コラム・特集

5.7 分散既知の場合の2つの母集団平均値に対する検定

IEハンドブック
第13部 IE技術者の定量的方法論

第5章 仮説検定と統計的推測

5.7 分散既知の場合の2つの母集団平均値に対する検定

かなり長い検討の後,経営者は油井を購入し,また市場が楽観視できるため,もし第2の油井が,購入しようとしている第1の油井よりも平均で100バーレル/日多い率で生産できる場合は,第2の油井をも 購入するとの決定をした。さらに調査して,経営者は第1の油井が実際に100バーレル/日の率で生産していて,その油井を購入すべきであるとの確信を得た。この時点で,ブロウ・ハード会社は新たな油井を提示し,その油井は最初の油井に比べて100バーレル/日多い率で生産していると主張した。そこで,経営者はふたたび統計的な調査を要求し,毎日の生産量を比較するために両方の油井からの標本が得られた。ブロウ・ハード会社は第1の油井の生産量の分散は240バーレル/日で,第2の油井の分散は 276バーレル/日であることを保証した。第1の油井からはn1=12日間のデータを,第2の油井からはn2=18日間のデータを得て,それぞれの平均はx1=102バーレル/日,n2=212バーレル/日となった。

分散σ2\1=240お よびσ2\2=276は 両方とも 既知であるので,適当な検定は2つの母集団の平均値の差に対する z検定である。その手続きは次のようになる。

表1

数値計算の結果は次のようになる。

表2

この検定での棄却限界値は±z0.025=± 1.96で与えられる .したがって,帰無仮説を棄却するだけの統計的な検証が得られていないので,経営者のこの検定結果に対する解釈のもとに,両方の油井とも購入するのが適当な決定となるであろう.しかしながら,第1の油井のみについて検定した場合と同様,いまの計算で用いたσ2\1 と σ 2\2との値が変化しているのではないかとの疑間が生じる。この疑間は次の問題を提示する。すなわち,「母集団の分散が未知の場合に,いまと同様の検定を行うことができないか」という問題である。xiとx2とを計算するために用いた標本から,σ2\1と σ2\2との推定値をs2\1とs2\2として推定することができるので,この問題に対しては統計的に解決可能である。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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