コラム・特集

5.6 分散の検定

IEハンドブック
第13部 IE技術者の定量的方法論

第5章 仮説検定と統計的推測

5.6 分散の検定

前節の結果は,統計量2を用いた最初の両側検定の結果と異なるため,経営者にとっては混乱が生じてくる。技術者は,この違いは母集団分散σ^2に関する知識の不足から生じたものであると説明する。そこで,経営者は σ^2の推定値s2が最初のσ^2の値(最初に仮定されていた値)よりも大きくなっているので,最初のσ^2の値が,実際に変化しているかどうかを見るために,標本分散の統計的な検証を要求した。このような場合の一般的な統計的検定は,次のようなχ^2検定となる。

仮 定

σ^2=100
母集団は無限
母集団分布は正規
∂=0.005

仮 説

H0: ∂^2=100
H1: ∂^2≠ 100

検定統計量

x^2=(n-1)s^2 / ∂^2

廃棄限界値

x^2dF,1-∂/2;  x^2dF,∂/2,dF=n-1

t検定の場合と同様,棄却点は第1種の誤り確率αと標本の大きさ(dF=n-1)とに依存する。棄却限界値はχ^2表 (図表13.5.A3)から容易に得ることがおきる。

検定の手続きは,次のようになる。

仮 説

H0: ∂^2=100
H1: ∂^2≠ 100

検定統計量

x^2=(n-1)s^2 / ∂^2=(15)(225) / 100=33.75

廃棄限界値

x^2 1.5,0.975=6.262,x^2・15,0.025=27.488

χ^2=33.75は限界値27.488よりも大きいので, 油井の生産量の分散は,100バーレル/日 から他の値に変化しているという結論に導かれる。もちろん,s^2の値をもとにして,生産量の分散は,だいたい225バーレル/日ぐらいに増加したと結論することもあるかも 知れない。これ以上の調査は意思決定者(買手)次第であろうが, 次にとるべき良い行動としては,さらにデータを集め, 全体の状況を再調査して行くことであるということは明らかである。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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