コラム・特集

4.5 在庫管理の手法

IEハンドブック
第11部 計画と管理

第4章 総合生産計画


4.5 在庫管理の手法

従属需要と独立需要
需要の特質は,在庫管理手法を決定するときに考慮しなければならない重要な要因である。自転車の生産のケースを例にとると,自 転車の生産数は将来の売上予測に基づく。しかし,購入されるサドルの数や,生産されるホイール数は予測する必要はない。それは,将来の生産計画のもとで自転車の生産台数が決まれば,自転車を構成する部品の数量は,製品構成によって決められるからである。予測値の精度を上げある。従属/独立需要の原理とは,後者が,在庫システムの他アイテムに独立と考えられ,統計的な発注方法によって管理されるエンドアイテム(この節の後で説明す)であり,前者がエンドアイテムの需要に従属的で, MRPシステムによって管理される部品というような区分で表わされる。もちろん, この原理には例外がある。例えば ,スペア部品は従属・独立需要両方の性質をもっている。ある需要は予測から ,また,ある需要は直接生産計画から導かれる。このようなアイテムに対しては,MRPシステムが適している。スペア部品は,非販売用の製品としても作られる。この場合,独立需要だけが予測されなければならない。この章で紹介する手法はこれに適している。一方,他の場合は,従属需要のアイテムを扱う場合で,その価値が小さく,使われかたが規則的ならば,それ程、技巧的なシステムを在庫管理のために使う必要はない。最後に,この節で述べる 統計的発注点法は,たとえ,この手法が流通在庫に最適だとしても,製造企業の在庫部品のすべてか大多数に適用できる。結局,MRPシステムは,新 しい生産の計画・管理方法である。

予測・発注システム
在庫管理に関しては,以下の3つの基本的な課題がある

1.いくつ必要か ?
2.各時点で,どれだけ発注しなければならないか ?
3.いつ発注しなければならないか ?

第1の課題は,アイテムの需要推定に関するものである。これは,予測システムによって行われる。このシステムは,非構造的,非形式的な手計算による方法から, 技巧的なコンピュータ 応用の方法まで,種々存在する。次の節では,単純・効率的で,広く使われている短期間予測手法について概説する 2, 3番目の課題は,発注量や発注時期を決める 発注システムによって解決される。これらについては,以下の予測についての議論の中で取り上げる。

基本的な予測手法

移動平均法
ほとんどの予測手法は,将来の動向が過去の動向と類似しているという仮定に基づいている。したがって,将来動向を推定するための簡便なアプローチは,過去の事象の平均を予測として使う方法である。例えば,最近四半期の売上げが12,000個の場合に,次四半期の売上げも同じ12,000個とするようなことである。予測値の精度を上げるために,平均を算出するデータ数を増やす必要がある。これは,データ数は予測の信頼性に影響を及ぼすからである。移動平均予測法の原理を以下に示す。最近6カ 月の製品売上げが図表11.4.6の ように推移したとすると, 6月末の時点で算出する3カ月移動平均は,(52+49+63) /3=54.7である。

そして,この値を7月の予測売上げとして用いることができる。
7月の実績売上げが確定したとき,例えば58個ならば,新しい3カ月移動平均は(49+63+58)/3=56.7となり,これが8月の予測売上げとして用いられ,同様の計算が,月を追うごとに繰り返される。実際,移動平均は,新しい売上データが確定し,平均が更新されるまで,その時点の予測値として用いられる。

移動平均法の一般的な欠点を,以下に示す。

(1)平均の算出に用いられている期間のデータを保管 しておかなければならない。
(2)予測値として用いられる平均は,新旧データに同じウエイトを与えている(n期間の移動平均の場合 , ウエイトは1/nである)。

新しいデータを強調し,古いデータのウエイトは小さくするのが合理的であろう。以下に示す指数平滑法により,上記のことが可能になる。

指数平滑法
ある時期の予測が行われ, この時期がすぎた後に,実際の需要が確定されたと仮定する。時期tの実際の需要 ADtと 同時期の予測FCtの 差異は,”予測誤差″FEt(F島 =ADt一FCt)と呼ばれる。 予測が誤まりの場合,すなわち,正または負の予測誤差がある場合,これから何かを導き出さなければならない。1つには,次の期間の予測をするために,誤差にある比率をかけたものを古い予 測値に加える方法がある。

