コラム・特集

1.3 微積分法と微分方程式

IEハンドブック
第13部 IE技術者の定量的方法論

第1章 IE技術者数学基礎

 

1.3 微積分法と微分方程式

基本的な定義
変 数
「変数」とは,ある特定の数の集合のうちの任意の値をとり得るもので,xのような記号で表わされる。 xが変化し得る値の集合をXの「変域」という。ほとんどの工学の応用において,次の例のように,ある区間内における変数がとりあげられる。

1.開区間 (a,b)={X:a<X<b}

2.半開区間 (a,b)={X:aくXくb} または (a,b)={X:aくX≦b}

3.閉区間 (a,b)={X:aくX≦b}

関 数
χおよびyを,空集合でない変数の集合とする。またƒを,各xεXに対してただ1つのyεYが存在するようなxおよびyについての順序対(x ,y)の集合とする。

このとき,ƒは関数であるといわれる。

記号,y=ƒ(x)は,「yはxの関数ƒである」と読む,例13.1.13Xを実数の集合とすると ,

y=1/3x-3 は関数である。

独立変数と従属変数
順序対(x,y)の1番目の変数xを,普通,関数ƒの独立変期,また2番目の変数yを唯属変数という,

いくつかの独立変数の関数

われわれは,いくつかの独立変数に依存する関数を考えることが多い。一般にそのような関数は,

y=ƒ(x1,x2,…Xn)

と書かれる。例13.1.4直円柱の体積υは ,

υ =πr2h

ここで, rは断面の半径, hは円柱の長さである。

極限値
関数ƒが,α の付近の各値に対して定義されているとする。このとき,Lは,Xをαに近づけるときの極限値であるといい,このことを次のように書く。

L=limƒ(x)

極限値に関して次のような性質がある。ただし,すべての極限値は ,x→αの場合とする。

1. lim(mx+b)=ma+b

2. lim[ƒ(x)+g(x)]=[limƒ(x)]+[limg(x)]

3. lim[ƒ(x)+g(x)]=[limƒ(x)][limg(x)]

4. lim[κƒ(x)]=κ[limƒ(x)]

5.lim[ƒ(x)/g(x)]=[limƒ(x)/limg(x)]

6. lim xn=an

αが無限大に等しくなるような特別な場合はx→∞と書かれ。

lim 1/ƒ(x)=∞ ならば lim 1/ƒ(x)=0

微分法
関数の導関数
関数 ƒ を y= ƒ(x)とする。
限界値として、

dy/dx=f'(x)= lim ƒ(x+△x)-ƒ(x)/△x= lim △y/△x

が存在し,かつ有限の値をとるとき,この極限値を,xに関するyの「導関数」といい、yはXについて「微分可能」であるという。記号dy/dxは「xに関する導関数」と呼ばれる。ここで、△xおよび△yはそれぞれxおよびyの変化分を表している。

導関数に関する演算を次に示す。

1.定数の導関数は零である。すなわちy=c ならば dy/dx=0,

2.nが正整数のとき ,x^nの導関数はnx^ n-1で ある。
すなわちy=x^nのときdy/dx=nx^n-1

3.d(u±v)/dx = du/dx ± du/dx

4.d(uv)/dx-u dv/dx+vdu/dx

5.d(un)/dx=nu^n-1du/dx

6.d(u/v)/dx=[v(du/dx)-u(dv/dx)]/v^2

7.d(sin u)/dx=cos u du/dx

8.d(cos u)/dx=-sin u du/dx

9.d(tan u)/dx=sec^2 udu/dx

10.d(cot u)/dx=-csc^2 u du/dx

11.d(sec u)/dx=sec u tan u du/dx

12.d(csc u)/dx=-csc u cot u du/dx

13.d(e^u)/dx=e^u du/dx

14.d(en u)/dx=1/u du/dx

15.d(a^u)/dx=a^u en u du/dx

関数ƒの第2次導関数は次式によって与えられる。

d^2ƒ(x)/dx^2=f^n (x)=d/dx ƒ'(x)

微 分
xの微分はdxと書き,-∞<dx<+∞ の範囲の独立変数である。 同様に,yの微分dyは関数dy=ƒ'(x)dxを表わす。

ここでƒ′(x)は関数y=ƒ(x)のxについての導関数である。

連続性
関数ƒが, x=cにおいて有限な導関数をもつならば, ƒはx=cにおいて連続である。またƒおよびgが,x=cにおいて連続な2つの関数とすると,次の各関数もまたx=cにおいて連続である。

