コラム・特集

4.4 IPSのための解析・設計法

IEハンドブック
第12部 コンピュータと情報処理システム

第4章 情報処理システムの解析・設計テクニック

4.4 IPSのための解析・設計法

ここで用いられる「 解析 」と「設計 」という用語は, システム・ライフ・サイク ルの最初の3つ段階(43節に記述されている)に関連するすべての活動,あるいはIPSソフトウエアのコーディング が開始される以前に進められることすべてを意味している。この節に示されている解析・設計法は現在利用できる莫大なリストを表わしているわけではない(解析・設計法に関する包括的なレビューについては,Freeman and Wasserman, Bergland and Gordon, congar を参照されたい)。しかし,IPS開発者が頻繁に利用するIPSの解析・設計のための主要な方法は示されている。まずIPSの解析法のレビューを行い,つぎにIPS設計法のレビューを行う。図表12.4.4にはそれらの方法と,システム・ライフ・サイクルの各段階におけるその適用可能性が要約されている。

解析法
図表12.4.4に示されている7つの方法のそれぞれは以下の方法で議論される。

定 義
手法の簡潔な要約的記述

適用可能性
それぞれの手法を用いるべき時期,そのアウトプットの効用,そしてその限界に関する議論。

接近法
実際の手順におけるタスクのリスト。

手法の産物
手法の利用によって得られる結果を反映させる特定の文書。

投入産出分析
定 義 投入産出分析はタスク分析のひとつの手法である。それは,活動に対する投入とそれから得られる産出とを認識し比較する過程である投入を産出に変換するのに必要な下位水準の活動が認識され,そこでの投入と産出がまた認識されるこの過程はユーザーの行動の特性がパフォーマン要件(すなわち,知識,技能,経験)によって記述されるようになるまで続けられる。

適用可能性 投入産出分析は人的機能の分析において最初に使われる。この分析法は,データを得るための既存の類似したシステムが全く存在しない場合に特に有効である。投入産出分析は,ある活動を行うための技能とか能力の要件,所与の活動を行うための適切な経験水準,さらに訓練とか特別の職務資料の必要性を見積もるために使ってもよい。通常,それはシステムの定義段階で使われる。

アプローチ 投入産出分析の一般的な手続きは以下のように要約される。

1.人的機能の産出要件を認識し,それらの特徴を記述する(産出は活動に要求される最終生産物である )。
2.その機能に対する利用可能で必要な投入を認識し,それらの特徴を記述する(投入は,その活動が生起する以前に利用可能で必要とされる情報項 目である)。
3.投入と産出の間の差を認識する。これは投入を産出に変えるのに必要な活動を進めるのに役立つ。
4.利用可能な投入を要求されている産出に変換するのに必要な下位水準の活動を論理的に推論する。
5.最適な,あるいは要求される一連の下位水準の 活動を決める(ワーク・フロー・チャートがここでは役立つ )。
6.高位の水準の活動を構成するすべての活動が相互に排他的で余す所なく尽くしているかチェックする。
7.可能なら,活動の階層構造における各活動の水準を確認する。
8.可能なら,それぞれのタスクに関係する活動の人的パフォーマンスの特性と要件を認識する。行動の特性と要件を認識できないときには次のステップを行う。認識できれば分析は完結される。
9.さらに分析する必要のある各活動の投入と産出を認識し,ステップ1から繰り返す。

手法の産物 投入産出分析は一連の文書様式を用いて行われる。その最も一般的なものはフロー・チャートである。2つの形式のフロー・チャートが特に役立つ。垂直的職務フロー・チャートは人的活動の下位の活動へのブレークダウンを強調する。水平的フロー・チャートは同水準ないしはそれに近い水準の諸活動の間の連係を認識するのに役立つ。2つの夕イプのフロー・チャートの例が図表12.4.5に示されている。

投入産出分析で次によく使われるタイプの文書は 図表12.4.6に示されている。

機能/タスク分析記録は,分析水準が人的行動要件によって活動の特徴を十分記述できるときにはよく使われる。それからその活動に欠くことのできない知識,技能,能力が定義される。 投入産出分析に関する。詳細についてはAmermanを見よ。

意思決定分析
定 義 意思決定分析は,伝達された情報に基づいて行われる意思決定と,それにつづいてとられるアクションの分析である。また,それに替わるアクションと条件が認識される過程でもある。

