コラム・特集

6.5 システムの利用に関係する要因

IEハンドブック
第12部 コンピュータと情報処理システム

第6章 活用される情報システム作り

6.5 システムの利用に関係する要因

この節で報告する研究は,主として成功例に関係した要因についてである。
それらは,

・ノースウエスタン大学の研究
(引用文献 〔 2〕~〔 8〕 )
・Lucasの研究
(引用文献 〔 9〕~〔12〕)
・決定の型に関する研究
(引用文献 〔13〕 ~〔17〕)
・その他の要因研究
(引用文献 〔18〕~〔19〕)
の4つのグループに分類される。これらのグループを図表12.6.2に要約した。

結 論
この節で議論した要因研究で,システムの利用に関係する多くの要因を同定できた。実施プロセスのモデルを構築するために,これらの要因は幾つかの同類項のクラスに分類される(図表12.6.3参照 )。

これらの研究から抽出された要因のクラスには,システムの技術的特性,例えば入出力の精度,システムの頼度,処理完了のスケジュール性,システムとユーザー間のインターフェイスなどが含まれる。 「依頼者行動」 (依頼者=経営者と考えてよい)と呼ばれる要因のクラスには,経営者の支持のレベルや,ユーザーをシステム設計 に巻き込み,関与させるやり方が含まれる。

システムに対するユーザーの態度には,システムに対する個々の人間の意向が反映している。ある決まった態 度を持った個人は,特定の型に沿った行動を取りたがる。 このような情報システムの状況においては,特定のシステムに対するユーザーの態度を知ることで,そのユーザ ーがシステムを活用するか否かの見込みを予測できる。

決定の型(スタイル)とは,問題に対するその人自身の特徴的なアプローチの方法を言う前にも述べたように,この要因のクラスは重要であることが示されているが,これを基にして特定の予測を行うことの困難さが確かめられている。

要因研究で同定された要因の最後のクラスには,年齢,学歴,就業年数などのような,個人あるいは状況の違いに根ざす因子が含まれている。不幸なことに,これらの要因を基にした予測は困難であることが確かめられている。

図表12.6.3は,これらのさまざまな要因の間の因果関係を表わすモデルである。技術的特性は,システムの利用とそのシステムに対するユーザーの満足度という2つの尺度を通して,成功する実施方策の策定に影響すると思われる。システムは,それが活用されるに十分なだけの,技術面での質の高さを備えていなければならない。システムの下で働くユーザーはその影響を直接受けるの で,技術的特性はまたユーザーの態度にも影響すると思われる 依頼者行動は,直接に,またユーザーの態度ヘのインパクトを通して,システムの利用に影響するであろう。例えば,経営者の支持はシステムの下で働くユー ザーを勇気づけるものだ。決定の型および個人/状況因 子もまた,システムの利用に影響を与える。

図表12.6.3に表わされた要因の大部分に対しては,システムの設計者は相対的に小さな影響しか及ぼせない。 広い範囲のオプションが利用でき,設計者は技術面での専門家であるから,設計者はシステムの技術的特性は大きく左右できる。また,より大きな経営者の支持を要請したり,設計プロセスにより多くのユーザーの意見を取り入れたりするために,設計者はしばしばその影響力を依頼者行動に及ぼすことができる。しかしながら,システムに対するユーザーの態度に影響を与えることは,少なくとも短期の活動では極めて難しい。決定の型と個人/状況因子もまた,設計者がその影響力を行使するのが難しいものの1つである。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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