指数平滑法は,移動平均法と同様に,過去のデータを平均または平滑化し,それを予測値として用いるという原理に基づいている。過去の予測値(過去データの平均 ) に加えられる予測誤差の係数をαとすると,αは0から1までの数値で,以下のように定式化される(図表11.4. 7参照 )。

1.  EAt=α×(ADt― FCt)十 EAt-1
E At:時期t末の指数平均

2.  FCt+n=E At (n=1, 2…,すなわち,時期t+1, t+2等の予測値は,最新の予測値に等しい)

3. FCt=EAt-1 であるから, Iの等式は以下のように書き直せる

E At=α ×ADt+(1-α )EAt-1

この等式で時間をさかのぼると,ADtへのウエイトはαで,ADt-1へのウエイトは, α×(1-α ),ADt_2の ウエイト はα(1-α )2などということになる。αは1より小さいから, ウエイトは段階的に小さくなっていく。指数平滑法を図表11.4.6の販売予測に用いる場合,初期平均と平滑化定数αが必要である産業界で一般に用いられているα値は0.1である。例えば,初期平均を最初の5カ月の平均とすると,51.8である。したがって, 6月末の指数平均は以下のように算出される。

  E A6=01× 63+0.9× 518=52.9

そこで, 7月の予測値は,53個となる。指数平滑法は,短期間の予測には簡便で効率的な手法である。前記のように,この手法は,一定な平均を基に変動するデータに最適である。しかし,一定の成長パターンや季節変動のような状態を扱えるようにも,簡単に拡張できる。

将来の需要を予測するのは,大変難しく,正確にはできないため,管理者の挫折の原因になっていた。しかし, ビジネスにとって,予測は不可欠で,基本的な活動であり ,管理者は,手法の長所・短所を見極めて用いなければならない。

発注量の決定
指数平滑法を用いるか,または 過去の在庫記録をみただけで,ある時期の需要が推定され,将来の計画も同じ 需要であると仮定する 次の問題は,各時期にどれくら いの量を発注するかを決めることである。このために, 前記の在庫費用が用いられる。ここで扱うモデルは,維持費用と発注費用だけを用いる。 さらに複雑なモデルは不足費用も含むが, これに関しては,ハドレイとウィテ ィンを参照していただきたい。

需要量が一定で,在庫が即座に補充され,在庫切れがないならば,在庫の時間的経過は発注量によっ欲まり, 2つのタイプを図表11.4.8に示した。ここでは発注量Q1, Q2(Q2=2Q1)の場合について,在庫が0になった時点で発注され,即,補充されるときの在庫量の時間的経過を示している。

図から, 1回当たりの発注量(Q)が多いほど,単位時間当たりの発注回数が少なくなり,平均在庫量も多くなるのが明らかである。そこで ,

D=単位時間当たりの平均需要
S=発注費用
C=1ァイテムの価格
I=年 間在庫管理費用(%)

とすると,以下の関係が成り立つ(単位時間を1年とする )。

D/Q= 1年当たりの総発注回数

D/Q・S= 年間発注費用

Q/2= 年間平均在庫

Q/2・IC= 年間維持費用

そこで年間総費用(発注費用と維持費用)TCは以下のようになる。

 

(4)式 を用いることによって,次のような解析ができるようになる。「発注量を50%増やすと年間総費用はいくらになるか?」 このとき, q=15であるから,P=1.0833 となる。 したがって,発注量492(=327.9×15)のときの年間総費用は$11101(=102.47× 1.0833)となる。次に,(5)式を使うことにより,「最適費用より1%増えることを認める場合,どの程度発注量を変えることができるか?」という解折ができる。

この場合,P=101であるから,q1=0.868とq2= 1.152が得られるしたがって,Qは,285から375までの間(そ れぞれ, 327.9に0.868,1.152を掛けたもの)の値をとり,総費用は$1.02を上回らない総費用は発注量の変化によって大きな変化を生じない。これは,発注量の決定に余裕を与えるので,好ましい性質である。EOQはモデルが成立する場合にだけ有効である。実際の需要が平均需要からかけ離れるほど,推定値の精度が落ちる。

