コラム・特集

8.4 配給モデル

IEハンドブック
第11部 計画と管理

第8章 ディストリビューションとロジステックス

8.4 配給モデル

この節と次の節では,物流分析における方法を述べる。 構成の類似性と,理解し易さと,表現の 便利さのために,分析方法を2つに大きく分ける。配給モデルとデリバリー・モデルである。配給モデルは,複数の客の場所を,1台の車または1個所の倉庫から供給されるような,理論上のサブ・グループの中に組み入れることである。これらはゆるやかな条件やきびしい条件付けにより,広範囲に利用できるモデルを作成することができよう。

制約と目的
配給モデルでは,どの施設から,どの車で,どこの客ヘサービスするのか,ということが基本的な疑問点である。この問いに答えるに当たって,どんな制約があり, 何を求めているのかをはっきりとしなければならない。 配給モデルを考える場合の制約として,一般的なものは,設備(施設)や車の容量制限であるが,また,時間制限もあり,混載配慮や,ルートの設定等に対する客の希望への配慮も制約条件として考えられる。物流モデル化の目的は,総費用を最小にすることであるが,その費用としては,施設の費用と配送費用の2つに集中される。アプリケーションにより異なるが,この2つには固定費にも変動費にもなる要素が含まれる。

決まっているサプライ・ポイントからの配給モデル
もっとも簡単な配給モデルでは,決まっているサプライ・ポイントからの配給である。このモデルは,与えられた複数のサプライ・ポイントから,どのディマンド・ ポイント に配給するのかを決めるモデルである。図表11.8.1に4個所のサプライ・ポイント(□内)から10個所のディマンド・ポイント(○内)への配置プロセスの例を示すいくつかの重要な仮定が図に描かれている。

第1に複数のソース(出所)がゆるされる。ある1個 所のディマンド・ポイントの要求量が, 1個のサプライ・ポイントの供給量より多い場合に起こる。

第2に,明確な車のルートが決められていないときには,われわれは,配給の費用のマトリックスがあると仮定するか,または,その費用はサプライ・ポイントとディマンド・ポ イントとの直接の距離に比例すると仮定する。ここで数学的フォーミュラをつくってみる。 Cijを1ユニットをサプライ・ポイントからディマン ド・ポイントに運ぶのにかかる費用とする。Xijを i からjに運ぶ量とする。Aiを iにある量,Bjを jで必要な量とする 。

最小ΣΣCij  Xijを 求める    (1)
Σ Xij ≦  Aj          (2)
Σ Xij = Bj          (3)
Xij ≧  0           (4)

これは古い運送モデルの1例である。このモデルの解は,複数の出所ということになることが多い。最適配置解を得ることにより能率的な運搬をすることができる。さらに,より少ない供給量の制約も考えられる。次に1個所の供給元を要求されたとすると,前のモデルに次の条件を追加する。

Xij=0  または Bj                                                    (5)

これは線型計画モデルを整数計画モデルに変えるこ になる。これはGeneralized Assignment Problem (Ross and Solandを参照)の変型である。

この場合,ブランチ・バ ンド法と古い運送計算を組み合わせて,望ましい配給計画を立てることができよう。 図表11.8.2は ‘1個所からの供給の解である。図に示すように追加した制約により物流費は増えた。残念ながら,多くの場合,客への配慮として1個所からの供給を要求されることが現実である。供給不足や在庫不足状態に陥ることにより,1個所供給の条件は価値がなくなるであろう。そのような状況の効果を予測したり,測ったりするために,われわれは配送モデルをFirst cut optimizationモデルとして取り上げる。次にシミュレーション・モデルを使って,欠品等の影響を予測するように導くことができよう。

複数レベルの物流モデル,固定施設
物流システムにおいては,複数レベルでの運搬が最も多い。商品はサプライ・ポイントか,またはディストリビューション・ポイントから出荷され,そこから個々のディマンド・ポイントヘ分配される。われわれは特定な仮定を立てることにより,追加のレベルを考えることができる。もし,ディストリビューション・ポイントからサプライ・ポイントまでの運搬に関する費用が1セットになっており,ディストリビューション・ポイントからディマンド・ポイントまでの費用は,いくつか区別できるものとすると,次のモデルが導かれる。

最小 ΣΣ Sik Xik+Σ Σ Dkj Ykj                                                              (6)

ここでは

Xik≦ Ai(サプライ・ポイントの容量 )                        (7)
Σ Xik― Σ Ykj=0(ディストリビューション・ポイント kを通る流れが調和されている)  (8)

Σ Xik≦ Fk(ディストリビューション・ポイン卜の容量がi→ kへ送られる量より大きい)  (9)

Σ Yki=Bj(デイマンド・ポイントjの要求がk→送られる容量に等しい                          (10)

Xik≧ 0,Ykj≧ 0                                                                                             (11)

上記の式における Sik=サプライ・ポイントからディストリョン・ポイントヘの費用(Xikは, 流れに関するもの)
Dkj=ディストリビューション・ポイントからディマンド・ポイントまでの費用(Ykjは,その間の流れに関するもの )
Fk=ディストリビューション・ポイントの容量である。

次のモデルが,直接,単純な能率的なネットワークにより解決される。他の関係する条件も考慮して,より複雑なモデルをつくることができる。例えば,運送費用が商品が配られるすべてのルートの中の1つの機能であるという仮定や,また,複数の供給元が,許されるとの仮定など考えられる。この場合,単純に式(1)から(4)でモデルを定義づけることができる。

ここでXijkをディマンド・ポイントjが必要とする量で,サプライ・ポイント1からディストリビューション・ポイントkを通過して運ばれるものとする。Cijkを運搬費と,トランスファー・ポイントの容量に関する係数とすると,モデルは次のようになる。

最小の ΣΣΣ Cijk Xijk i j k                         (12)

こ こ で

Σ Σ Xijk≦ Ai(サプライ・ポイント発送可能量)          (13)

Σ Σ Xijk≦ Fk(ディストリビューション・ポイントの許容能力)    (14)
ΣΣ Xijk=Bj(ディマンド・ポイントの必要量)                         (15)
 Xijk≧ 0                                                                        (16)

である。
このモデルは単純なネットワーク技法では扱えない。しかし,線型計算法を用いることができよう :図表11.8.3は 5個所のディストリビューション・ポイントをもった複数レベルのシステムの1つの解答である。

 

供給元は1個所という制約がある場合,このモデルは混合整数プログラムとして取り扱うことができる(Mixed integer programming model)。この場合,Geoffrion Gravesか Mairs et alのような手法を用いることができる。客からディストリビューション・ポイントが指示される。次にディストリビューション・ポイントに割り当てた需要を考えて,サプライ・ポイントからとディストリビューション・ポイントの運搬の問題を解く。そこで複数商品について考えると,ますます,モデルは 複雑になるので1商品の物流について議論する。ほとんどの場合,モ デルは商品の追加,割り当て(流れ)の変化や費用については,変化するごとに日々変更できる。しかしながら,その場合に効率的な解決方法は利用できない。また,GeoffrionとGravesが複数商品の問題に対するBenderの解決方法に説明を加えたレポートがある。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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