コラム・特集

7.2 保全マネジメントの有効性・経済性分析,故障分析,データ分析

IEハンドブック
第11部 計画と管理

第7章 保全マネージメントとコントロール

7.2 保全マネジメントの有効性・経済性分析,故障分析,データ分析

 

有効性・経済性分析
購入した機器や施設が,ライフ・サイクルを通じて, 全く故障停止しなければ,それに越したことはない。しかしながら,現実には,故障や陳腐化によって停止時間 (動作不可能時間)が必然的に発生する。図表11.7.1は,総時間における停止時間の要因を示している。

故障や陳腐化が発生しなければ,保全活動は不必要である。その結果,故障によってもたらされる損失や保全費用は発生しない。他方,機器や施設の購入費用は極度 に高価になる。それゆえ,保全マネジメントの経済性は, 保全費用,機会費用,購入費用,据え付け費用の総和として評価される。

有効性は,次式で定義される。

有効性 =稼働時間(動作可能時間)/ 稼働時間+保全時間

有効性は,機器や施設の信頼性を高めることによる稼働時間を増大させること,および,保全技法の向上による保全時間の短縮によって改善される。図表11.7.2は 有効性と費用との関係を示している。

故障特性
図表11,7.3は ,使用時間に対する機器の故障率の変化を示している。

期間1は “初期故障期間”と呼ばれる。 この期間の故障は,主に設計ミス,加工間違え,粗雑な取り扱いによってひき起こされる。

期間2は “偶然故障期間”と呼ばれ,主に操作ミスによって発生する。定期保全や調整作業はこの期間に必要とされる。

期間3は,“摩耗故障期間”と呼ばれ,主に機械摩耗,腐食,物理的変化によって発生する。この期間は予防保全や改良保全が有効である。その際に,予防保全費用や改良保全費用が非常に高ければ,取り替えが必要になる。

故障分析は,実際に発生した故障原因や潜在的な故障原因の影響,故障メカニズム,仕事の発生確率についてシステマチックに研究,調査することである。

図表11.7.4に示された方法は,設計段階での信頼性分析に使われる。故障の型と影響分析(FMEA)と欠陥樹分析(FTA)は,もっとも一般的な方法である。こうした方法の実際的な手続きを以下に概略記述する。

FMEA
この方法の目的は,潜在的な故障の型と主要な 故障原因を推定し,対象システムの 影響を評価することである。この方法の実際的な手続きの概略を示すと次のようになる。

1.対象システムの構造分析およびシステムをサブシステム,構成品,部品へ展開する。
2.システム仕様に基づきサブシステム ,構成品 ,部品のミッションを定義する。
3.(手順1)での分析結果に基づき分解レベルを決定する。
4.システムの機能ごとにサブシステム,構成品,部品に分類する。
5.対象システムの最終ミッションを設定し,機能別信頼性ブロック・ダイヤグラムを作成する。ここで機能別信頼性ブロック・ダイヤグラムは,(手順4)での分類にしたがってシステム,サブシステム,構成品,部品間の機能的関係を示したものである。
6.機能別信頼性ブロック・ダイヤグラムによって潜在的な故障の型を列挙する。その際に,ブレーン・ストーミング法が有効となる。
7.列挙された故障の型の中から,いくつかの効果的な故障の型を選択する。その際,設計技術者,信頼性保証技術者,試験技術者が合議するとよい。
8.主要な故障原因を推定するため,類似システムに関する試験文書,エラー文書を参照する。
9.分析文書に結果を記述する。

FTA
これは,システムの安全性や信頼性を損う“好ましからぬ事象”を排除するため,事象記号や論理ゲート記号を用いて事象の真の原因を検出する。手続きの概略を示すと次のようになる。

1.対象システムの構成,ミッション,機能,信頼性,安全性を定義する
2.多くの“好ましからぬ事象”の中からトップ事象を選定する
3.トップ事象に対する原因事象を列挙する
4.論理ゲート記号を用いてトップ事象とその原因事 象間の関係を記述する
5.(手順3)で列挙された事象をひき起こす基本事象まで展開する
6.(手順3)から(手順5)までの結果を欠陥樹ダイヤグラムにまとめる
7.各事象の発生確率を算定し,トップ事象の発生確率を計算する
8.(手順7)の結果を用いて,トップ事象の発生確率に重大な影響を及ぼす原因事象の改善を図る
9.各事象の発生確率が得られないときには,重大な影響をもつと考えられるいくつかの原因事象を選択し,改善する

信頼性,保全性に対するデータ分析の段階
図表11.7.5は ,信頼性,保全性に対するデータ分析の段階を示している。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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