発注点
前記の在庫管理に関する最後の課題は,発注量を確定 した後の発注時期に関するものである。ふたたび図表11.4.8を見ていただきたい。時点aで在庫は空になるが,在庫切れは許されないから,補充をしなけれぎならない。発注してから在庫されるまでのリードタイムがLならば,遅くとも,発注は時点b(a―b=L)に行わなければならない。このときの在庫数量はR個である。この在庫数量は,”発注点″と呼ばれ,不確定要素がなければ, リードタイム間の需要に等しい。

例えば,D=1,200個/年で,L=4週とし,年間50週とすると,週当たりの需要量は24個となり,発注点は4×24=96個となる。EOQが328個ならば,在庫が96個以下になったときには,いつでも328個発注される。したがって,発注は,年間3.7(1,200/328)回行われる。

サービス水準の概念
需要が一定な状態は,実社会ではまれであり,ほとんどの需要は時期ごとに変化する。また, リードタイムも一定ではなく,発注ごとに変わるものである。さらに発 注したものがすべて納入されるか,それらは良品であるか,在庫記録は実在庫と一致しているかということにも不確実性がある。本節と次節で,需要が変化する場合に適用される手法について述べる。ここでは, リードタイムは一定と仮定する。

実需要が時期ごとに変化するにもかかわらず,発注点を平均需要によって決めてしまうと,在庫切れがしばしば起こってしまう。在庫切れは , リードタイム中の需要が発注点よりも大きいときだけに起こる(図表11.4.8) から,発注点Rを増やすことで,在庫切れを減らすことができる。さらに在庫切れは発注点を過ぎたとき,すなわち,発注されてから納入されるまでの期間,だけに起 こる。したがって,発注量を増加させることにより,発 注回数と不足回数とを減少させられる。

発注量と発注点の決定は,発注費用・維持費用・不足費用間のトレードオフに基づいて行われる。しかし,前記のように,実際には,不足費用はあまり用いられない。これは,管理者が不足費用の推定を嫌ったり,在庫モデ ルが複雑になり過ぎてしまったりするからである。このために,”サービス水準″の概念が用いられる。サービス水準は,いろいろな方法で定義される もっとも一般的な定義を以下に挙げる。

サービス水準とは,直接在庫によって満たされる需要の割合(%)である。すなわち, 1年間に1,200個の需要があり,1,152個が,すぐ出荷されたとすると,サービス水準は1,152/1,200=96%となる。したがって,サービス水準βは以下のように定式化される。

AUS(R)はオーダー当たりの平均不足数であり,発 注数Qはオーダー当たりの平均需要数であるから,等式 (6)は前記のサービス水準の定義から直接導びくことができる。

図表11.4.10は,在庫アイテムのリードタイムの需要の 離散分布を表わしている。リードタイム(DL)の平均需要は, P(D)が需要数の確率を表わすとすると,以下の式で表わされる。

 

在庫SSと呼ばれる 安全在庫は発注点の関数で , SS=R―DLと表わせる(図表11.4.11参照)。この場合, SS=4-295=105個となる。平均循環在庫は,Q/2=10個である。そこで総平均在庫は,11.05個となる。

在庫管理における予測誤差の利用
いままでは,図表11.4.10のように,リードタイムの需要の分布が不変であると仮定してきた。需要を推定するために,予測システムを使う場合,この変数は,おおかた異なる値をとるはずである。しかし,問題になるのは, リードタイムの需要の分布ではなく ,予測誤差の分布である。これは,在庫が予測と誤差の分布とに基づいているからである。例えば,将来を完全に予測できる手法があれば,たとえ,実需要の大きな変動があったとしても,予測はいつも正確で予測誤差は0となる。この場合,安全在庫のような予防手段は必要がない。よくできた予測システムは自動的かつ継続的に,予測誤差の標準偏差(SD)を推定するが,多くの場合,平均絶対偏差(MAD)の形で求められる。一般に,平均予測誤差は0で,平均値回りの誤差の分布は正規分布に従うと仮定されている。この場合,平均絶対誤差MADと予測誤差のSD;σeとの間には直接的な関係があり, σ e=125× MADと表わされる。予測誤差の分布をf(u),平均を更,SDを σeとする。平均式は , リードタイム期間の需要の予測値に等しいから ,連続分布の場合,発注サイクル間の不足品の平均数は以下のように表わされる。

