コラム・特集

6.7 活用のための設計

IEハンドブック
第12部 コンピュータと情報処理システム

第6章 活用される情報システム作り

6.7 活用のための設計

ここまでに検討してきた研究が示すように,情報シス テムの設計者が直面する主たる仕事は,システム開発業 務への関心,およびユーザーとの関係の開発・保持,この2つを融合することである。システムの技術的特性, 依頼者行動,ユーザーの態度,決定の型,個人/状況因子のような主たる要因を同定するために,要因研究のところで用いたモデルを考慮せよ。そして,Kolb-Frohmanモデルのような何かあるプロセス・モデルを採用し,その組織の中で目的遂行のための手段を捜せ。

以下では,システムの分析と設計に成功するチャンス を増やす目的で,いくつかの勧告を行う。

1.かならず技術的に適切なシステムを設計せよ 技 術的に適切なシステムとは,実際に稼働し,信頼できるもののことである。ユーザーにとって使いやすいインターフェイスを持ち,ユーザーが手元の問題を解決するのに必要であると感じる機能を含むこと

2.実施とは,組織における計画的な変更活動であると見なせ,現在の情報処理手続きを変更するために , 新しい情報システムが設計される.変化を計画し, その変化が組織,作業グループ,個人に互えるインパクトを認識せよ。ユーザーと組織に与えるシステムのインパクトについての関心は,すでにそのシス テムが初めて提案されるときから始まっているべきである。

3.開発プロセスでは,経営者に対して,そ の支持と 指導ならびに必要な資源を要求せよ。経営者は,以前に依頼者行動の名で述べたように,設計プロセスにおいて主たる役割を演じる。経営者は設計の見直し会議に出席したり,また開発に要する適切な資源を確保しておくことによって,そのプロジェクト支持の意向を口答で示すべきである。

4.設計段階へのユーザーの巻き込みや関与が重要であることを強調せよ。ユーザー関与の1つ のやり方は , ユーザー主導の設計あるいはユーザーとの共同設計を行うことである。その根本は,ユーザーに提案の 機会が与えられていること,そしてその提案が設計に生かされることである。システムヘのユーザー関 与を高めるために,ユーザーによる作業グループ, 設計の見直し会議,試行実験,その他似たような工夫を用いることができる。

5.要因モデルにおいては,主たる要因の同定と取り扱いを行え.Kolb-Frohmanによって提案されたものと同様なプロセス・モデルの各段階で,システ ムの技術的特性,依頼者行動,ユーザーの態度,決定の型,個人/状況因子について考えてみよ。各段階において適当な依頼者行動を要請し,また,決定の型や個人/状況因子を考慮に入れて設計せよ。

6.そ の業務に,またシステム分析と設計のプロセス に注意の目を向けよ。システム分析者の役割を ,システムの技術的特性に関するものだけに,狭く限定することが多いが,著者は,この研究評論を通して, システム分析者の役割が常に幅広いものであることを立証したつもりである。すなわち,設計者は, 依頼者,システム,組織,これら3つ の間の関係を 設計の技術的な側面から考慮しなければならない。

かならずしも成功する保証はないが,これらの勧告が守られたならば,それらがコンピュータ・ベースの情報システムの効果的な活用を,大いに手助けするに違いない。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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