コラム・特集

3.1 はじめに

IEハンドブック
第12部 コンピュータと情報処理システム

第3章 データベース管理

3.1 はじめに

コンピュータ技術やハードウェアにおける一連の革新的変化を補うのは,ソフトウェアと方法論の発展である。本章で興味あるのは情報処理手法と付随するソフトウェアである情報処理の発展は素朴なファイル管理 (file management)から洗練されたデータベース管理(data base management)へと進んできた。ファイル管理がいまだに支配的であるが,データベース管理のファイル管理に対する本来的な優越性のゆえに,データベース管理の利用が広がりつつある。この優越性はもっとも少なくみ も,情報システムを開発,保守,利用する人々に生産性の増大をもたらすことであり,情報システムによってモデル化されるアプリケーションが複雑なものである場合にはなかんずくそうである。

データベース管理の広範な利用,とくにミニコンやマイコン上での利用であるが,これを妨げてきた主なものは,データベース・システムが技術的な意味で何であるのかについて広範な理解が欠如していたことである。これに伴い,データベース管理ソフトを利用して情報システムを,設計,開発,管理する訓練された人々が不足している。 「データベース」とは,大ざっぱで一般的な意味では,単にデータの集まりのことである。このような大 ざっぱな用語法では,データの集まりを記憶し 処理する方法は含意されないデータの集まりをコンピコータによらずに記憶したり手で処理することも,また, ファイ ル管理ソフトを利用することも,あるいはまた,データ ベース管理ソフトを利用することも含んでしまうであろう。

本章では,「データベース」という用語を厳密で技術的な(しかも有用な)意味で用いる。ファイルはある決まったレコード型式の多数のレコードからなるのに対し,データベースは,多くの異なるレコード型式の多数のレコードからなり,すべての重要なレコードの相互関係が表現され維持されるような単一の組織だった構造へと統合されている。ファイル(その編成力潮頂編成であれ,直接編成であれ,索引付順編成であれ,逆見出しファイルであれ)を定義するのに利用可能な手段は,デ ータベースを定義するのに利用可能な手段とはまったく異なる。ファイル管理ソフトを用いる情報システムは,多くの別々のファイルを採用するであろう。ファイル処理の中心的な作業は,別々のファイルにあるデータの値の共通性 (すなわち冗長性)に基づいて別々のファイルをマージすることであるデータベース処理においては別々のファイルをマージ することはない。中心的な作業は,他のレコードとの相互連結に基づいてデータベース内の欲しいレコードを捜すことである。本章では,3種類の異なるデータベース・システムの主要な特徴の比較分析を行う。

データベース・システムは , ソフトウェア ・パッケー ジである。このソフトは,それだけでは情報システムではないが,なんらかのアプリケーション(たとえば注文処理,在庫管理,給与支払い)のための情報システムを構築するのに用いることができる。データベース・システムは,どの特殊なアプリケーションをも志向していないという意味で一般的なものである。データベース内では論理構造(logical structure)にしたがってレコードが編成されるが,データベース・システムは,こ の論理構造を定義するための手段を提供する。またこれは,データベース内のデータを操作するための手段観供する。ここで「操作 (manipulation)」には,レコードの作成, 削除,修正,検索やデータの抽出といった作業がある。

データベース・システムは,情報システムを構築するためにそれが提供する論理構造化手法 (logical structuring facilities)によって分類することができる。情報システムのデータをモデル化するのに,完全ネットワ―ク型論理構造を支持する人もいるし,階層型構造だけを支持する人もいるし,非結合表(すなわち関係型)だけを認める人もいる。3つのデータ・モデルのそれぞれを次節で議論する。この議論の後,3つのデータ・モデルのそれぞれについて代表的なデータベース・システムを検討する。すなわち,階層型モデルとしてIBMのインフォメーション・マネジメント・システム(IMS),関係型モデルとしてシステムR,ネットワーク型モデルとしてマイクロ・データベース・システム(MDBS)を検討る。各システムは,データベースの定義と,データの操作手段の観点から検討する。各システムの特徴を例示するために簡単な部品メーカー部品のアプリケーションを用いる。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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