コラム・特集

7.7 鉄鋼業における作業者のモチベーションと機器の有効性を改善する保全・生産システム

IEハンドブック
第11部 計画と管理

第7章 保全マネージメントとコントロール

7.7 鉄鋼業における作業者のモチベーションと機器の有効性を改善する保全・生産システム

機械化,自動化,合理化の結果,新日本製鉄での所要作業者数は,1970年から6年間で約12,000人削減された。また,技能や熟練を要する作業は機械にとって代わられた。それゆえ,作業者の作業は単純化され,機械の監視が主作業となった。工場内における多くの作業者は , 高等学校を卒業しており,かなり高い知的水準にあった。テクノロジーの重要性,雇用の安定,作業者のモチベーションや技能向上の必要性を考慮して,工場は新保全マネジメント・システムの開発を計画した。保全診断システムが保全部門によって開発され,設置された。保全・生産部門は共同で,生産部門の作業の実情を調査した。調査の結果,次のことが明らかにされた。

1.5年以上の経験を必要とする技能作業はあまりない。作業に熟練するまでに要する時間と,作業の経験年数との間にはあまり強い相関はみられなかった。

2.ジョブ・ローテーションは,非常に多くの作業者のアイデア創成能力を向上させた。

3.保全トラブルの項目に関しては,7%が操作ミスによるものであり,75%が初期段階に作業者によって保全可能なものであった。また,18%は作業者 (操作者)には無関係のものであった。

4.初期段階で欠陥を発見し,修理出来る能力の70%は,3~4年の訓練で生産作業者に転移可能なものであり,残り30%は,保全作業者の特殊業務として残されるものであることが推定された。

5.トラブルの発生によって引き起こされた修理作業量の変動は,非常に大きかったので,多くのリリーフ作業者が保全部門に必要であった。

6.非常に多くの作業者が,現在の作業に種々の不満を感じていた。

こうした事実に基づいて,新しい生産・保全システムが開発され,設置された図表11.7.14に旧システムとの比較で新システムが示されている。

保全マネジメントの改善に関するこのシステムの主要な特徴は,次の通りである。

1.生産・保全部門に対する保全診断システムの広範囲な適用。

2.作業者のモチベーションや能力を改善するための職務拡充,職務拡大や保全マネジメントヘの訓練プログラムの導入。

3.0JTによる保全技能を改善すると共に,作業量変動を平滑化するため,生産部門と保全部門の混成によって成る 機動班と呼ばれるタスクフォースの編成 。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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