識モデルである(図表13.9.8)両者はシステムについての人間のコントローラーの進んだ知識に依存したフィードフォワード補償を含んでいる。予測モデルにおいて,将来の入力設定値の真の表示が,前もって良い情報として人間のコントローラーに与えら れるので,オペレーションを効果的に 制御できる。一方,認識モデルにおいて,人間のコントローラーはシステム特性と特質についての彼の知識に基 づいて,前もって適切にオペレーションを計画できる。

このような認識的知識は一般に経験によって得られ,またランダムな変動を受けるので,予知は平均的に応答を改善できうるが,しかし極端な場合には失敗することもある。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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