コラム・特集

4.3 在庫の形態

IEハンドブック
第11部 計画と管理

第4章 総合生産計画

4.3 在庫の形態

在庫は,その目的や生産/流通プロセスにおける位置づけによって,いくつかに分類される。

資材フローによる分類
第1の分類は,在庫される資材の状態による分類で,自転車の製造についての事例をもとに説明する。

原材料
組立の前,または,顧客に納入される前に, 企業内で加工される購入資材,最終形態に近い購入部品も含む
例:自転車のフレームに使われる鉄やアルミニウム製のバー。

最終部品
製造工程で加工され,組立工程で使われる状態にされた原材料。
例:自転車のフレームの組立てのために,所定の長さに切断されたバー。

構成部品
組立てで使われる前に加工が不要な購入資材。
例 :サドル,タイヤ,ライト。

半製品
完成品の重要な部分を構成する組立済資材,多くの企業では,最終組立てが行われる前に,このレベルで存庫している。多くの製品が,数個の半製品を組み合わせて,できるため,在庫することによって,短時間で市場へ提供することができる。
例:組 立て済みで未塗装の自転車フレーム

仕掛品
加工後,ま たは,工場内の搬送後に,次の加 工,搬送を待っている工場内資材。
例:ワークステーション 内の組立て済みの自転車。

完成品
顧客に対する出荷形態になっている完成製品。これらの分類は,製造業だけに当てはまる。さらに,この分類は,最終製品に直接含まれる資材だけを扱う 金型のような加工工程をサポートするために必要な資材は,普通,補助品と呼ばれる分類に含まれる。また,最終製品を梱包して,顧客へ出荷するために使われる資材は,他の分類が必要である。

多くの場合,企業は,原材料,仕掛品,完成品の3分類だけを用いる。この場合,原材料は,すべての購入資材を含み,仕掛品は,完成品でないものすべてを表わし, この分類は,企業の全在庫を削減するためのガイドとして, しばしば会計を目的として使われる。この3分類ヘの在庫投資の配分割合は,企業の製造工程や戦略的意思決定の方法によって異なる。市場に密着している企業(消費材産業)は ,即納できる完成品の在庫を多量にもつであろうし,長いリードタイムのかかる複雑な製品を作っている企業は,仕掛品等で在庫をもつであろう。

流通在庫(Distribution Inventory)と 製造在庫 (Manufacturing Inventory)

もう1つの分類が,流通在庫と製造在庫とで行われる 流通在庫は顧客に販売される製品より構成される.企業 の完成品在庫は流通在庫である。企業が広大な地域を対象に,大規模な流通システムをもっている場合には,製品を,流通センターや市場に近い倉庫に在庫することができる。メーカーにとっては完成品であっても,バイヤ ーにとっては単に製造工程への投入資材でしかない資材も,流通在庫に含まれている(すなわち,原材料や部品 ) スーパーマーケットや本屋のような非メーカーが持つ在庫も,同様に流通在庫と呼ばれる。一方,製造在庫は,製造一流通フローにおけるすべてのタイプの在庫品の集合的な名称である。これは,原材料から半製品まで,すべてを含んでいる。流通在庫と製造在庫とを分ける理由は,管理するときに適用する手法が異なるためである。前記のように,この章では, 1アイテムに対する需要が,次の需要と独立な流通在庫に最適な手法に焦点を置く。

輸送在庫(Transit Inventory)と機構在庫(Organizational Inventory)

さらに在庫は, “輸送在庫″ (“移動在庫″または”パイプライン在庫″とも呼ばれる)と機構在庫とに分類される。輸送在庫とは,企業内外に輸送される資材すべてを意味する 輸送在庫の意義を明確にするため,製品をヨーロッパのマーケットに提供する企業のケースで説明しよう製品を船で輸送する場合,顧客に届けるまでの総出荷リードタイムは,約5週間かかるであろう。この期間中,船上の製品は利用ができないが,企業にとって負担のかかる在庫投資の対象である。

一方,航空機輸送に切り替え,出荷リードタイムが3日間に短縮されたとする。この場合,もちろん,輸送費用は増加するため,管理者は輸送費用増加額が短い期間で顧客に届けることができ,しかも,在庫投資を削減できる効果に見合うものであるか否かを検討しなければならない。

また,輸送在庫は,例えば,あるステーションから次のステーションヘ搬送する期間といった製造工程内でも存在する。このような輸送在庫は,効果のよいマテハン・システム (例えば,フォークリフトに代えて,コンベア・ラインを設置する)を導入することにより,削減することができる。

機構在庫は,特別な目的がある場合に設けられる。前記のように,在庫は,常に需要と供給とを結びつける 機能をもっている。例えば,完成品在庫は,顧客需要の変化の影響を製造に及ぼさないための役割をもっている。そこで,在庫をもつことによって,正確に,需要と供給とをバランスさせる必要性が少なくなる。一方,在庫を減少させるためには,すべての生産機能がスムースに動くように,より効率的な計画と管理を実行しなければならない機構在庫は以下の3つに分類することができる。

循環在庫 (Cycle Stack)
“ロットサイズ在庫″とも呼ばれるこのタイプの在庫は,資材が,いますぐ 必要な量よりも 多目に購入,または,製造されるときに発生する “循環 ″ という名称は , 規則的な間隔で在庫が補充されることを意味する。平均在庫量は,需要と各時点の発注量によって決定される。

安全在庫 (Safety Stock)
“バッファ在庫″,または”変動在庫″とも呼ばれるこのタイプの在庫は,予測できない状況に対処するために設けられるものである。変動は,製造一流通フローの任意の時点で,期待需要と期待供給両方に起こる例えば,安全在庫は,製品の期待売上高の変動に対処する,設備故障に備えて2つのワークステーション間にバッファ機能をもたせる,組立工程での作業者のバラツキを平滑化する,部品供給メーカーの不良によって生産停止になる可能性を低減させるために設けられる。

見込在庫(Anticipation Stock)
このタイプの在庫は,限られた供給能力のために,需要に先がけて作られる在庫に関するものである。例えば,クリスマス・カードやスキー用品のような季節商品を扱つている。企業の場合でも,長い期間にわたって需要に先がけて作っていけば,必要生産能力を平準化することができる。メ ーカーの場合と同様に,小売業者も,予測される売上増に先がけて在庫を持つことがある。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

関連記事一覧

2019ものづくり公開セミナーガイド

B2Bデジタルマーケティングセミナー

ものづくり人材育成ソリューション

マーケティング分野オンラインセミナー