コラム・特集

3.7 生産切換え

IEハンドブック
第11部 計画と管理

第3章 総合生産計画

3.7 生産切換え

切換モデル多くの生産システムでは,生産水準の調節は2つの夕イプの費用を発生させる。すなわち,水準における変化 が起こるときに発生する離散的な固定費と,水準が調整される量に比例した変動費である。もし任意の生産水準が考えられたとすると(工場能力を反映した上界制約をもつ), 数学モデルは0-1変数で定式化でき,各期においてそのような変数は,生産にどんな変化もないとき 0の値をとり,変化があるときには1の値をとる。定常な需要の場合の問題を解くもう1つのアプローチは,動的計画法にもとづいている。この場合の解は図表 11.3.11に 図示されており,図におけるP, rはそれぞれ生産,在庫水準である。

斜線の部分は,どんな行動も要求されない領域を示しているが,しかし,現在の生産・在庫を表わす点が斜線部分以外にあるときには,生産はその点をこの領域の外被に返らせるのに必要とされる 量だけ調整される。この方法では通常計算に時間を浪費し, 非定常な需要分布を扱うのには向いていない。もし生産が,指定された相対的に少ない水準数に制限されるならば(それゆえ,生産調整が特定の離散的ステップによって達成されるならば), 各水準における実行や作業計画を経験することによって,費用を管理し変化の影響を最小化する,よい切換機会を知ることがおきる。総費用モデルは,そのとき

        C=Σ 〔 c1Pt+c2zt+c3It(It >0)+ c4It(It<0)〕         (37)

と表現される。ここで,Pt, Itは期間 における生産率と在庫水準であり ,またc,zt は以下のとおりである。

c1=生産の単位費用
c2=生産切換費用
c3=在庫残に対する 単位保管費用 (It>0のとき )
c4=単 位品切費用 (It<0のとき )
zt=期間 t においてなされるステップ変化の数

管理方式は,図表11.3.12に示されているように,単純な2生産水準の場合で説明される。水準H ,L はシステムが実行できる高,低の生産率を表わしている。

在庫水準が監視され,それが管理水準αを横切るとき,この水準が,いつ生産がHからLへ切り換えるかを決定し,逆もまた同様である。より精巧な管理方式は,2つの管理水準α,b (α >b )を含み ,LからHへの切り換えは,在庫水準が下から管理限界を横切るときに起こるだろう。 そのような切換方策に対する合理性は,2棚法または (s, S)在庫方策と同様である。3生産水準の場合には,3つの生産率H,N,L (H>N>L)が可能であり, 3つの管理限界α ,b ,c (α >b>c)が定義され,そのときの生産規則は次のようになるだろう。

明らかに,多数の生産/管理水準を導入することは,より多くの自由度を与え,需要が非常に移り気か予見不可能なときには,システムを保護することができる。そのような任意の需要パターンに対するモデルを解析する効果的な方法は,シミュレ ーションによっている。

食物缶詰製造工場において24.2生産水準をもつ場合に得られた結果の例は,図表11.3.13に与えられている。示されている点のおのおのは,1,000回のシミュレ ーション にもとづいている。図表11.3.13α は,下方生産水準Lが L=0の場合であり, 3つの曲線は,上方生産水準HがそれぞれH=300,400,500の場合に対応している。管理水準α は横座標に沿って示されており, Lから Hまでの範囲を動かしている。生産水準を変化させるための費用は,変化当たりの固定費と,変化の大きさに比例する費用からなっているが,在庫保管費用はここでは無視されている。需要は,また原材料の供給に対するのと同様に,処理に対して仮定されたリードタイムとともに, 両方とも(ゼロで切断された)正規分布から標本抽出される。

図における水平な点線は,どんな生産能力制約も課せられないときで,生産予定量が,在庫システムそれ自身に関する最適解を得るように調節されるときに(も しどんな品切れも 許されないならば,需要を最小在庫としてそれに合わせるように設計されるときに), 発生する費用を示している。そのような方策は頻繁な生産水準の調節を招くが(そして,それによって高い 切換費用が発生), 明らかにこれらの費用は切換法によって減少さ れうる。この場合の結果は,また,費用は管理水準α が L か H のどちらかに近づいたときに下を向くということを暗示している。
図表11.3.13b から11.3.13dまでは ,L =50, 100, 150に対して同様な結果を示している(訳注:その意味でb,cは省略する )。

切換モデルに関する評価

生産運営が,むしろある既定の水準で実行できうるときには(生産ラインの操業開始または停止のように),生産水準を連続変数として取り扱うことは適当ではなく,ここで述べられたモデルが,切り換えに必要とされる管理パラメータの代替値を分析する便利な方法である。加えて,モデルは望まし い固定生産水準を決定したり(もし,管理者が自由にその効果に対して決定ができるならば), 感度分析を実行するのに利用できうる(訳注:以下,このシミ ュレーション・モデルの拡張の容易さと ,2またはそれ以上の管理水 準に関する長短の議論は省略する。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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