コラム・特集

2.4 確率変数

IEハンドブック
第13部 IE技術者の定量的方法論

第2章 確率の概念

2.4 確率変数

「確率変数」は,統計的実験の標本空間における各要素によって決定される実数値をとる関数である。確率変数を表わすのに,Xのような大文字が用いられ,それに対応する小文字すなわちxがその実数値を示すのに用い られる。

計算に用いる確率変数は離散的で,物指しで測る場合の確率変数は連続的である。 離散的および連続的な確率変数の例を次に挙げる。

1.計画的な保守のプログラムをもっているフォーク・トラックについての定期点検を必要とする運転時間数 (連続的な確率変数).
2.1つのボール箱からランダムに選び出される50本のびんのうちに,標準の数量よりも少なく含まれるアスピリンのびんの数 (離散的な確率変数).
3.カタログ販売の卸店において,毎日報告される, 売れ残りの在庫品数 (離散的な確率変数).
4.発電所における1時間ごとの発生電力量 (連続的な確率変数).

確率分布関数
推定できる確率値をもつ確率変数の各値の数学的関数を「確率分布関数」または「確率密度関数」と呼ぶ。離散的な確率変数に対する確率分布関数(FDF)は ,P(x) またはƒ(x)と 書かれる。 連続的な確率変数に対する確率密度関数はƒ(x)と書かれる。確率変数とそれらの確率との間の関係を記述する同様な方法は,累積分布関数 (CDF)によるもので,F(x)と書かれる。PDF, CDFについてのさらに広範な検討や,それらの性質については次に示す。

離散的PDFの定義
各xに対して, 0<ƒ(x )く 1〔 ƒ(x)の値は非負〕 Σ/(x)=1〔すべての実験結果の確率の和は 1 に等しい〕であるならば,関数ƒ(x)は 離散的な確率変数XのPDFである。ここで,P(X=x)=ƒ(x)である。

例13.2.4 離散的な場合――機械のオペレーターの標準作業時間を決定するための時間研究において,機械の故障の回数の記録が重要であると考えられた。機械の故障回数が100日間にわたる運転期間に対して記録され, 図表13.2.4のようになった。

確率変数Xが,ある日の機械の故障回数を示しているとすると,Xは 1,2,3,4という値をとると仮定できる。

xが1,2,3,4ということは,それぞれ,1日に1回,2回,3回,4回の故障があるということを示している。この場合の推定確率は,

P(X=1)=ƒ/N=10/100=0.10
P(X=2)=6I/100=0.61
P(X=3)=2/100=0.20
P(X=4)=9/100=0.09

であり,PDFは 次のように書くことができる。x=1のとき 0.10 P(X=x)=x=2のとき 0.61 x=3の とき 0.20 x=4のとき 0.09

であり,PDFは次のように書くことができる。

P(X=x)=
x=1のとき 0.10
x=2のとき 0.61
x=3のとき 0.20
x=4のとき 0.09

連続的PDFの 定義
すべてのxに対して,ƒ(x )>0であって

ƒ(x)={λè^-λx    x>0の場合}
ƒ(x)={0       x≦0の場合}

ここで, λ:故障率で, λ>0である。また,xく0 の場合は,部品はその使用に先立って故障することはないと考えられるので,適用しない変数の範囲を記述するのに用いられる。 次に,部品の寿命が1~3時間(1くXく3)の間にある確率を求めよう。

P(1 ≦ X ≦ 3)=∫λe^-λx・dx=e^-λ・-e^-3λ

λ=0.001とすると、

P(1 ≦ X ≦ 3)=e^-0.01・-e^-0.03
=0.99005-0.97045
=0.1961

  CDFの定義
CDFは ,確率変数に対する値の範囲にわたる確率の累積値である。これは,確率変数Xが,ある特定の値xよりも小さいか,またはxに等しいような確率として表わされる。すなわち, F(x)=P(Xくx)。
離散的な場合は

F(X)=P(X<x)=∑ ƒ(y)

と与えられる。例13.2.6 機械の故障についての例13.2.4において, 4回よりも少ない故障回数の場合の確率はいくらか ? 次のように与えられる。

P(X≦3) = ∑ƒ(x)=ƒ(1)+ƒ(2)+ƒ(3)=0.10+0.61+0.20=0.91

連続的な場合は次のように与えられる。

P(X≦x)=F(x)=∫ƒ(y)dy

例13.2.7 例13.2.5において,部品の寿命が3時間よりも小さいか,3時間に等しい場合の確率は次のようにして求められる。

P(X 3)=F(3)=∫λe^-λx・dx=-e^-λx∫=e^0-e^-3λ
=1-e^-0.03=1-0.7^97045(λ=0.01として)
=0.90925

離散的および連続的なPDFおよびCDFの図示

離散的PDF
離散的PDFのグラフは,ふつう「確率線図」と呼ばれ,これは,Xの特定の値に位置する鉛直な一連の直線群によって示される。例13.2.8 機械の故障回数についての例13.2.4のデータを用いて,点 (x ,ƒ(x ))をプロットして図表13.2.5に示されるように,グラフが作られる。

離散的PDF
離散的CDFの グラフは階段関数である。これは,機械の故障データ (図表13.2.6参照)から,点 (x,ƒ(x))のプロットをすると,図表13.2.7のようになる 。

連続的な確率変数の確率密度関数
連続的なPDFの グラフは,-∞か ら+∞の間で非負である。プロットは (x,ƒ(x))について行われる。

例13.2.10 電気部品の例 (例13.2.5)において,故障のCDFは,

F(x)=1-e^-0.01x

であって,図表13.2.9にグラフが示される。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

関連記事一覧

2019ものづくり公開セミナーガイド

B2Bデジタルマーケティングセミナー

ものづくり人材育成ソリューション

マーケティング分野オンラインセミナー