コラム・特集

8.3 システム・モデル化の概念

IEハンドブック
第11部 計画と管理

第8章 ディストリビューションとロジステックス

8.3 システム・モデル化の概念

物流のシステム・モデルを 最大限利用するために,モデルの使用者が,次のことを初めからはっきりと理解していなければならない。モデル日付け,その有効性,モデルの取り扱いやすさ(解決案の出しやすさ)および他の方法が発見される可能性等である。このセクションでは,最適なシステム概念の選択をする場合に考えなくてはならない点について述べる。

プランニング対オペレーション
物流システムのモデルをつくるに当たって,初めに起こる疑間は,このモデルは何をするためのモデルであるか,またその重要性についてであり,この疑間は答えなければいけない問題である。システム・モデルを作るとき重要なことは計画と実施である。一般に,計画には, システムを実行する前の分析とデザインが含まれている。

物流のプランニングにおいては,
(1)施設の場所とサイズ
(2)運搬車の選択とその大きさ
(3)製造と在庫の,量と必要性の分析
(4)財務上の必要性等が考慮される
またプランニングする際,実際にシステムを動かすときに必要なほど詳細でなくとも,システムを実行し,修正した後の動かし方も 考慮する 必要がある。であるから,プランニングのためには長い期間,数力月,いや数年をついやすことが多い。

需要,費用,供給,時間といったものの数値的なものは,プランニング時点ではっきり判らない。しかし,これはプランニング・モデルが動かすモデル(Operating model)より複雑でないという意味ではない。プランニング・モデルは,全システムの効果と相互関係を測ろうとするので,非常に複雑で大がかりになりやすい。プランニングには時間が必要であり,分析(コンピュータの時間と分析)のために多くの時間を費やしたモデルほど利用される。物流システムのサイズにより,数十から数百時間のコンピュータ時間を使用しているモデルはめずらしくない。1億ドルの物流システムの1%改善のために,1時間1,000ドルのコンピュータ使用料を数百時間使用することはできない相談ではない。

物流のオペレーション・モデルは,それぞれ異なるのが普通である。オペレーションには,緊急の決定が要求される。選択すべき他のモデルを作ってテストするための時間はあまりない。その結果,オペレーション・モデルは範囲が限られる。理論的に精巧でもなくなり,分析する時間も少ない。経験と計画を通して一般論やポリシーによることが多い。オペレーション・モデルは,特別のシステム要素,例えば,各客の操作時間や道についての知識について,細かい点を不変的に要求する。

プランニング時点で時間をかけて注意すれば,オ ペレーションのときに起こる問題を予期したり,分析したり,解決策を与えることができる。これは,数千万か数百万ドルの節約につながる。オペレーションが始まってもプラニングは終わるものではない。物流システムがあるかぎリプラニングは続けられる。需要の変動,車の容量の変化等あるので,新しい開発の機会と可能な代替システムが必要になり,システムの修正が必要になる。

2つの言葉が,システムを評価するときに使われる。戦略的(Strategic)または戦術的(Tactical)な決定か戦略的決定はプランニングに類似している。すなわち,システムの実施や修正が,長期的展望にそって施設や,車を考える。一方,戦術的決定とは,即座の決定である。例えば,車の計画とかルートとか荷積みや,生産における時間外の決定等である。物流システムの分析や設計の前に,「われわれはどれだけの時間と金が設計のために費やせるか」という基本的な疑間を常に問いかけるべきである。

シミュレーションと最適解の意義と立場
最適解を求めるためのモデルは,たくさんの代替(案) モデルを作り,評価することで効果がでる。このようなモデルは,選ばれたシステムの輪郭を,より深く分析しテストするときに役立つ。しかしながら,最適解モデルは,決定のためのシステムになりがちであるが,実施における変化により起こるシステムヘの影響を,把握することができない。

シミュレ ーションのモデルは,この点(システム)の変化に対応でき,待ち行列やネックになる状況や遅れを識別することができる。待ちや遅れ等の現象は実施に当たって,より多くの費用がかかり,大がかりなシステム設計を必要とすることになる。残念ながらシミュレーション・ モデルは,それ自身で色々のシステムを評価することはできない。分析によって,比較すべきシステムを作るシステムである。

両方のモデルの能力の結果,最適解を求めるモデルも シミュレーション・モデルも物流システムを作るために役立つ。最適解を求めるモデルは,たたき台として役立ち,それをさらに評価するために他のモデルを取り上げてみる。シミュレーションにより分析し,変化によリテストされる。オペレーション・モデルとシミュレ ーション・モデルとを繰り返し行い最終的なシステムの型を作る。

モデルの合成と分解
システムのモデル化と分析をするときに,モデルの詳細化と分析の可能性とをトレードオフをしなくてはならない。モデルが詳細であればあるほど,物流システムにおけるモデルの正確度は増す。しかしながら,詳しいということはモデルを複雑にし,分析に費やす努力(たびたび取り 扱いにいほどになる)がより多く必要となる。われわれは,物流システムにおいて何が適切な詳細さかに注目しなくてはならない。

分析機能を過度にならない程度の,(適当な)詳しさを達成するために,2つの重要な方法がある。1つはモデルの合成である。もう1つはモデルの分解である。両方とも役に立つ。合成させることはモデルの詳細性を減ずる。

ここで似たような物を合成することを試みる。例えば,たくさんの客が散らばっていると,それぞれの客の場所を無理に需要の多い地区に集めようとする。もう1つの例,類似のトラックが多いと1種類のタイプのトラックにしてしまおうとしたり,また,数種の主要商品に在庫品をまとめてしまう等試みる。もう1つの分析方法であるモデルの分解とは,大きなシステムをサブ・モデルに分けることである。物流システムは場所の最適モデルと, 車のルートとスケジュール ・モデル等に分けられ,さらにこれらのモデルは個々に分析され,また,理屈に合ったシステムをも作成するために繰り返し分析される。次の章で,これらとサブ・システムについて述べる。

代替案の作成と評価
システム・モデルを作ったり,分析したり,合成したりすることは,望ましい物流システムを最終的選択し評価するためのものではない。また基本モデルには考えに入れていない,数字で測れない制約とか政治経済的制約の配慮が,最終決定に際して,重大な意味を持つことがたびたびある。そこで,最善といわれるシステムを選ぶためには,分析したり,統合したりする方法は大切であり,システム・モデルから集められた色々のシステム (選択できる)は,より多くの分析をして最終結論を出す。適した選択と評価をするための手段として柔軟性分析がある。柔軟性分析では,理屈に合った範囲内で重要と思われるパラメータを考えてみて,トータルコストや労力等のアウトプットに対する効果を測ってみることである。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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