コラム・特集

4.1 展 望

IEハンドブック
第12部 コンピュータと情報処理システム

第4章 情報処理システムの解析・設計テクニック

4.1 展 望

基本的諸職能のアウトプットは,物質的なものであれ精神的なものであれ,それを遂行する人間が行う意思決定戦略に関係している。Burch et al。やその他は,意思決定者の決定が「知識」の状態変化に直接関係づけられると強調している。職場において,与えられた職能を遂行するのに必要とされる情報を「意思決定者」 (この用語は,雇用者,在職者,消費者と同義である)に提供できるよう基本的職務と組織構造とを設計することによって,この変化が促進されるインダストリアル・エンジ ニアリングや行動科学によって,意思決定者に割り当てられている一連の職能が,職務と組織へと体系的に設計されるならば,意思決定者はわずかなデータで豊かな情報を得ることができる。一方,職務と組織の設計が貧弱ならば,意思決定者は過大なデータとわずかな情報しか得られない。概念的には,組織構造が健全な職務陳述書と,戦略・戦術上の計画,そして最適な職務の流れを前提として定義されるならば,組織構造は水平的・垂直的 情報伝達を促進し,その結果,質の高い意思決定とそれ に伴う全面的な成果が達成される。

IPS(情報処理システム)は,それ自体が職能を果たしたり意思決定したり作用するわけではないから,IPSが有効であるためには,与えられた組織構造内の意思決定者によって,質の高い成果が達成されるように意思決定を援助しなければならない。コンピュータ・ベースの IPSにおいて,その設計者は,人間の仕事(ユーザー・ニーズ),ハードウェア・サブシステム,ソフトウエア・サブシステムという3つの基本的構成要素の開発に,そうした観点から焦点をあてなければならない。初代のコンピュータ開発以来,設計過程は体系的なハードウェア開発に支配されてきた。他方において,それ以外の2つの要因は場面場面に合わせた体制で開発された。1960年代,1970年代のIPSの失敗の大部分はこの結果である。そうした失敗の急増から,失敗の主要な要因は,ソフトウェア開発の方法論を欠いていることにあるということが明らかになった。IPSソフトウェア開発の問題に,他の学問分野で成功した工学的原理,すなわち,計画,ライフサイクル管理,構造的設計理念を適用することが試みられ,ある程度の成功を納めている。

この章の目的は,読者にIPSソフトウェアの解析,設計に必要な方法論の概要を示すことにある。

この章に特有な目標は次の点にある。

・IPS開発における組織計画の役割の評価
・システムのライフ
・サイクル管理構想の記述的,機能的定義の堤供
・IPSのための主要な解析・設計技法の明確化と議論

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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