F1=ƒ(X)+g(X)
F2=ƒ(X)・g(X)
F3=κƒ(X)

ここで, κは任意の数である。
g(c)が零でないならば,

F4=ƒ(x)/g(x)

もまたxにおいて連続である。

極大と極小
関数ƒは,零の付近の正負の値をとるすべてのκについてƒ(α)>ƒ(α+κ)となるときに,区間α<xくbにおいて凸であるという。いま,x=bにおいて局部的に極小であるとすると,零に近い力の値に対してƒ(b)くƒ(b+h)である。

もしも,xのすべての値に対してƒ(α)>ƒ(x)ならば,αは最大値である。また,xのすべての値に対してƒ(b)くƒ(x)ならば,bは最小値である。

関数/が αくxくbの区間で定義され,x =c (a<c<b)において相対的な極大値または極小値をもつものとする。cにおいて導関数ƒ′(x)が存在するならば

ƒ'(c)=0

ƒが局部的な極大値をもつならば ,
ƒ″ (c)く0
ƒが局部的な極小値をもつならば ,
ƒ″ (c)>0

凸と 凹 関数ƒが,区間αくxくb において,0<λ <1に対 して,

ƒ[λa +(1-λ)b]くλ ƒ(a)+(1-λ )ƒ(b)

であるならば,凸であるという。 また,

ƒ〔λa+ (1-λ)b ]≫ λƒ(a)+(1-λ)ƒ (b)

であるならば,凹であるという。
図表13.1.1(a)および 図表13.1.1(b)は ,それぞれ凸および 凹の関数を示している。

ニュートン法
この方法は,また「ニュートンーラフソン法」とも呼ばれ,関数ƒが微分可能である場合に,方程式ƒ(x)=0を解くための反復法である。この方法の考え方は,関数ƒのグラフを適当な接線によって近似することで ある。 図表13.1.2に示すように,ƒのグラフ上の1点X0をとつて,X0におけるƒのグラフ ヘの接線を引き,これとx軸との交点をx1とする。このとき

tan β =f′(x0)=ƒ(x0)/X0-X1

ゆえに ,
X1=X0 ƒ(x0)/ƒ’(x0)

一般的な公式として、

Xn+1=xn-ƒ(xn)/ƒ'(xn)

積分法
積 分
xあるいは,xおよびƒ(x)の関数として導関数を示している方程式ƒ(x)を「微分方程式」という。たとえば

dy/dx=2xy^2

区間 α<x<bにおいて,F(x)が微分可能であって、

dF(x)/dx=ƒ(x)

であるならば,関数y=F(x)は「微分方程式の解」という。ここで,F(x)は「xについてのƒ(x)の積分」といわれ,その記号,

∫…..dx

は「xについての積分」を意味している。このように,積分は微分の逆演算である。

ƒ(x)の不定積分は、

∫ƒ(x)dx=F(x)+C

のように書かれる。ここで,Cは任意の定数。たとえば ,

∫3x^2dx=x^3+c

明らかに

∫ƒ(x)dx=∫dF(x)

となる。
次に積分についての諸公式を示す。

1. ∫ du=u+C
2. ∫a du=a∫du
3. ∫ (du+dv)=∫du+∫dv
4. ∫u^n du=u^n+1/n+1 +c
5.∫udv=uv -∫vυ du
6.∫α^v du =a^u/∂na+c,a≠1 and α >0
7.∫cos u du=sin u +C
8. ∫ sin u du=-cos u+C

定積分は,関数ƒ(x)を,ある特定の区間αくxくbにおいて積分することによって求められる。これは次のように計算する。

∫ ƒ(x)dx=F(b)-F(a)

たとえば

∫ 3x^2 dx=x^3|=(2)^3-(1)^3-8-1-7

数値積分

定積分はある部分の面積を表わしていると考えられる。不定積分の形が分かっているときや,積分の公式の表に掲載されているときには,定積分が求められる。しかし, 不定積分が分からないときも多い。このような場合は,積分されるべき関数が連続であるときに定積分が数値的に求められる。数値計算法のうちで最も簡単なものは,「台形公式」と呼ばれるものであり,図表13.1.3に示すように,一連の台形の面積を加える方法である。

この場合,台形によって近似するための公式として、

T=(1/2y0+y2+・・・・・+yn-1+1/2yn)△x

が用いられる。ここで、

y0=ƒ(x)o, y1=ƒ(x1)・・・・・yn=ƒ(xn).

