コラム・特集

5.5 分散未知の場合の 平均値の検定

IEハンドブック
第13部 IE技術者の定量的方法論

第5章 仮説検定と統計的推測

5.5 分散未知の場合の 平均値の検定

ふたたび 油井の例を考えよう。理論上の分散 (σ^2)は実際には分からないが,詳しい調査によってその値が推測されるものとする 。σ^2を推定するために, 16日間のデータを用いて次のs^2を計算する。

S^2= {(∑n・i=1(xi-X)^2} /(n-1)

いま,n=16で ,s^2=225となった。σ ^2が 未知であるという 仮定のもとでは,統計量Zはもはや妥当な検定統計量ではない。この場合,次の検定統計量を使用すべ きことが,統計学によって示されている。

t=(X-µ) / (s/√n)

これはスチューデントのt分布にしたがう。両側検定に対する棄却点td/2と-td/2とは, t表 (図表13.5.A2)から決定できるが,dF=dn-1で定義される自由度とよばれるパラメータに依存している。 新たな仮定(σ^2 が未知)のもとで,もとのデータにもとづく両側仮説検定を考えよう。

仮 定

σ2は未知
μ =100
母集団は無限
母集団分布は正規

仮 説

H0: μ=100
H1: μ≠ 100

検定統計量

t=(X-µ)/(s/√n)

廃棄限界値

tα/2,dF=t 0.025,15=2.131
-tα/2,dF=-t 0.025,15=-2.131

t の値の計算結果は,

t=(105.63-100) / (15/4)=1.501

となる。したがって,帰無仮説は棄却することができず,油井の生産が実際100バーレル/日であることが採択される。

表1

この例は,分散(σ^2)が,未知の場合の母集団平均値 (μ)に関する検定を行うときのt統計量の使用について説明している。先に述べた場合と同様,与えられた問題の状況により,両側および片側仮説検定の両方が可能である。棄却限界は,第1種の誤り確率(α)のもとに設定され,第2種の誤り確率βについてはOC曲線が構成される。最後に,σ2が大きさnの標本にもとづく s^2 によって推定されているために, t検定が必要となっていることを注意しておく,もしπが十分大きいと,s^2がσ^2に近づくことが期待でき, 統計量Zを用いて検定することができる。一般にn>30の場合,統計量Zを用いる検定が受け入れられている。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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