コラム・特集

7.3 保全マネジメントの機能,組織,システム

IEハンドブック
第11部 計画と管理

第7章 保全マネージメントとコントロール

7.3 保全マネジメントの機能,組織,システム

保全活動とその発展過程
第1段階では,保全活動は劣化したり故障した機器や治工具の取替,もしくは修理であった。第2段階では機械の複雑性が増大するにつれて,修理業務に技能が必要になってくると,特殊な修理技能をもった作業者が割り当てられたり,他の作業者の直接停止時間を削減するため,そうした作業者のグループが形成された。第3段階では,事後修理の場合における停止時間を削減するため,代替治工具や代替機械,あ るいは作業方法を改善したり,スペア部品の在庫管理するいくつかの管理方法が開発された。また,修理費用を削減するため,定期点検や定期修理機能が開発された。第4段階では,機械化や自動化が進むにつれて,保全不足によって生ずる保全費 用や機械費用が増大した。その結果,保全における信頼性,有効性,保全性,経済性分析が工夫された。

最近は,保全マネジメントをより効果的にするため, 保全マネジメントの諸活動が展開されるようになった。また,保全機能は単に保全マネジメント部門だけに属するものではなく,機能の一部を生産,研究開発,設計, 購買,財務の各部門から購買先まで,あるいは,トップ・マネジメントから作業者までに,分担させるべきであるという考え方が出現している。こうした考え方の下で, 英国の通産省は “テレテクノロジー”の重要性を強調した。テレテクノロジーの実践は,信頼性の高い堅固な構 成の設計仕様をもった機械設備を設計し,据え付け,保全し,改良し,取り替え,さらに,設計,パフォーマンス,費用に関する情報をフィードバックすることである。

機 能
保全機能は,以下に示すようなマネジメント機能,技術機能,作業機能に分けられる 

1.マネジメント機能
マネジメント方針の決定,保全組織やシステムの設定,計画立案,スケジュー リング。保全活動のコントロール.経済性分析と評価,作業者技能の改善とモチベーションの向上,外注管理,予算統制。
保全記録や報告書の保管,保全効果の測定。スペア部品や代替治工具,代替機器のコントロール。

2.技術機能
機器パフォーマンス分析,故障原因分析,検査標準規程の作成および指示,清掃・修理,取替分析。

3.作業機能
検査 (定常,定期,受入検査), 準備作業 (潤滑油,調整,修理),エンジニアリング業務 (機械加工,溶接,仕上げ等)。

組 織

保全機能を遂行するには2つのタイプの組織がある。1つは集中保全組織であり,他の1つは分散保全組織である。集中保全組織の利点は次の通りである。

1.保全システム内の保全作業グループと管理部門とが密接になり,作業指示が迅速・容易になる。
2.保全予算や要員計画が公正化され,優先順位の付け方や保全技術が適正化される。また全体的観点からの高品質化・機器の有効化が図れる。
3.保全作業グループと保全スタッフの削減および効果的活用が図れる。

分散保全組織の利点
1.移動時間の削減が図れる。
2.操作する機器条件についての知識の向上が図れる。
3.生産と保全間の関係が生産中心的に改善される。

保全のタイプ
保全のタイプとしては,(1)事後保全,(2)日常保全,(3) 改良保全,(4)予防保全,(5)保全予防があり,図表11.7.6 は保全のタイプとそれらの特徴を示している。

保全マネジメントのシステム
保全マネジメントに対するシステムは,保全マネジメントの方針や目標が実現できるように,前述の諸活動を有機的に連結するシステムである。このシステムは,保全コントロール・システム,保全作業システム,保全情報システム,コンピュータによる保全マネジメント・システム,保全スケジューリング・コントロール・システム,保全診断システムなどいくつかのサブシステムから構成されている。保全方針を具現化する保全マネジメントの,種々のサブシステムを設計するために使われる一般モデルが,図表11.7.7に示されている。

資源のコントロール・システムは,保全活動で使用される種々の資源を計画し,コントロールする。保全条件コントロール・システムは,種々の故障情報から構成される。

保全作業の手続きが図表11.7.8に示されている。図表11.7.9,11.7.10に示される診断システムや情報システムは,コンピュータに支援されている。コンピュ ータ化された保全システムを設計するには,次の配慮が必要となる。

1.保全作業に精通した人とコンピュータの特徴や制約についての知識を有する人との協力。
2.作業者とコンピュータとのインターフェイスの設定 。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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