コラム・特集

4.6 在庫システム

IEハンドブック
第11部 計画と管理

第4章 総合生産計画

4.6 在庫システム

ツービン・システム ツービン・システムは,安定した需要のアイテム,リードタイムの短いアイテムと,ナット,ボルトやワッシャーのような安価なアイテムの管理に適している 名前が示すように,大きなビンと小さなビンの2つの資材貯蔵のビンを用いた管理システムで,大きなビンが空のときは,小さなビンの資材が使われ,同時に大きなビンを補充するために発注が行われる。このシステムで管理されるアイテムは,定期的に購入されるものであるため,あらかじめ用意された発注用ドキュメントが,供給業者に渡されるように,小さなビンの上に置かれている。小さなビンをあけることは,発注点を過ぎたことを表わしており,小さなビンの資材量は,発注品が届くまでの需要に十分見合う量でなければならない。ツービン・システムによって管理されるアイテムは,一般に在庫切れが許されない種類のものである。し たがって,このようなアイテムを多目に在庫しているのが普通である。しかし, このアイテムヘの在庫投資は相対的に小さいから,財務的なインパクトは小さい。

ツービン・システムは,管理のしやすいシステムであるが,記録がとられないため,各時期における手持ちのバランスが分からないのが欠点である。また同様に,需要の傾向も把握することができない。しかし, ビンを開けてから空になるまでの間の時間を記録することで,需要の推定を行うことができる。

継続照合システム(Continuous Review System)
継続照合システムは, ツービン・システムとは基本的に情報処理のタイミングが異なる。この名前は,在庫量を常に監視するというところから出ている。実際には,入出庫の都度,在庫状況をチェックすれば十分である。 継続照合システムでは,すべての入出庫が記録されるため,適切な記録システムがあれば,多くの価値のある情報が得られる。

ABC分析
19世 紀のイタリアの経済学者であり社会学者であるヴィルフレド・パレートは,後に普遍的な法則となった。「任意のグループでは,少数のメンバーが大半の重要性を占めている」ということを最初に言い出した人である。例えば,スーパーマーケットでは,取り扱い品目の少数が,大半の売上高を占めている。同様に,在庫でも,例えば在庫アイテムの20%が,総在庫投資の80%を占めるであろう。そこで, この原則は「80/20ル ール」という名前で呼ばれることもある。

この原則から,管理者は重要なアイテムだけを管理すればよいことになる。すなわち,費用の20%しか占めない80%のアイテムを分析する代わりに,費用の80%を占めるいくつかのアイテムを管理すべきである。在庫投資をするときには,在庫アイテムの単位費用と数量との組 み合わせを管理対象としなければならない在庫アイテムの単位費用に,年間使用量を掛けた数値が在庫投資の指標となる数値である。この”年間在庫費用″を用いて在庫アイテムをランク付け,A,B,Cに分類する。クラスAは,10から25%のアイテムから構成されるが,総費用の65から90%を占める。クラスCは,アイテムの45から55%からなるが,総費用の5から10%しか占めない。残りがクラスBに属するアイテムである。

ABC分析の例を図表11.4.17図表11.4.18にグラフ表 示 (ローレンツ図)で示した。各クラスヘのアイテムの分類は主観的に行われ,とくにローレンツ曲線が一定に近いところでは難しい。この分析は,いろいろな使い方がされる。1つには,ア イテムが周期的に出てくる頻度を利用したり,時系列記録のロットサイズ決定に 用いられたりする。ここで述べている手法は,固定時期所要法である。この手法は,数週間の正味所要量を発注量とするものである。

例えば,以下のように使われる Aアイテムは,3週間ごとに発注,Bアイテムは6週間ごと,Cアイテムは12週間ごとに発注という分類をする。

最近,データプロセシングの低廉化に伴い,すべてのアイテムを同じように処理することができるようになってきたため,上記の手法の有用性は減ってきている。 広範囲な記録維持やパラメータ計算が,年間在庫費用にかかわらず,すべてのアイテムに対して行えるようになった。しかし,企業が非常に多くのアイテムを管理しなければならない場合には,ABC分析は,特別な管理を必要とするアイテムを選定する方法として有効である。

また,発注点のような統計的パラメータの推定法では , 価値の小さいクラスCのアイテムに対しても ,同様の管理を必要とするため,近似的な方法が用いられる。厳密にABC分析を使用するのは危険である。年間在庫費用が同じであっても ,単位費用が高く量が少ない場合,または,その逆のケースという相違があり,それぞれのケースは違う方法で扱わなければならない。また, 製造状況によっては,CアイテムがAアイテムに等しいくらい重要なこともある。したがって, ABC分析は, 独立需要アイテムだけに用いることができるのである。さらに,ABC分析について知りたい場合には,ジメーマンを参照していただきたい。

在庫記録の正確性
もっとも 重要なことは,在庫記録上の数量と,倉庫にある実際の在庫数量とが一致していることである情報は,顧客からのオーダー,生産計画,下請へのオーダーに基づくファイルから読み取ることができる。情報が正しくなければ,不足や生産性の低下,過剰在庫を招いてしまう。

記録と実在庫数量とが不一致を起こす原因はいろいろある。多くの場合,品物の運搬が誤った在庫トランザク ションで処理されたり, トランザクション処理されなかったりするからある。集中データベースではなく,分散型在庫ファイルをもっている企業では,とくに,この相違は深刻な問題になっている。したがって,時々,記録と実在庫とが一致しているか否かをチェックしなければならないこれは運用面からの必要性だけでなく,会計検査のためにも必要である。貸借対照表を算出するとき,少なくとも1年に1回は,在庫バランスを正確にしておかなければならない。

在庫をカウントする方法としては,循環計算法があり, これは年間を通して在庫システムの全アイテムを計算するものである。この方法には,いくつかの利点がある。例えば,同時にすべての誤りを訂正するのではないから,在庫記録の訂正が大きなインパクトをもたらさない。

また,アイテムは,カウントするのに最適のとき,すなわち,在庫記録が少量であったり, 0のときに,カウントすればよい。この際100%の正確さを求めるのではなく, 合理的な目標を95から98%にすべきである。

停滞している在庫
記録維持システムの利点は,現在の手持ち在庫状況が分かるだけではなく,資材が最後に使われたときの情報も提供することにある。入出庫の頻度が極めて少ないアイテムは,設計変更などのために,もう売れない製品であるかもしれないため,在庫システムに残しておくべきか否かを決定しなければならない。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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