コラム・特集

2.1 用語法

IEハンドブック
第12部 コンピュータと情報処理システム

第2章 情報処理システムの基礎 (分類と特徴)

2.1 用語法

本章の目的
インダストリアル・エンジニアは「データ」 ,「データ処理」,「データ処理システム」,「コンピュータ・システム」,「情報処理システム」といった用語に頻繁に出くわすたいていの標準的な事典や辞書,たとえば,Ralston and Meek や Belzer et alに定義が載っているけれども,それらは一致しないことが多い。本章の目的は,もっとも一般的に受け入れられている用語法をまとめ,またインダストリアル・エンジニアリングにもっとも関連のある特徴を述べることである。

システム
「システム」という用語は,Websterによれば,「結合した全体,ないし,有機的全体を形作るように関係づけられ,結びつけられた事物の集まり,ないし配置であり, 太陽系(solar system),灌漑システム,供給システムのようなものである」と定義されている。本章で関心のあるタイプのシステムは,それを統合する概念が「データ」であるようなシステムである。12部 1章では,コンピュー タ・システムをサブシステムとして含むような情報処理システム(information processing system :IPS)について述べた。

個々のIPSは,通常,生産管理システム(production control system)のように名前で識別されるか,もっとす般的には,PCSのように頭字語によって識別される。このようなシステムはどれでも,通常,計算システムに加え以下のものを含んでいる。

・遂行されるべき諸機能ないし働き。これらは,通常「アプリケーション・ソフト」と呼ばれる一群のコンピュータ・プログラムに組み込まれていて,その機能を果たす。

・システムが生み出すアウトプット(文書,レ ポート, メッセージ等)。

・システムが受けつけ処理するインプット。
システムが記憶するデータ。通常「 データベース 」と呼ばれる。

・必ず付随するコンピュータ化されない手順。

データ対情報
「データ」と「情報」という用語は異なる概念であると考える人もいるが,互換的に用いられる場合もある。一般的には,データというのは人,場所,物,事象の言語表現,数学的表現ないし記号表現である。これに対し, 情報というのは,受け手に関係のある知識のレベルを高めるようにデータを取捨選択し,処理し,構成することから生まれる。データか客観的であるのに対し,情報は主観的であり,受け手にとって意味あるときにのみ存在する。

データ操作
データ処理システムないし情報処理システムとは,他のデータないし情報を生み出すためにデータを操作するシステムのことである。このようなシステムでは,以下のリストにあるような異なるタイプの処理かなされるであろう。
なお,このリストはVoich et alを改作したものである。

1.記録(Recording)事象や取引,たとえば製品の売上げ,原材料の購入,請求書の支払い,商品の製造に関するデータを識別し転写する。

2.類型化(Classifying)事象や取引に関するデータを主なタイプ月1にコード化する。たとえば販売員別に売上げを,原材料のタイプ別に原材料購入をコード化する。

3.分類(Sorting)コード化された事象や取引に関するデータを選び出し,区分し,編集してカテゴリー化する。たとえば,各販売員によってなされた売上げや,原材料のタイプ別購入を明らかにし編集する。

4.計算(Calculating)取引データの加減乗除, 比較,整理等。たとえば各販売員の月間総売上高や,各月の原材料のタイプ別総購入量を計算する。

5.要約(Summarizing)取引データや関連した計算結果をレポートの形にする。たとえば各販売員の販売成績報告や各タイプの原材料に対する原材料現状報告を作成する。

6.記憶(Storing)取引データや要約データを,必要に応じて,たとえば公式記録のためとか後の報告期間に利用するためとかいった理由で一時的にあるいは永久に保存する。

7.検索(Retrieving)追加的な計算を行ったり,ファイル上のデータを更新するために,ファイルを探索したり記憶されたデータを調べたりする。たとえば,ある期間に記録されたすべての販売取引を明らかにする。

8.再生(Reproducing)レポート,たとえば販売成績報告や原材料現状報告を印刷したり作成したりする。

9.配布(Distributing)情報のユーザー,たとえば販売管理者や購買管理者にレポートを渡す。

機械化のレベル
データ処理操作を行うのに用いられる方法は,3つの大きなカテゴリーに分類されるであろう。
1.手動式データ処理操作は,人間か頭のなかで,ないしは紙と鉛筆を使って行う。
2.電気機械式データ処理操作は,タイプライター,キャッシユ・レジスター,複写機,電話のような,電気式で機械式の装置の助けをかりて行う。
3.電子式データ処理操作は,コンピュータ・システムによって行われる。このシステムは入力装置,CPU,出力装置からなっているたいていのデータ 処理ないし情報処理システムは,実際には3つのタイプの方法をすべて含んでいる。

システムの特徴 情報処理システムは次のような特徴を持っている。
1 システムは人か作るものである。すなわちシステムを設計,構築,運用,保守する必要かある。これはささいな仕事ではなくて,システムの開発,運用保守の手法を必要とするようになってきた。この問題の概説は12部4章で行う。

2 情報システムの開発と運用にあたって,プログラムとデータベースの両方が重要である。

3.情報システムの開発には多額の費用がかかるので,複数のシステムが,ハードゥェァ,ソフトウエア,データベースを共有する経済的必要性がある。

4.システムは,開発,運用,保守していくのに大規模化し費用かかかる傾向にある。これはハードウエアの点でも,システムの運用や保守の点でも規模の経済か働くためである。

5 システムには,様々なレベルでのマンーマシン通信が内含されており,したかって,設計,運用の問題には,個人間通信の問題,機械との通信の問題 , 機械の様々な単位間の通信の問題が含まれる。それゆえ,ドキュメンテーションは重要な側面である。

6.システムの利用法や,システム開発技術は,それを利用する組織がそうであるように絶えず変化している。したかって,システム自体か静的(スタティック)であるということはきわめてまれである。

情報システムは,開発するにも運用するにも多額の金かかかるので,ユーザーか望むニーズを満たしているかどうかを決めるための分析や,システムのパフォーマンスの測定が大きな注目を集めている。パフォーマンスの評価は,数多くの段階で考察されなければならない。最高段階では,システムのアウトプットか,そのシステムを維持している組織に対してもっている価値を決めなければならない。これらの具体的なアウトプットかいったん正当化されたならば,これらのアウトプットを出す物理的システムのパフォーマンスを測定しなければならない。 このパフォーマンスはプログラム,ソ フトウエア, およびハードゥェァ設備それ自体のパフォーマンスの組み合わせである。システムを設計し実施するプロセスは,12部 4章で議論する。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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