コラム・特集

7.3 OISの原型

IEハンドブック
第12部 コンピュータと情報処理システム

第7章 オフィス・オートメーション

 

7.3 OISの原型

本節では,OISの2つの原型について論ずる。1つは,オフィストーク・ゼロであり,産業環境から発達したものであり,もう1つのSCOOPは,学問的立場から開発された。

オフィストーク・ゼロ
オフィストーク・ゼロは,Willeam Newman Tim Mottと ゼロックス・パロアルト・リサーチセンターの, オフィス・リサーチ・グループにより設計,実施されたOISの原型である。このプロジェクトは,1976年に始まり,1977年 6月から実施された。目的は,シティバンクのMWーSシステムの設計目標と一致する。オフィストーク・ゼロは,いつも同じような伝統的な方法をとっている,日常の筆記業務を遂行するための電子的支援システムである。基本的な目的物は電子文書である。オフィストーク・ゼロのコマンドは,文書の作成,処理のためのものであり,ワーク・ステーション同士の文書の伝送のためのものである。オフィストーク・ゼロの開発にあたって投資した主要部分は,事務作業者が,すべてのシステムの装置を,簡単に,そして統一的に使いこなすための,マンーマシン・インターフェイスであった。

デスクトップ作業をサポートするワーク・ステーションを開発することによって,そして,ユーザーにほとんどのオフィスの機能を提供するような統合されたシステムヘのアクセスによって,この目標は達成された。

オフィストーク・ゼロのワーク・ステーション
ワーク・ステーション の内容は,現在仕事が行われているフォームを表示することにより,また,そのワーク・ステーションで利用可能な,4つのフォームのファイル・インデックスを表示することにより,表わすことができる。このシステムは,ワーク・ステーション のオペレーターが,フォームを,あるファイルから別のファイルヘ 移すためのコマンドを投入すれば,たちどころに,自動的に,インデックスを更新する。インデックスの内容は, フォームを処理するためのオフィストーク・ゼロ・コマンドおよびフォームに関する詳細な情報を規定したフィー ルドからなる。

文書やリストは,CRT装置上の直方形の画面に表示される。フォーム処理の仕事を始める前に,ユーザーは, インデックスに登録されている行動のうちの,適当なフィールドヘカーソフレを動かすことにより, フォームと遂行する仕事の内容を指示する。指定された仕事が,フォームを作り上げていくものであれば,システムはそのフォームを別の画面で表示する。各画面には,フ ォームに適用するコマンドのメニューも含まれている。カーソルを, メニュー上の希望するコマンドの所に移すことによって, ワーク・ステーションは,会話処理モードに入るか,または,選択された機能を自動的に実行する。ユーザーは, データが含まれるべきフィールドにカーソルを動かし, キーボードを叩くことにより,データを入力することができる。入力されたデータがフォームの仕様と一致しているかのチェックは,システムが自動的に行う。例えば, 数量フィールドには,数字のデータ以外は含まない。提供されているフォーム・エディターにより,標準の字体, フォームの書式,各フィールドの形状等を指定できる。フォームやインデックスを表示している画面は,フォー ムの一部または全体が見られるように,ユ ーザーによって調整することができる。フォームの好きな部分を見るために,画面の中でフォームを自由に動かすことができ, また,ス クリーン上で画面を再配置することもできる。画面を重ねてゆくことは,机上で,ページをめくっていくのと同じ効果を生む。仕事が終わると,ユーザーはそ の文書を,ファイルするか伝送し ,画面を解放して,ス クリ ーンから消す。

オフィストーク・ゼロの将来性と限界
オフィストーク・ゼロは,文書を効果的に処理するのに必要な基本機能を,ユーザーに提供する。将来性としてはテキスト・エディター,電子郵便,データ・エントリー機能,そして文書コピーおよびファイリング機能を含む。オフィストーク・ゼロの限界は,現存する機能を 実行した場合の欠点にあるのではなく,他の必要な機能が欠落しているところにある。オフィストーク・ゼロは , プログラマブルな環境下にはないので,個人的な事務手 続を定義する等の柔軟性に欠け,そのワーク・ステーショ ンの効率を向上させる機能を持たせることができない 。

事務処理コンピュータ 化システム(SCOOP :System for Computerization of Office Procedure)

Zismanは ,ペ ンシルベニア大学で,博士論文の一部として事務処理コンピュータ化システム(SCOOP) を開発した。このシステムは,事務機器のみならず,事務手続による自動化にまでも重点を置いている。SCOOPの心臓部は,事務手続の進捗をトレースし,適切な時間に自動的に行うモデルによるモニターである。これにより,コ ンピュータとワーク・ステーションのオペレーターは,共通の条件の基で会話ができる。SCOOPのモニターを行うためのシステムの記述は,文書定義と,手続向きでない言語で表わしたオフィス・アクテ ィビティからなる。この記述の様式は,単純属性あるい は複合属性を持ったペトリネットである。この属性は, レコードが存在している事実や,あるトラザクションによって,値がセットされた事実等の,ある種のイベントを発見するのに用いられる。オフィストーク・ゼロと同様に,SCOOPは,1つの統一されたシステムに,それぞれの目的を持ったシステムを統合するための,単一のインターフェイスを持っている。システム全体としては,電子メッセージの発信,文書処理,ファイル・サービス等の機能をサポートする。事務作業者を支援するために事務手続を自動的にモニターするという創造的な考えは,機密と内部統制の問題の承諾が得られれば,事務作業のモニターにまで拡張できる。この問題については 7.5で論べる。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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