コラム・特集

6.1 概要

IEハンドブック
第11部 計画と管理

第6章 資材所要計画(MRP)

6.1 概要

資材計画は,事実上,あらゆる製造会社でみられる生産・在庫管理機能であり,受注あるいは見込生産における最終製品の製造,組立に用いられる構成部品,購買部品,原材料の在庫を,管理,統制することを目的とする。このような在庫の管理は,通常資材計画者の仕事であり, 資材計画者は,組立日時に間に合うように必要な構成部品,原材料をストックするために,構成部品の製造指示や購買のための発注を行う。

このような在庫を管理するためには,構成部品の需要に関する2つの鍵となる特性を,認識しておく必要がある。

1番目に,構成部品を必要とする製品は,多くの場合ロット単位でつくられるため,その構成部品の需要は間欠的にあるかたまりをもって起こるということである。

第2番目に,構成部品の所要数量とその時期は,最終品目の所要量の予測,または予想とその組立あるいは製造時期に基づいて,計算できるということである。資材所要量計画は,このような需要の条件のもとにおける使用を考えて設計された,在庫管理技法の1つであるといえる。MRPの使用に際しては,普通膨大なデータ処理を必要とすることから,1950年代の後半に始まる製造業へのコンピュータの導入が,在庫管理へのMRPの適用を大きく助長してきた。今日,MRPはさまざまな製造環境,とくにジョプ・ショップや離散的な製造工程をもつ工場で,広く用いられている。

MRPは ,在庫の管理に,従来より用いられている統計的発注点方式と比べて,部品中心というよりも,製品中心の考え方に基づくものであり,そして最終品目を構成する構成部品の,過去の所要量の挙動よりも,最終品目の計画需要量に基づくものである。MRP方式では, 最終品目の需要予測に始まり,部品構成表に表わされている最終品目と,その構成部品との関係から,期間別の資材所要量が計算される。統計的発注点方式に比べての主な利点として,間欠的,離散的に起こる需要についても,適切に処理できる能力をも つこと。そして期間別の構成部品の所要量について,予期される変化を正確に反映する能力をもつことがあげられる。

適切な方式の選択
ある品目 がも つ需要の性質が,適切な在庫管理方式を 選択する上での決定要因となる。1つの品目の需要が, 他の品目の需要と無関係であるとき,その品目の需要は独立であると考えられ,多くの場合予測に基づいてその量は決定される。例えば,最終製品や組み立てられないで販売される補給部品は,一般に独立需要品目と考えられる。一方,ある品目あるいは半組立品の需要が,他品目あるいは他の半組立品の需要と直接関連し,そこから計算されるときには,その需要は従属であると考えられ,その品目が構成部品となっている親部品の需要に基づいて,計算することができる。在庫管理へのMRP方式の適用は,とくに従属需要品目への応用に特徴がある(ただし,ある品目が独立であるか従属であるかは,その品目の使われ方によるものであることに注意を要する。例えば,サービスパーツの場合,顧客に販売される場合にはその需要は独立であるが,生産に使われるときには,その需要は従属である。

需要のパターンは,在庫管理方式を選択する上で,もう1つの重要な決定要因である。統計的発注点方式では,最終製品では多くの場合成り立つ,比較的均一で,連続的な需要を仮定している。一方,最終品目の製造に使われる構成部品は,最終品目の段階でのロット化の要求を満足させるために,間欠的に,すなわち離散量で必要とされるという傾向がある。このとき,間欠的な需要が起こる時間に着目することによって,資材が実際に必要とされるときまで,補充を遅らせるという能力をMRPはもつ。発注点方式のもとでは,対照的に発注点に達するとすぐに,自動的に補充が要求される。

さらに,MRPでは,いくつかの最終品口が同じ構成部品を必要するとき,最終品目が,構成部品を必要とする製造工程の時点を考慮しながら,すべての最終品目に対する所要量を統合することによって,個々の最終品目による,離散的な需要をうまく処理することが可能となる。

鍵となるデータソースとしての部品構成表
従属需要の構成部品の在庫を,効率的に管理するための情報を,資材計画者に与えるために,MRPには,必要とされる部品,所要量,必要とされる部品の”頂番と時期についての情報を,それぞれの最終品目について計算する,基礎的なデータを必要とする。

MRP方式には,最終品目の予測需要量と,部品構成表に記載されている。最終製品と,その構成部品との関係に基づき,すべての構成部品に対する将来の需要量の計算が,本質的に要求される。

生産・在庫管理におけるMRPの 役割
生産・在庫管理システムの中で,図表11.6.1に示されるように,コンピュータを用いたMRPシステムは,全体的な資材の流れの中心的役害Jをもつ。MRPシステムの第1の目的は,基準生産計画が計画どおりに効率的に実行出来るように,資材計画者のために情報の処理やレポートを作成することにある。このような情報の処理やレポートを作成することによって,中間工程や最終組立のために,必要なときに必要な量だけ,原材料や構成部品を供給することができるようになる。MRPシステムが,このような使命を果たすための鍵となる入力には , 基準生産計画または全体生産計画,手持ち在庫量,指示済みオーダー量,原材料の購入リードタイムや,構成部品の製造リードタイムを示す在庫記録,そしてそれぞれの製品の部品構成表があげられる。一方,MRPシステムの出力は,購買部門に原材料や購入部品を購入する日程や指図を与え,工程に製造や仕掛品在庫の組み立てを指示するなど,一連の指令からなるレポートである。この指令に基づいて,資材計画者は,すべての生産計画を遂行することができる。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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