適用可能性 意思決定分析は提案および実現可能性と定義の2つの段階で用いられる。意思決定分析はIPSの諸段階において最も頻繁に使われる。なぜならばそれは必要な情報のインプットを明確にし,一連の意思決定活動を指摘し,システムの要素の間の関係を明らかにするからである。意思決定分析が必要とされるのは一般に投入産出分析の過程においてである。意思決定分析の結果は,システムが稼働を開始したとき業務資料として用いるために通常文書化される。アプローチ 意思決定分析は以下の手順で行われる。

1.投入産出分析の結果にもとづいて代替案の集合を構成する諸活動を確認する。
2.その集合の中からユーザーがそれぞれの代替案を選択する条件を確認する。
3.それぞれの条件が成立するか否かを示す情報を確認する。
4.条件と活動の間の関係を設計し,文書化する。意思決定分析の結果は所与のタスクと関連させて記録すべきである。通常は,意思決定と決定するための要件とを示すフロー・チャートと説明書が使われる。
5.ユーザーが正しく意思決定を行い,適切なアクションを取ることができるよう支援する業務資料を開発する(そうした資料はフロー・チャートや 意思決定表に描かれている情報と同じ情報を含む必要がある)。

手法の産物 意思決定分析の文書はフロー・チャートと意思決定表を含んでいる。意思決定分析に関する。

コンティンジェンシー分析
定 義 コンティンジェンシー分析とは,潜在的なエラーや誤動作,あるいはそれら以外のシステムの, 有効性を低下させる状態を操作するための手続きを確認,分析,開発する手法である。コンティンジェンシー分析の目的は,システムのエラー,誤動作あるいはその他の問題が,最も小さくかつ受け入れ得る程度になるよう設計することにある。フェイル・セーフ・システムは,あらゆる偶然性がシステムの完全性に脅威を及ぼす状況になったり,危険な結果を招いたりしないように回避されるシステムである。

適用可能性 一般にコンティンジェンシー分析は別の分析法(すなわち,投入産出分析や意思決定分析 ) によって,システムの機能がステップ・レ ベルヘとブレークダウンされたとき適用される.通常はコンティンジェンシー分析はシステム設計段階で行われる。

アプローチ コン ティンジェンシー分析は次のように 実施される。

1.各 タスク要素について,うまくいかない可能性のある事項を決める。
2.発生する可能性のあるそれぞれの偶発事(エラーあるいは誤動作)に対して,それが発生する頻度を決定する。
3.システムの機能低下によって,それぞれの偶発事の(発生したときの)緊急性を決定する。システムとその目的を考察する。
4.偶発事の発生の頻度を最小化するように設計を考慮する可能性を確認する。
5.偶発事を避けることができないならば,それを 調整する修正手続きを確認する。
6.防止あるいは修正手続きが実施されたときのオペレーションに対する影響を決定する(時間,コスト,訓練等の増大による影響)。
7 偶発事の頻度と緊急性にもとづいて適切なアクションを決定し勧告する 。

手法の産物 コンティンジェンシー分析の結果は,(1) ユーザー教育の一部分として,そ して(2)修正活動が長かったり要求される 頻度が低い場合には修正手続きとして文書化される。

コンティンジェンシー分析の詳細についてはPilitsis と Nadler et al.を見よ。

クリティカル・インシデント技法
定 義 クリティカル・インシデント技法は,特定のシステムを利用したとき経験した非常にうまくいったり逆に極端にうまくいかなかった出来事を,多数のシステム・ユーザーに記述を依頼することを含んでいる。その出来事は,重大な特性とか要素を確認するために研究される。有効なパフォーマンスや有効でないパフォーマンスの,際だった特徴を表現するタスク行動のチェックリストが開発される。

適用可能性 クリ ティカル・インシデント技法を提案と実現可能性,定義段階で用いるならば,既存のシステムに基づいて適用する必要がある 。なぜなら, 観察される行動という出来事をその技法は利用するからである。クリティカル・インシデント技法で分離される行動特性は次の目的に用いられる。

1.成功あるいは失敗という職務の成果を得るのに必要とされる行動の確認。
2.成功するために,あるいは不成功に終わるために類似した行動特性を要求する職務の確認(すなわち職務群)。
3.職務の静的特性および動的特性の確認 。
4.要員選定ツール開発の支援。
5.要員選定手続きの評価(すなわち,否定的クリティカル・インシデントの報告が少ないほど好ましい要員選定ツールである)。

