コラム・特集

9.1 まえがき

IEハンドブック
第13部 IE技術者の定量的方法論

第9章 制御モデル

9.1 まえがき

制御工学は基礎工学であり,かつ管理機能に関する技術である。その主な目的は測定し,評価し,また動的条件のもとで,コストと安全性とを考慮して,計画されている仕様内で要求されている目的を達成するように,プロセス,機械またはシステムのオペレーションを調整することである。適切に計画されたシステムは,それ自身のオペレーションと環境に変動がない限り,制御することなしに十分に働きうる。しかし,現実には,多くの変動がしばしば生じる。機械の故障,ヒューマン・エラー , 材質変化および誤まった情報は,システムが制御されなければならない理由の二,三の例である。

システムが比較的複雑で,動的変動の潜在的要因が多く存在するときには,もっと複雑な制御が要求される。とくに,ヒューマン・オペレーターが機械と計算機とによって置き換えられている自動システムにおいて,制御 の信頼性と制御手順の完全な設計が必要である。制御活動は個々のNC機械,素材処理装置および生産プロセスの自動制御を含んでいる。それらは,また生産,在庫, 品質,労働作業およびコストの制御を含んでいる。連続 的に同定し,変動と外乱とを追跡し,変化した応答を評価し,時機に応じて適切な行動をとる,正しい十分な制御を注意深く設計することは,それゆえシステムのオペレーションを成功さすために必須である。

この章の目的は制御モデルを記述し,制御系の研究と設計において,これらを工学的にいかに用いるかを説明することである。これらのモデルは,入力と結果の出力,またはシステム状態との見かけ上の関係を表わしている。 それだけで完備した小さな機構,組織または多数の梯状 配置における分散組織にかかわらず,モ デルはこれらの 制御機能を表わしているが,その機能は制御の共通原理に基づいている。それゆえ,この章を通して,明解さのために,特に機械的システムに関連した制御原理の説明と実例とを示すが,これらは組織的システムに対してもまた有効であると考えられる。これらの名前が意味するように,制御モデルは制御活動を記述し,その目的は条 件の広い範囲にわたってモデル化されたシステムの動作を予測することである。

なぜ制御モデルを用いるのか
制御モデルを用いることに対して次の3つの動機がある

1.システムとその制御の設計において,代替的提案を評価し,それらの中で最適なものを選ぶために性能の予測が必要である。制御モデルは,制御方法とその必要条件とを解析し,制御系の影響力と経済性とを評価する道具を設計者に与える。設計者に対して,制御モデルの使用は,計画されているシステムを構成し,その制御系を設計するように導く.例えば,機械に対する制御系のモデルを解析することによって,その機械に対するコントローラーの特性の仕様書を得る。ま たこれは,機械が安全に操業できる,またはできない状況を指摘することによって, 機械それ自体の設計に影響力を与えている。同様に, 航空機の人間=機械系の性能を表現している手動制御モデルは,パイロットの制御のもとで,その性能 評価が適合するような航空機を設計するために用いられる。

2 実際のシステムの操業中に,制御モデルは実際の 制御活動の道具として役立てることができる。システムの出力状態を予測するためのモデルの能力を,それらが生起するような特別な実際的条件に加えることができる。たとえば,自動生産装置の制御において,しばしば操作が行われるちょうど1ステップ前に,異なる制御政策で周期的に比較する必要がある。各時期に,どの政策が最適であるかを決めるために,装置の実際の現在の状態で1つ,または数個の制御モデルが分析されねばならないだろう。

3 制御モデルを用いる 第3の動機は,制御能力とシステムとそれらの要素の特性とを調べる必要性にある。このような調査は,前の2つの項,すなわち制御設計と制御遂行とに深く関係しているけれども, それらはより探索的なものとみなされている。決定の論理,観測,応答時間および制御性能のような基本的特性にここでは興味があり,それらはシステムの種々のタイプを特性づけている。良い例は手動制御モデルであり,その目的はコントローラーとしての人間の能力を調べ確立することである。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

関連記事一覧

2019ものづくり公開セミナーガイド

B2Bデジタルマーケティングセミナー

ものづくり人材育成ソリューション

マーケティング分野オンラインセミナー