コラム・特集

6.4 実施研究の種類

IEハンドブック
第12部 コンピュータと情報処理システム

第6章 活用される情報システム作り

6.4 実施研究の種類

情報システムに関する主な研究は,理論研究,要因研究,過程研究の3つのタイプに分類される(図表12.6.1参照)。実施に関する理論と提案の大部分は,実際には科学的なものではない。

その理論から検証可能な仮説を導くことは難しい。コンピュータ・ベースのシステムを開発する際の見通しやアイデアを理論は提供してくれるが,その提案が実際うまく機能するという保証はどこにもない。

要因研究は,要因を同定し,かつそれらの要因と実施との関係を同定しようとするものである。実施研究を通 して,多数の要因が同定されている。例えば,システム に対するユーザーの態度や経営者の支持である。 要因は,例えば,年齢のように単一の変数から構成される場合も あるし,また,システムに対するユーザーの態度を評価するためのアンケートの質問項目のように,複数の変数の列から構成される場合もある。要因は静的である,すなわち時間と共に変化しない傾向がある。一般に,この種の研究は,要因Aが要因Bと関連があること,例えば経営者の支持はユーザーが新しいシステムの下で働く意 欲に関連していると思われるが,そのようなことを示すものである。要因研究は分析的であり,またしばしば非常に不毛なことがある。

情報システムの設計プロセスを調べるケース・スタディの形式で,情報システムの利用について記述する研究もある。「プロセス(過程)」という言葉で,システムをどのように開発するか,その方法を表わそう。例えば,そのシステムの下で働く個々の人間の関係を記述することである。この研究は要因研究と異なり,システムが開発されるプロセスを厳密に調べたり,さまざまな人間関係を調べたりすることである。これらの研究は,応々にして注目を集めることなく,要因研究に比べて厳密でないかもしれない。しかしながら,過程研究は,情報システムがどのように使われているかを理解する上で,大きな役割を果たす。

この章では,要因研究と過程研究について議論し, また,高 い水準の活用を可能とするシステム作りのために,提言を行う。システムの利用に関する理論はかなり展望が限られているので,ここでは理論については詳しく議論しない。理論研究,要因研究,過程研究についてのより深い議論に関しては,Lucasを参照されたい。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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