コラム・特集

1.4 複素変数と諸変換法

IEハンドブック
第13部 IE技術者の定量的方法論

第1章IE技術者数学基礎

1.4 複素変数と諸変換法

複素変数
i=√-1を「虚数」という。また,

s=x+iy

は実数部xと虚数部iyとからなり,「複素数」と呼ばれ る。このような数は,図表13.1.4に示すように ,複素平面上にあると考えられる。

 

複素数の演算
複素数についての演算は,従来の代数学の方法を用いて次のように行われる。ここで, i^2=-1である。

1.加減算
(x+iy)± (v+iw)=(x±v)+(y±w)
2.乗法
(x+iy) (v+iw)=(xv-yw)+i(xw+yv)
3.除法
(x+iy)/ (v+iw)=(xv+yw)+i(yu-xw)/(v^2+w^2)

いま,点 S=x+iyが図表13.1.5のように表わされるものとする。 図で,rは原点0から点Sまでの直線の長さ,またθは,この直線と実数軸との間の角である。原点0から点sに至る距離の2乗は次式によって与えられる。

r^2=(x+iy)(x-iy)

ここで,x-iyはSの「共役複素数」といわれ,S中の記号で示される。ゆえに,原点0から点sまでの距離は,

r^2=√ss※
または、
r^2=√x^2+y^2

点Sの座標は,原点からxおよびyの距離のところにあるから,

sinθ=y/r   cosθ=x/r
y=R sinθ   X=r cosθ

ゆえに、
s=r(cosθ+ sinθ )これは,複素数sの極座標表示である。 

 複素変数の関数
複素数sの一価関数をƒ(s)とする。sを s0に近づけるときのƒ(s)の極限値Iimƒ(s)は,ƒ(s)がs0において連続であるならば,ƒ(s0)に等しい。

複素関数の導関数
ƒ(S)の s0における導関数は,極限値が存在するならば,

ƒ'(s0)=lim・△s→0・ƒ(s0+̠△s)-ƒ(s0)/△s

によって与えられる。ƒ(s)は,xおよびiyの関数として表わすことができるから,

s0=x0+iy0

および,

△s=△x+i△y

である。
微積分学における。すべての微分法則が,複素数に対しても成立する。

解析的な複素関数
複素関数ƒ(s)は,ƒ′(s)が空間品における。すべての点において存在するときに 限り,s0 上で解析的であるといわれる。

  コーシー・リーマンの方程式
  いま、

  ƒ(s)=g(x,y)+ih(x,y)

とする。
偏微分、

ag(x,y)/ax, ag(x,y)/ay, ah(x,y)/ax, ah(x,y)/ay

が、空間s0において連続であるならば,複素関数ƒ(s)は、s0におけるすべてのSに対して

ag(x,y)/ay=-ah(x,y)/ax

でありときに限り、空間s0上で解析的である。

特異点
ƒ(s)が 解析的にならない点SOを「特異的」という。 s0が ƒ(s)の 特異点で, s0の近くにƒ(s)が解析的となるような点が存在するとき,s0を「孤立特異点」という。

複素積分
複素関数/(S)の 定積分,または 「複素線積分」ともいわれるものS=x+iyは,図表13.1.6に示されている。

Cを複素平面上の滑らかな曲線とする。曲線Cに沿うƒ(s)の線積分は,

∫ƒ(s)ds
si-1≦s≦si

mi=minƒ(s)
si-1≦s≦si

上限および下限リーマン和は,
と書かれる。曲線Cは「積分路」と呼ばれる。cが i番目の弧の長さが△si(△si=|si-si-1| )であるいくつかの弧に分割されるならば,

Mi=max ƒ(s)

Āa,b,n[ ƒ(s)]=∑Mi△si
Αa,b,n[ ƒ(s)]=∑mi△si

C上における線積分は,極限値が存在するならば,

∫ƒ(s)ds=limĀa,b,n[ƒ(s) ]=lim A a,b,n[ƒ(x)]
∫ƒ(x)dsのxおよびy軸への射影は、
y=g(x)
x=h(y)
によって,曲線Cを 定義することによっ て定められる。

 

ⅹ軸への射影は ,

∫ƒ[x,g(x)]dx=lim∑M1△xi

またy軸への射影は、

∫ƒ[h(x,y)]dy=lim∑M1△yi

線積分を簡単にするために

ƒ(s)=ƒ(x,y)

y=g(x)ならば、
ds=√1+[g'(x)]^2・dx
ゆえに、

∫ƒ(s)ds=∫ƒ[x,g8x)]√1+[g7(x)^2・dx
x=h(y)ならば、同様にして、
∫ƒ(s)ds=∫ƒ|h(y),y|√1+[h'(y)^2・dx

グリーンの定理
Rを,単純な閉じた複素曲線Cで囲まれた閉領域とする。いま,g(x,y),h(x,y),∂g(x,y)/∂y および∂h (x,y)/∂xがR上で一価かつ連続であるとすると,R上の積分は,

∫[g(x,y)dx+h(x,y9dy]=∫∫[∂h(x,y)/∂x-∂g(x,y)/∂y]dxdy

によって与えられる。ここで,∫∫は領域Rについての積分を示す。(図表13.1.7参照)。

コーシーの積分定理

s0を,単純な閉じた複素曲線Cで囲まれた閉領域とし, かつƒ(s)をs0において解析的であるとする。いま,s0がs0に対する任意の内点であるとすると

ƒ(s0)=1/2πi・∫ƒ(s)/s-s0・ds

ここで,Cに沿っての積分は,s0について正方向になっている。

変 換
フーリエ変換
ƒ(t)を実数変数tの関数とすると

Ft(u)=∫ƒ(t)exp[-iut]dt

は,ƒ(t)のフーリエ変換またはフーリエ積分である。関数Ft (u)と∫(t)とは変換対を形成する。フーリエ変換は,確率論において関数ƒ(t)の積率を求めるのに特に有用である。零のまわりのƒ(t)の積率をmnとすると,

mn=∫t^nƒ(t)dt

ƒ(t)のフーリエ変換が存在するとすると,零のまわりのƒ(t)の n次積率はmnとすると、

mn=1/(-i)^n・d^n/du^n・Ft(u)|u=0

で与えられる。

零のまわりの1次および2次積率は、

 

Z変換
離散的な変数″を取り扱う場合には,Z変換が非常に有用である。いま,ある離散的な変数ⅹの関数をƒ(x) とする。ƒ(x)のZ変換ψx(Z)は,和が収束するなら

Ψx(z)=∑Z^x・ƒ(x)

によって定義される。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

関連記事一覧

2019ものづくり公開セミナーガイド

B2Bデジタルマーケティングセミナー

ものづくり人材育成ソリューション

マーケティング分野オンラインセミナー