AUS(R)=∫(X-R)f(u)du     (9)

比AUS(R)/σ eは ,”サービス関数″ と呼ばれ,安全要因Zの値に対応する値が表としてまとめら れている。

Z=R-X/σ e                                                (10)

この表の一部を図表11.4.12に示すXは Dしの推定値だから,安全要因Zは予測誤差のSDが,どのくらいの安全在庫を必要とするかの程度を表わすものである。σ e はリードタイムの予測誤差に基づいているため,予測間隔Fが, リードタイムLと異なる場合には,SDに要因 0.659+0.341× (L/F)を掛けなければならない。

等式(6),(9),(10)の変数の値をいろいろ変化させると図表11.4.13の傾向が得られる。この表は,以下のように解釈できる。発注量が一定のとき, SDが増えると,サービス水準を一定に保つには,安全在庫を増やす必要が出てくる(すなわち,発注点の増加)。同様に,予測誤差の変動がない場合,サービス水準を向上させるには,発注量を増やさなければならない。サービス水準と安全在庫レベルとの典型的な関係を図表11.4.14に示す。図より,サービス水準を向上させるためには ,安全在庫を増やす必要があることは明らかである。例えば, σe/Q=025ならば ,β を97から98%に増やすためには, SSをおよそ25%増やさなければならないことを意味している。さらに,βを98から99%に増やすために必要なSSの増加量は,約35%になる。サービス水準の定義から,D(1-β )は 1年間の総不 足数を表わしている。サービス水準がβ 1からβ2に変わった場合,その不足数の比率は,(1-β 2)/(1~β1) となる。例えば,β が90%から95%に増える場合,不足数は半分になる。一方,β が99から98%に減ると,たったの1%の差であるが,平均不足数は2倍になる。このメジャー自身からは,特別なサービス水準を達成するために,どのくらいの費用がかかるかを見ることはできないが,図11.4.14に関連して,サービス率の向上と共に限界費用は着実に増加し,管理者は,在庫投資や費用を考慮せずに,サービス水準を単独に決定してはならない, ということを指摘しておく。

まとめ買いによる低価格化が可能な場合の発注量の決定

供給業者は,一般に,顧客がまとめ買いをする場合,安い価格で供給する。購入側は,発注および在庫維持費用と共に,資材購入費用についても考えなければならない。 発注,在庫維持と購買の総費用は,以下の公式で表わされる。

TC=D/Q・S+Q/2・IC+DC              (12)

単位費用Cは,Qに依存する変数であり,C=f(Q)と表わせる。最小費用をみつけるために,以下のアルゴズムが使われる。

1.最低価格のときのEOQをみつける。それが実行可能ならば,そこで止める。実行不能ならば,継続的に価格を上げながら,EOQを探し続ける。実行可能なEOQは,特定の価格が設定されている数量の範囲におさまる。

2.実行可能なEOQのときの総費用を計算する。 T CEOQ=EOQ× IC+DC

3.EOQより多い数量で起こる価格分岐点(Price Break)の総費用を求める。この価格分岐点のときの単位価格は,EOQのときの価格より低いはずである。 T CQ=I:S+91CQ+D CQ
CQは ,価格分岐 点のときの価格である。

4.ステップ2,3から最小費用を求める

価格分岐点が600個ではなく,800個で起こると仮定すると,この場合の解は以下のようになる。

1.EOQ(2.10)=690<800 実行不可能
EOQ(2.20)=√2×5.000×20/0.2×2.20 =674
このEOQは実行可能である。

2. TC・EOQ=674× 0.2× 2.20+5,000× 2.20
=$11,296.56/年

3.唯一の価格分岐点が存在し,それは実行可能なEOQよりも量が多いから, TC・800=5.000/800×20+800/2×0.2×2.10+5,000×2.10
=$10,793.00/年

4.最小費用は$10,793.00/年である。そこで,最適な発注方針は,毎回800個を発注することである。

時系列需要データ(Time―Phased Demand Data)
在庫管理システムにおけるパラメータ,すなわち,発注量および発注点は,定期的または需要やリードタイムに変化があった都度,更新しなければならない。将来の需要について詳細に分かっている場合には, この情報は発注システムとして考えるべきである。

