コラム・特集

7.6 表記法

IEハンドブック
第13部 IE技術者の定量的方法論

第7章 待ち行列の理論

7.6 表記法

待ち行列システムは通常,入力特性,(到着パターン), サービス・メカニズム,サ ービス・メカニズムの容数を表わす3つの値によって表記される。記号“D”は確定的なシステムを表わし,“M”はマルコフ型の入力を表わす。マルコフ型の場合,客は到着率λ(0<λ<∞)のポアソン過程に従って到着する。よって,時間t内に到着する数は,パラメータλt のポアソン分布に従う。ポアソン過程のよく知られた性質から,到着間隔,すなわち前の客が到着してから次の客が来るまでの時間は,確率密度λe^-λx,X>0なる指数分布に従うことになる。サービス機構でマルコフ型を仮定することは,客あるいは単位に対するサービス時間が,率 μ の指数分布となることを意味している。アーラン型の入力は“ E κ” で表わされ, この場合の到着間隔の分布密度は,

(λk)^κ/(k-1)!・e^λκu・U^κ-1, u>0

となる。ここでんは正の整数である。一般独立型の入力は “GI”で表わし,サ ービス時間分布の一般型は“ G” で表わす。サービス人の数で測られるサービス・メカニズムの容量は“ S”で表わす。以上の表記法でいくつかの待ち 行列システムを考えることができる。

たとえば, M|M|1,M|M|S,M|D|S,M|G|S,M|G|1,G|G|S,GI|G|G|Sなどである。これらのシステムで,一般に待ち行列の規律は先着順であると仮定される。

ふつう理論研究では,到着間隔は定常であると仮定される。現実の場面ではこのことは成り立たないかもしれない。待ち行列過程に関係している大部分の実際的な問題は,繁忙期の問題である。言い換えると,到着率が最大のときが最も重大となるような問題である。よく研究されている到着間隔分布の型は,いわゆるランダム到着に対するものである。すなわち,相続く到着の間隔は相互に独立な確率変数であって,すべて同じ確率分布をも つという到着に対する研究である。

完全にランダムな系列というのは,非常に大きく,互いに独立して挙動するような客の集団から客か表われるような場合の良い近似となろう。もし,かなり短い時間内の電話交換の呼びを考えるなら,それらは完全にランダムな現象とみらる。しかし,もっと長い時間で考えると,それらの挙動は変化してくるであろう。これに対する近似は確立密度λe^-λx, χ >0の指数分布でうまく表現される。指数分布は過去の履歴に無関係という特性(lack of memory property)を持っている。すなわち, t>t0に対する条件付確率P(X≦t|X≧t0)は値t -t0にのみ依存する。

たとえば,到着間隔が3分以上との条件付で5分以下となる確率は, 798分以上との条件付で800分以下となる確率と同じである。この両確率は到着間隔か2分以下の確率に等しい指数分布の仮定は,ポアソン過程を仮定した結果である。指数分布は,サービス時間の分布よりも到着分布に対する良い近似となっている。多くの場合,過去の履歴に無関係という特性はサービス時間分布に対しては成り立たない。

指数分布は ,かなり短いサービスを求める客が多数いる場合か,あるいは長時間のサービスを求める客か少数いる場合には合理的なものである。一方,サービス時間について考えると,サービスが完了するまでに要する時間は,すでに進行中であるサービスの時間とは明らかに独立である。このことは,たとえば,客か到着したときに, 1人の客が先着しており,その客がすでにサービスを受けているところなら,到着した客が行列しなければならない時間は,ちょうどサービス時間の分布となることを意味している。

Pearsonのタイプ3分布や対数正規分布もデータのあてはめに用いることかできる。これらの分布は数学的取り扱いか複雑なため,あまりわれることはない。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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