アプロ ーチ クリティカル・インシデント技法では,ユーザーは彼自身あるいは他のユーザーのタスクに関連して,ユ ーザーが観察した極めてまずい行動の例を思い出すように依頼される クリティカル・インシデントは口頭あるいは文書として収集され,また個人あるいはグループに対して処理される。各出来事に関する情報は,その出来事を招いた事柄,それが発生する一般的環境,非常に有効な事項と役に立たない事項,そしてそれが有益であったり有害な理由を含んでいる必要がある。この技法の実施は次のステップで行われる。

1.ク リ ティカル・インシデントを収集する対象人員の決定 ,
2.質問を口頭で行うか文書で行うか,グループに対して行うか個人別に行うか決める。
3.データ収集フォーマットの考案。
4.収集されたクリティカル・インシデントからクリティカルな行動を分離し,カテゴリーに分ける。
5.得られた結果を,その職務に関するクリティカルな行動の包括的概略として利用する。

手法の産物 インタビューあるいは質問票によってデータを収集し,データをいろいろな手法で要約する。この技法の詳細については,DeGreen,Dunnette,Flanagan を 見よ。

フィールド・サーベイのテクニック
定 義 インタビューと質問票は,質問一回答アプロ ー チ によって情報を得るためのテクニックである。 インタビューは面接にせよ, 電話にせよ,人と人との相互作用を含んでいる。それらは構造化されることも漠然と編成されることもある。質問票はたいてい自己記入である。また,自由記入によるか選択肢による。これまでに示した手法のあるもの(クリティカル・インシデント技法)ではインタビューや質問票方式が適用されている。

適用可能性 提案と実現可能性,定義,評価の諸段階で使われるならば,インタビューと 質問票は,量的情報すなわちユーザーのニーズ,態度,評価,意思決定法に関する情報の収集を容易にする。面接インタビュー,電話によるインタビュー,質問票のそれぞれが適する環境は異なる。各方法の長所と短所が 図表12.4.8に示されている。

アプローチ インタビューあるいは質問票によつて, 役立つ情報を収集する過程は次のステップを含んでいる。

1.研究の目的を明確化する。
2.この目的を達成するのに必要な情報を決定し, その必要性を目 標によって明確に述べる。
3.研究の目標と存在する制約とから ,インタビューあるいは質問票のいずれのタイプが最も適しているか決める。
4.ステップ1で明確化された目標を満たす質問を作る。
5.回答者のモチベーションを重要な変数として考慮する。この意図は回答者を質問に完全にかつ良心的に反応させることにある(すなわち,この手法の目的が明確で,指示がわかりやすく,最少の時間で回答できる必要がある ).
6.インタビューあるいは質問票を,小さなグループに対して予備調査する(予備調査を行うグループは,対象と するグループと,できる限り多くの点で類似させるべきである

手法の産物 実施する研究の種類,その目標,結果の用途に依存して,インタビューと質問票技法の文書は多様な形式になる。文書は叙述,表,図 などの形 式であろう.インタビューあるいは質問票による調査結果を文書化するための標準的書式はない。この手法に関する 詳細は,DeGreene,Fetridge and Minor, salVendy and Seymourを見よ 。

機能的フロー論理図
定 義 機能的フロー論理図は,投入を産出に変換するのに必要とされる機能ないしは活動によって,システムを繰り返しブレークダウンし分析するために使われる技法である。これはシステムの諸目標を達成するのに必要とされる事項を確認する技法である 。この論理図では,機能ないし活動を表わす四角形と, 四角形に対する投入と産出を表わす矢印およびその他の特別な記号を用いる(図表12.4.9)。

適用可能性 機能的フロー論理図は,システムを構成する機能ないし活動によって,シ ステムを精密に分析するために使われる。これはシステムのモデルを構築したり,システムやサブシステムをシミュレートするためにも使われる。これは提案と実現可能性,定義段階において典型的に使われる用途の広いツールである。

アプローチ 機能的フロー論理図は,以下の手順によって作成される。
1.システムやサブシステムを簡単に表現することから始める。最初の投入と産出を確認する。投入を産出に変換する活動ないし機能を表わすために四角形を用い,方向性を示すために矢線を用いる。 投入と産出を記述するのに動詞よりは名詞を用いる。

2.より細分化した下位レベルを考察する。投入を産出に変換する間に発生する中間生産物あるいは中間的結果を確認する。四角形の右下の角に活動の番号をつける。多数の投入と産出を示すために記号の追加が必要である。活動を示す四角形は上や下から矢線で横切られることはない。

