コラム・特集

7.7 M|M|1の解析的アプローチ

IEハンドブック
第13部 IE技術者の定量的方法論

第7章 待ち行列の理論

7.7 M|M|1の解析的アプローチ

待ち行列モデルの最も単純なものはM|M|1モデルである。このモデルは,入力あるいは到着パターンかマルコフ型で,サービス時間分布か率μの指数分布である。

このモデルでは,主要な特性を数学的に研究でき,定常解を求めることかできる。いま (λ /μ )<1 とする。

pn (t)を時刻 t に,サービス中の客を含めて仮定した結果である。指数分布は,サービス時間の分布システム内にn人の客かいる確率と定義しよう。

このとき定常状態確率 Pn=lim Pn(t)は,

Pn=(1\p)p^n,n=0,1,2,3,…..

で与えられる。ここにρ=λ /μ とする。
ρ はトラフィック密度(traffic intensity)」,あるいは「利用率(utilization factor)」と呼ばれ,

P=1人の客の平均サービス時間/平均到着間隔

と定義される。Pnは幾何分布である。ρ<1であることに注意していただきたい。 もしλ =μ なら ,ρ =1であり,理論的にはサービ ス設備は100%使用されていることになる。 図表13.7.4はポアソン到着,指数サービスの結果をまとめたものである。

ρが1に近づくにつれて、行列中で待っている客数は急激に増え,無限大に近づく, このことは解析的にも示すことができる。ρか1に近づくにつれ,分母が0に近づき,行列中で待っている客の数は無限に大きくなり,行列は発散してしまう。現実の システムに対する条件はλ<μ であることが分かる。この条件はρ<1を意味し,これを満足しなければ,システムとして不安定となってしまう。

もし,サービスをする時間よりも到着する時間のほうか早ければ,待ち行列と待ち時間は連続的に増え続け, 定常状態には到達できない。このことは,サービス設備には遊休時間が必要なことを示している。サービスを短時間で完了するかどうか,もしそうならどれくらいのコストでといったことは,コストとサービスのトレードオフの問題となる。

定常状態分布を用いて,定常状態での以下の結果を示すことができる

1.システム内の平均客数Lは ρ/(1-ρ )であり, 分散はρ/(1-ρ )である。
2.(N+1)人以上の客がいる確率はρ^ (N+1)である。よってρか小さくなればなるほど,行列は短くなる。
3.待ち行列の平均長さLqはλ^2/μ (μ -λ )である。
4.平均稼働時間は(μ ―λ)1である。
5.客がシステム内にいる平均時間W(待ち時間十サービス時間)は (μ―λ)^-1である。
6.客か待ち行列中にいる平均時間(サービス時間を除く)は [(μ ―λ)^-1]-μ^-1=λ /μ (μ―λ)である。さらに, L=λWqである。
L=λWについては 特に記述しておく必要がある。これは「Littleの公式」として知られているもので,
平均待ち行列長さ=(単位時間中の平均到達数)× (客1人の平均待ち時間)であることを意味している。

この式は 基本公式であり,待ち行列システムの多くのものに適用できる式の1つである。証明はLittle,Jewell を見よ。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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