コラム・特集

5.11 信頼区間の推定

IEハンドブック
第13部 IE技術者の定量的方法論

第5章 仮説検定と統計的推測

5.11 信頼区間の推定

仮説検定と密接に関連している問題として信頼区間の推定がある。そ の基本的な考え方は,ふたたび統計量

Z=(χ―μ) / ( σ /√n)

を考えることにより最もよく理解される。この確率変数zは,図表13.5.1に示されるような標準正規分布にしたがう。前と同様,26%および-Za/2は,確率変数 z の実現値がzα/2の右側および-zα/2の左側に落ちる確率がそれぞれα/2となるような点を表わしている。した がって,次の式が成り立つ。

[-za/2 ≦(x-µ) / (ó/√n) ≦ za/2 ]となる確率=1-α

括弧内の不等式を変形し,母数 μ について解くと次の式を得る。

P[(x-z∂/2ó/√n) ≦µ≦(x+Z∂/2ó/√n)]=1-∂

この式は次のことを述べている 。もしわれわれがn個の観測値からなる無作為標本を得て,区間を計算したとすると,この区間が真の平均μを含む信頼度が1-α となる。いいかえれば,大きさnの標本を繰り返しとって,各標本からいまの区間を計算すれば,多数回の試行において, 100(1-α )%の確率で計算される区間がμを含むことになる。明らかに,この区間は1 度のみ計算され,その両端の値はμの(1-α)信頼区間の推定を構成する。 数値例として,本章での最初の例(単一油井の生産問題の例)を考えよう(ただし,σ^2=25)。

α=0.05
σ^2=25
±z a\2=±z0.025 = ±1.95
x=105.63
N=16

真の(未知の )母集団平均μに対する95%信頼区間は ,

[105.63-(1.96)(5/4)く μ く 105.63+(1.96)(5/4)]

すなわち ,

[103.18く μく108.08]

によって与えられる。いいかえると,同一母集団から大きさn=16の標本を繰り返しとってxでμを推定するとき,ここでの手続きで計算される区間は,95%の率で真の母集団平均μを含むであろう。

この95%区間は,標準偏差σが既知であることを仮定していることに注意せよ。これは通常の場合ではなく, 一般にはσをSで推定する必要がある 。もし先のzの表現を適当に変形するとき,われわれは異なった分布を採用することになる。すなわち,

t=(x-µ) / (s/√n)

はt分布にしたがう。

さて,t分布に関し,いままでに得てきた知識をもとに, 次の確率的な表現が成り立つ。

P[-t a/2 ≦ (x-µ) / (s/√n) ≦ ta/2]=1-a

括弧内の不等式を変形して

P[x-t a/2 s/√n)≦ µ ≦ (x+ta/2 ・s/√n)]=1-a

を得る。これはσ未知のときのμの(1-α )信頼区間の推定となる。

ここで次のことを注意しておく。Sが計算されるとき用いられている標本の大きさが30を超える場合,σ =Sとして正規分布を使用する場合と,より正確なn分布を使用する場合との差はほとんど現われない。統計量nの分布と統計量Zの分布とはn=∝ のときに一致する。

もし2つの母集団の平均値の差μ1― μ2に対する(1α)信頼区間を計算しようとする場合,第1の 母集団から大きさn1,および第2の母集団から大きさn2の標本をとり,x1とx2とを計算する。そして,いまと同様の方法で次のように(1-α )信頼区間を構成することができる。

P[(x1-x2)+Zα/2√(σ 2\1 (n1)+(σ 2\3 n2)] ≦ (µ1-μ2)

≦ [(x1-x2)+Zα/2√(σ^2/n)+(σ3 2/2 n2)]}=1-α 

明らかに,こ こでの手続きは,本章ですでに議論され た任意の検定統計量に対して適用できる。統計量χ^2,F,t′ に対する信頼区間の構成については, 統計工学の著書1を参照されたい。

 

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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