3.分析過程が十分詳しい水準に達するまでステップ2を繰り返す。繰り返すごとにより詳細な水準になる。

手法の産物 論理図自身が分析結果を伝えるための文書化ツールとして働く。活動の特徴をさらに明らかにしたり,機能的フロー論理図の研究から得られる結論や含蓄を陳述するために,論理図に叙述的資料が添付されることもある。
論理図に関する詳細はBurch et al.,Behan, Passenを見よ。

リンク分析
定 義 リンク分析あるいはインターフェイス分析とは,システムの諸構成要素の間の相互作用を確認し,その相互作用が有効かつ効率的に働くように構成要素を配置するプロセスである。システムの構成要素は人間,機械そして情報項目である。リンクは視覚 的,聴覚的コミュニケーションであったり,物理的 移動であるかもしれない。

適用可能性 通常はシステム開発における設計段階の詳細設計段階に至るまでリンク分析は適当でない。リンク分析を実施する以前に,人間と機械との間の諸機能の配分が完了し,人間・機械の配置データおよびタスク分析の結果が利用可能になっている必要 がある。リンク分析は,システム構成要素と全体システムの稼働効率を向上させるように,既存のシス テムを再設計するためにも利用される。

アプローチ
人間・機械システムのリンク分析は次の手順で行う。

1.シ ステム内部の各人間の代わりに円を描く。それぞれの円に数字を入れてその人間の機能を確認する(すなわち,1=事務員,2=監督)。
2.システム内部の各設備の代わりに正方形を描く。各正方形に文字を入れて区別する(すなわち,A =コンピュータ,B=製図板 )。
3.システム内部で直接相互に作用する人間の間を 結ぶ線(リ ンク)を描く。
4.相互作用する人間と機械の間のリンクを描く。
5.最 も単純な配置を得るために,交わるリンクの数を制限して図を描き直す。
6.次の規準のいくつかを用いて各リンクを評価する。

a.重要性――機能目標に対する相対的重要性にしたがって,熟練者に各リンクの序列づけをさせる(数字が小さいリンクの重要性は低い)。
b.頻度――システムをシミュレートしたり操作してデータを得る。使用頻度にしたがって各リンクの序列をつける。
c.頻度と重要性一使用頻度と重要性の両者を考慮すべきときがある。熟練した雇用者であれば, 頻度と重要性とを組み合わせた値を各リンクに割り付けるために与えるべき相対ウエートを決めることができよう。

7.高い値を持つリンクのほうが低いリンクより短くなるように図を描き直す。
8.利用できる空間に適するように図を描き直す。 リンク図に合うように空間を再設計するほうがさらに良い。
9.最後のステップとして,システム内部の人間, 機械および空間の実際の位置の縮図を描く。これは設計エンジニアの助けになる。

手法の産物 結果を要約するために,通常は縮図とそれに付加される叙述が使われる。 リンク分析に関する詳細はPilitsis,van Colt and Kinkade,Mccormickを見よ。

設計法 ここでは図表12.4.4に示されている6つの手法のそれぞれを概観する,あるいは各方法の効用と限界を要約する。手法とその適用に関する詳細が得られる。他の情報源が示されている。

構造化設計
構造化設計の目的は,設計の代替案の比較を容易にし, 相対的質を決め,デ ータ・フロー図をプログラム構造ヘと変換することによって,よく“ 均整のとれた”構造をもつシステムを開発することにある。

構造化設計は「モジュール性」に よって推進される。この場合,モジュール性は「融合」と「連結」とによって測られる。融合はモジュール構成要素が内部的に融合する 程度であり,連結は諸モジュールが関連する方法と諸モジュール間をデータが伝達される方法とを意味している 。したがって,構造化設計の任務は諸モジュールが高度に融合し,連結の程度が低いシステム構造を構成することにある。こうし た条件の下では,モジュー ルは比較的自律的で,投入と産出の可視度が高く,データの相互依存性が最も小さくなる。融合と連結の程度を測ることによって,設計者はシステム構造を客観的に選定することが可能となる。この手法は設計段階において使われる。有効性を高めるために構造的システム分析の結果と共に使用すべきである。

構造的システム分析
構造的システム分析は,構造化設計とともに使われる手法である。構造的システム分析は提案と実現可能性, 定義段階においてIPSソフトウエアの仕様を創案する際の以下の4つの概念を含んでいる。