1つの方法として,”時系列記録法″と呼ばれる方法がある。その記録の例を図表11.4.15に示す。

図の2行目は,時期ごとの期待需要を表わしている。 3行目はすでに受注している顧客のオーダーを表わしている。需要の行は,計算に使われる実需要を意味する。

この場合,各時期の予測とオーダーのうち,大きい方が選ばれている。このアプローチでは過剰予防になる。5 行目は,すぐに受注される特殊なオーダーが,いつ届くかを表わす。この場合,40個のバッチが時期4の初めに届く手持ちの行は,時期ごとの有効在庫バランスを示す。時期7の初めの時点の在庫は3個であり,期待需要は20個であるから,需要を満たすのにさらに17個必要である。時期8では,累積必要数は37個 になる。リードタイムは2時期であるから,不足をカバーするために時期 5に 発注されなければならない。発注量は,40個に固定されているので,”計画発注発注量″の行では,時期 5に40が置かれている。この40個が時期 7に届けば,計画上の在庫バランスは-17から23個に変わる。そこで時期8末の在庫は3個になる。

図表11.4.15の記録は,”時系列発注点 (time― Phased order Point)″ と呼ばれるものを利用している。同じような記録は,製造在庫を管理するMRPシステムでも用 いられている(11.6章)。前記のように,統計的発注点法 は,実際の在庫数に基づいて計算されるが,時系列発注点は,計画上のデータに基づいて計算される。

したがって,将来起こることを予測することが可能である。たとえば,”計画発注量″の行をみるだけで,いつ発注が必要になるのかを予測することができる。発注されたオーダーに遅れがある場合には,記録を更新し,必要なら,計画発注量を変更しなければならない。

統計的発注点システムは, とくに需要が大 きく変動する場合に欠陥がある。時系列発注点を用いると,大きなオーダーは,”オーダー″行に記載され,不足が起こる前に行動がとられる 例えば,時期6に100個の納入を要求する顧客が加わったと仮定する。これにより,同 じ時 期に正味所要量が86個になる。この場合,正常のロットサイズではカバーできない。したがって,図表11.4.16にあるように,時期4に1オ ーダーで86個を発注し,その後に正常のロットサイズを発注するように計画が行われなければならない。

時系列発注点におけるロットサイズの決定方法
時系列発注点記録の正味所要量の行は,期待需要をカバーするために必要な資材量を表わしている。発注量は,この正味所要量をカバーしなければならない。需要を記録に記載する方法のために,いくつかのオプションが用意されている。

1つは,EOQの公式を使う方法である。適合性を向上させるために,公式に使われる 平均需要は,記録のデータから算出された平均需要に基づいていなければならない。もっとも簡単なロットサイズ決定方法は,各時点 で必要なものだけを発注する方法である図表11.4.15で,例えば,”ロット対応手法(lot‐for-lot technique)″ を用いると,計画発注量は,それぞれ,17,20個となる。時系列的環境下で最適な方法は,離散的経済ロットサイズ決定法である。これは,形成される各バッチが,連続的な正味所要量の積分から求められることを意味している。このパッチが消費されるとき,期末在庫は0となる。ここでは離散的な規則の一例を示すに留める。

以下に述べる限界費用ルールは,最近グロフによって提案された。Dtを時期tの正味所要量を表わすものとし,Tを指標とすると,アルゴリズムは以下のように定式化される(このアルゴリズムは簡略化されているため,初期ロットサイズだけを決定する。また,簡単に繰り返し使用に拡張できる。

1.T=1とする。
2.T*=T(T+1)を求める。
3.T*×DT+1<2S/1Cならば ,T=Tt+1とし,ステップ 2へいく。そうでない 場合,ステップ4へいく。
4.ロットサイズをΣ Dtとする。

初期ロット サイズは 以下のように求められる。

1.T=1
2.T*=1(1+1)=2
3. 2S/1C=2× 20/1=40 T*× D2=2× 5=10<40 Tを 2に する 。
4. T*=2(2+1)=6
5.T*× D3=6× 15=90>40
6.そこで,初期ロットサイズは,Dlと D2とから求められ,15個になる。

アルゴリズムの繰り返し使用によって,以下の解が求められる (最後のバッチは, このアルゴリズムでは求められない。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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