△x=x1-xi-1

台形公式では,関数ƒ(x)を,すべての i についての ƒ (xi)およびƒ(xi+1)を結ぶ一連の直線によって近似しているが,シンプソンの公式では,直線の代わりに一連のいくつかの放物線状の弧を用いて,一層高い精度の近似を行っている。シンプソンの公式は、

T=h/3(y0+4y3+2y4+・・・・2yn-2;4yn-1;yn)

ここで,nは 幅h =b-a)/nの部分的な区間の偶数の番号,αおよびbは それぞれy0およびbに対応するxの値を示す。

微分方程式
微分方程式は, 1つまたはそれ以上の導関数や微分を含む方程式である。微分方程式は次のように分類される。

1.形式:常微分方程式と偏微分方程式
2.階数:方程式中に現われる最高次の導関数の次数すなわち階数による分類
3.次数:微分方程式を,その独立変数やその導関数の分数形やべき根について整理した後の,最高階の導関数の最高の累乗の指数すなわち次数による分類

一般に,微分方程式において,y=ƒ(x)は,yとその導関数が,ƒ(x)とその導関数によって置き換えられるときに,微分方程式を恒等的に満足するならば,その微分方程式の解であるという。たとえば,C1およびC2を任意の定数とするとき,

y=C1 cos x +C2 sinx

は,微分方程式.

d^2y/dx^2+y=0

の解である。
一般に,n階の微分方程式は,n個の任意の定数を含む解をもつ。

常微分方程式は次のようにして解かれる

1.分離可能な変数をもつ 1階の方程式,

ƒ(y)dy+g(x)dx=0
の一般解は,
∫ƒ(y)dy+∫g(x)dx=c
ここで,Cは任意の定数,

2.1階同次方程式

dy/dx=F(y/x)
v=y/xすなわちy=vxとして、

dy/dx=v+X・dv/dx
ゆえに
v+x dv/dx=F(u)

定数の分離によって、解は、
dx /x+dv/(u-F(v))=0

3.1階線形方程式

dy/dx+Py=Q

ここで,PおよびQは xの関数である。ρ=∫pdxを上記の方程式の積分因子とすると,方程式にPをかけることによって、

pdy/dx+pPy=pQ

d/dx(py)=pQ

ゆえに解は、

py=
∫pQdx+c

 

4.完全微分をもつ 1階方程式

M(x,y)dx+N(x,y)dy=0
の形で書かれる方程式が,
aM/ay=aN/ax
のような性質をもつときに完全であるといい。

dƒ=M dx +N dy
のような関数ƒ(x,y)を求めることによって解くことが できる。

5.次式のような特1殊な形式の2階方程式は,変数を適当に変換することによって, 1階の方程式に変形することができる。

F(x,y,dy/dx,d^2y/dx^2)=0

6.定数係数の2階同次線形微分方程式

d^2y/dx^2+2a dy/dx + by = 0

ここで,α および bは定数.
演算子記号D=dy/dxを用いると、方程式は、

(D^2+2aD+b)y=0

となる。D^2+2α D+b を特性方程式という。 方程式は 2根 r1,r2をもつので ,

(D-r1)(D-r2)y=0
と書くことができる。
次に、
(D-r2)y=u
(D-r1)u=0

とする。第2式は分離可能であるから、
u=C1e^r1x

これを第1式に代入して、
(D-r2)y=C1e1e^r1x

または、

dy/dx-r2y=C1e^r1x

これは線形で,かつ積分因子,

p=e^-r2x

をもつので,解は

e^-r2x・y=C1∫e^(r1-r2)x・dx+c2

7.定数係数の2階非同次線形微分方程式は次の形をしている。

d^2y/dx^2 + 2a dy/dx +by = F(x)

同次方程式ではF(x)=0であり,その解法は 前に示したが,その解は,

yh=c1u1(x) + c2u2(x)

である。非同次方程式の解は、

y=yh(x)+yp(x)

の形となる。
ここで, yp(x)は,非同次方程式を満足する特殊解である。非同次方程式の解法は,yh(x)が既知の場合には,「定数変化法」と呼ばれている。この方法では,yhの式の中の定数C,および C2を, 次の2つの条件を満足する。v1=v2(x) および v2-v2(x)で置き換える。

u’1 u1+u’2u2=0
u’1 u’2+u’2u’2=F(x)

これらの2つの方程式をυ1,υ’2について解き,次にこれら2つの関数を積分してυ1およびυ2を求め,非同次方程式を解くことができる。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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