コラム・特集

5.3 統計的仮説検定

IEハンドブック
第13部 IE技術者の定量的方法論

第5章 仮説検定と統計的推測

5.3 統計的仮説検定

n個の観測値からなる無作為標本を用いるとき,十分大きなnに対して,次の関数

Z=x-µ/σ|√n

は,μ =0で σ^2=1の正規分布にしたがう確率変数となることが統計学によって示されている。このことは,よく知られている中心極限定理の結果である。この定理は 次のことを述べている。平均μで有限の分散σ^2をもつ母集団からとった大きさnの無作為標本の平均をxとすると,

Z=X-µ/σ|√n

のしたがう確率分布は , nが無限大に近づくとともに標準正規分布(μ=0,σ2=1)に近づく。これは統計学において非常にめざましい定理である。というのは,この定理は個々の観測値に対する確率分布の形について,何らの知識も要求していないからである。

ただ,nの分布が有限の平均μと分散σ ^2とをもつことのみを要求している。

標準正規分布の確率密度関数は図表13.5.1に示されている。記号Za/2 (-Za/2)は Zα/2(-Za/2)の 右側 (左側)の確率がa/2となるようなnの値を示し,図表13.5.2に示されるような斜線部分を設定する。この斜線部分は,平均μz=0で分散a^2=1の標準正規分布の確率密度関数ƒ(z)にしたがう確率変数が,確率(1-α)でその実現値をとるような領域を表わしている。仮説検定においては,この領域は「採択域(acceptance region)」 とよばれ,斜線部の外の両側は「棄却域(rejection region)」とよばれる。点 -Za/2および点-Za/2 は「棄却点(rejection point)」とよばれる。ここで考えている確率密度関数ƒ(z)が変わっても, これらの概念は同じである。そこで,これらの定義を用いて仮説検定の手続きが展開される。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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