データ・フロー・ダイヤグラム 諸処理単位間のデー タ・フロー,関連するプロセスおよびデータが貯えられている場所の記号による表現。

意思決定表あるいは“ 構造的言語”(プ ログラム設計書 )
おのおのの処理ボックスの論理を表現するために使われる。

データ辞書 システムで使用するデータの性質を記述 し たデータの蓄積。用語辞典記載事項,その他の項目を含む。
イミーディエイト ・アクセス分析 関連型データベー スと行われる操作の型。 この手法に関する詳細は,Gane and Sarson, Demarco,Teichroew and Hersheyを見よ。

階層プラス投入―処理―産出
階層プラス投入―処理―産出(HIPO)は,ソフトウ エア の仕様と設計のために使われてきた。それは,各モジュールが特定の投入,産出項目を持つ階層的なダイヤグラ ム編成を容易にする図解的な技法である。HIPO の 処理ボックス(モジュール)は ,その処理で行うべき諸ステップの非手続き的記述,すなわち実際の処理論理を示す一連の明確なステップが入れられる。この技法は詳細設計段階で使われる。
HIPOに関する 詳細はStay およびHIPO-A De-sign Aid and Documentation Techniqueを見よ。

プログラム設計言語
プログラム設計言語とは,いかなる特定のプログラミ ング 言語の規則にも従わないで,プログラム論理を英語に似た読み易い形で記述する方法である。詳細設計段階で使われるならば,モジュール内部で使われているアルゴリズムをこの方法によって容易に図解することができる。

プログラム設計言語は,伝統的なフロー・チャートに対する非常に有効な代替物であると考えられている。これによって,プログラム実行時のモジュール間のインターフェイスと,モジュールが遂行する機能およびその機能を実現するための論理を容易に明確化することができる。 この方法に関する詳細はGane and Sarson, Caine and Gordonを見よ。

ジャクソン設計法
ジャクソン 設計法とは,構築的なプログラム設計法である。この方法を適用するときの最初のステップは,投入,産出データ の構造を正確に記述することである。図式的に表現することによってデータ・ファイルの静的モデルが構築される データ構造図式を組み合わせてプログラム構造を形成する。遂行すべき種々の実行可能な操作を一覧表にして,得られた構造内部に割り当てる。この投入産出構造と実行可能操作一覧表との構成によって, 実行するための伝統的なプログラミング言語への翻訳が容易になる。

ジャクソン設計法の目的は,“平均的”な設計者による動かすことのできる。設計 (“最善”の設計とは限らない ) の創案を容易にすることにある。これは設計段階で厳格に使われるが,そのインプットとして明確に定義された投入産出構造が必要である。したがって,得られるプログラム構造は投入産出構造の重要な変化に対しては極めて敏感である。

この方法論に関する詳細はJacksonを見よ。

文書化標準
特別な設計技術ではないが,3つのIPSサブシステ ム(人間のパフォーマンス,ソフトウエアそしてハードウエア)のそれぞれのための文書化標準の確認という考え方はIPSの有効な設計,再設計および保守に対して決定的である。一般に5つのタイプの文書がある。

解析資料 IPS開発の様々な段階(た とえば,提案 と実現可能性,定義)で作成されるすべての記録および報告 .
システム資料 提案されたコンピュータ・ベースの IPSを プログラミングし,テストし,実行できる水準まで定義するのに必要なすべての情報(たとえば,システム定義報告書)。
プログラム資料 システムを構成するプログラムの詳 細な論理とコードの記録。この記録はプログラマー が作成するが,これは開発,採用,保守の助けとな るばかりでなく ,プログラミング・スタッフが変わったときの全体的な連続性を提供する。
操作資料 オペレーション 要員がシステムを運転するのに必要な手続きを表わす。これはジョプを遂行するための一般的な一連の出来事を示し,さらにデータの準備,コント ロールと保護,アウトプットの分散などのための正確な手続きを確認する。
ユーザー解説書 アウトプット情報の解釈に関する詳細を含め,ユーザーがIPSを運転するのを容易にするために必要なすべての解説的,教育的資料を表わす。

すべてのIPS開発組織は文書化標準を設定すべきであり,またその文書がIPSライフ・サイクルのあらゆる時点で提出されるべき離散的平行的活動の結果ではなくて,むし ろ設計,開発過程から当然生成するようにしなければならない。

文書化標準に関する詳細はTauswortheと Londonを見よ。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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